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秋山春子先生

 小学校2年生(1958年)の時の担任は、やや、ウェーブがかかったおかっぱ頭で小柄な人でした。本当の年齢はわからなかったが、こどもの私にはお婆さんに見えた。
 ある日、授業終了後に先生が裁縫の針を取り出して言いました。
「授業中はもう少し静かにしましょう!ここに針があります。目をつぶってください。これから、この針を床に落とします。皆さんが静かにしていたら、針が床に当たる音が聞こえます」
しばらくして、先生が言いました。
「音が聞こえた人は手を挙げて下さい」
私は聞こえたような聞こえなかったような感じだったが、手を挙げなければまずいと思い、手を挙げて薄目を開けて見ると全員手を挙げていた。先生の方を見ると、先生の手にはまだ、針が残っていました。
針の音を聞かせるのが目的ではなかったのだ。この小学生が大人になって官僚になると忖度上手になるのかと、今思った。

注: この話は前半が実話、後半は創作です。

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