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#東京 #公明党 #河西宏一さん面会ルポ

面会日:2021年12月23日 10:00~11:00
担当:徳田悠希、内藤百合子、高橋悠太(会館)/オンライン参加2名(高校生)
ルポ作成者:内藤百合子

議員会館にて、公明党衆院議員(東京比例代表選出)の河西宏一さんと面会しました。 議員ご本人との面会は6回目。衆院選後初で、公明党の議員の方とお会いするのは初めてでした。

河西さんの回答

① 核兵器の廃絶を目指すべきだとお考えですか?

間違いなく目指すべき。日本が広島長崎・戦争被爆国という歴史・背景を持つことを踏まえつつ、核兵器は人類にとっての絶対悪であり、どんな理由や背景があっても存在してはいけない。核廃絶の取り組みは政治家という立場だからということではなく市民社会の1人としても進めていくべきこと。ただそこに向けて色々なハードルがあるということは今まさにテーマになっていること。

② 今年の1月22日に核兵器禁止条約が発効しましたが、議員個人として、核兵器禁止条約に賛同していますか?

画期的な条約。今までの軸であったNPTは核兵器廃絶に向けた車輪の片方だったと思う。核禁条約ができて、その両輪が回っていくことによって出口に向かっていくのではないか。ただそこで実効性をどう持たせるかが大事。そこに向けてどう具体的に取り組んでいけるのかということが非常に重要。

③ 現在日本政府は、核兵器禁止条約に署名しない意向を表明していますが、日本は核兵器禁止条約を批准すべきだと思いますか?

批准すべきだと思う。中長期的には批准していくべきだが、日本が置かれている安全保障関係をどう改善していくか、唯一の同盟国のアメリカとどういう信頼関係を持っていくか。アメリカは明確な姿勢を示している。ただそのアメリカと日本が核禁条約に向けて対話ができなくなるのは絶対に世界益にプラスにならないだろう。だからそのプロセスが非常に大事。批准すべきという日本にとってのゴールに向けてどう取り組んでいくのかというのが非常に大事。
その意味では岸田首相は日本の今置かれている立場と核禁条約という"出口"に向けたプロセスと、そこに向けてどういう一歩を踏み出していかなくてはならないのかということに関して、首相は明確に持っていると感じている。自公連立という政権を支える立場では今が1つの大事な契機になれば良い。

④どのような条件のもとならば、日本は核兵器禁止条約に署名・批准することができるとお考えですか?また、署名・批准に至らない障壁となっていることはなんですか?

日米関係。日本の安全保障はアメリカなくしては語れない状況。日米の同盟・信頼関係の維持が1つだろう。またその前提となっていくような、例えば北朝鮮の不可逆的な核軍縮についてもどれだけ透明性を持って行うことができるか、外交努力・ブレない姿勢でしっかりと言うべきことは言い、場合によっては経済制裁も辞さないという姿勢を通じて、日本周辺の安全保障環境をどう改善していくのかということが大事。それはそれぞれ一対になっていて、そういうことが欠かせない。
核保有国が歩み寄ってくれる流れということが大事で、これはヨーロッパも同じ。その中でNATO加盟国であるドイツがオブザーバー参加すると言ったことは非常に意味のあることだ。ただNATOは何カ国もある大きな枠組みだが日本の場合アメリカだけが唯一の同盟国という意味では重みがやや違い、大きな一歩を踏み出せてはいないという状況だ。アメリカ抜きでは語れないという状況なのだろう。


公明党としての立場

徳田)公明党は2021年の衆議院選挙でも公約に条約へのオブザーバー参加を目指し中長期的には批准すべきということを入れていた。首相の現在の発言はオブザーバー参加よりもアメリカとの関係重視に見える。公明党の姿勢とは、ずれているのではないか。どう捉えるか。

