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夏至
2021年7月7日 01:13
二年前、あの四国の夏に置いてきてしまった心の一部分が、今も青色に燃えている。起きて、散らかった床の上に適当に座り込んでメイクボックスを手繰り寄せる。鏡を覗き込みながら下地でクマを消して、ファンデーションやパウダーを重ねていく。淡々とこなし頭をオンに切り替えるこの作業はもうルーティンワークで、それでも毎日手を抜かない。嫌いな人間とよく似ているこの顔を今日もご丁寧に扱う。「あなたは頭が良いから