党としてはオブザーバー参加は山口代表もずっと言っており、やるべきだと思っている。ただこれは公明党だから言うべきことだし公明党だから言えること
首相の立場は非常に理解している。アメリカが条約への不参加を日本に要請したということに関して、日本も同調したということが報じられている(参考:https://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=114265)が、首相も悩んでいるのだと思う。このような重要な事項をバイデン大統領と直接会談できていないのもある。
日本は、核は廃絶すべき、絶対悪であるという姿勢を取りながらも、ロシア・中国の核と北朝鮮の不透明な情勢に囲まれている。核の傘・抑止力に守ってもらうことで防衛費を5兆円くらいに抑えられている。党としてはもっと防衛費を抑えた方が良いと思っていて、もし核の傘から出て自分たちでやっていくということになると、ある評論家によれば20兆円くらいまで増やさなければならないという試算もあるのだ。このように日本は非常に難しい立場にある。
そういう中でどうやって日本の条約批准、そして核保有国が参加するという状態を作るかというところでアメリカとの関係は避けて通れない。そうなったときに日米の外交・信頼関係は非常に大事。そのアメリカからオブザーバー参加しないでくれと言われたときには、公明党としては参加すべきだと言えたとしても、首相は外交関係があるので、何としてでも参加するとは言いにくいという状態だろう、そういう意味で首相の立場は理解している。決して首相が後ろ向きというわけではないと思う、明確に”出口”だと、歴代の首相が言わなかったことまで踏み込んで言っている。
ただアメリカとの関係を維持しながら条約へのプロセスを進めていかないと、そのときは良かったとしても結果として日米の距離が広がったら保有国と非保有国の溝が深まることになる。公明党としての立場は変わらないながらも、首相の立場に理解を示した上で、党として言うべきことを言っているという状況。

徳田)日本の安全保障環境から見ても、すぐに批准することは難しいということはこれまでの面会の中で他の議員の方も言っており受け止めている。しかし核抑止ありきの同盟ではないと思うので、日米同盟自体は障壁ではないのではないか。核抑止を認めるということは核兵器があることを現段階で認めている状態だと思う。核抑止に代わる安全保障や、他にどういう形で安全保障の環境を整備すべきか。こういうことをやらないと日本が具体的に条約批准に進めない。

抑止力はいたちごっこ、キリがない。そこに核兵器が持ち込まれることでもっとその議論は際限のないものになる。軍拡をするということがその国の安全を守ることになるという流れ自体を変えなくてはならない。例えば中国も軍事費を増やしているがその流れを変えなくては。そのためには対話と経済上の協力関係などが重要だ。だからこそ対話・外交・経済協力が非常に大事になってくる。非軍事の部分でどれだけ国と国が歩み寄れるか。軍事力競争をやらずともそれぞれの国益が守られていくという方向性の国際世論を高めていくために、日本がどういうリーダーシップをとっていくかが大事、だからこそオブザーバー参加が大事。

徳田)公明党が自民党や政府にどのくらい働きかけている?どういうプッシュややり取りをしている?

参議院本会議の代表質問で山口代表がコロナなどもある情勢でトピックの1つに加え、あれだけ踏み込んだこと自体が大きなこと。総理がすぐにははっきり答えられないこの問題を、連立の片方の党首が本会議の場であれだけの質問をしたということが大きなことだと、そこから姿勢を捉えてもらえたら。またバイデン大統領との会談が現実味を帯びてきたときには、公明党としてもしっかり差し込んでいくのだと思うしそうすべきだと思う。


オブザーバー参加・橋渡しについて

徳田)オブザーバー参加することで日本が果たせる役割は?

実際に原子爆弾が使われた国で、実際に被爆者がいる国だ。被爆の体験、リアリティを実際に伝えられるというのは日本にしかできないこと。被爆者の高齢化も進んでいて、今でなければ伝えられない。そういうことをどう伝えていくのかということは日本にしかできない使命と責任がある。
核戦争に勝者はいないという点も大事。どんどん核兵器も進化してしまっていて、その国で使われたら環境的な面などでも、その国だけでは済まない。それを実体験を持った国がどういう風に感じ、どういう意見を持っているのかという点は国際社会的にも非常に意義のあることだと思う。

徳田)日本が果たせる役割として橋渡しが言われる。保有国側が離れないようにアメリカとの関係が大事だが、非保有国ともコンタクトを取ることが必要というジレンマがある。実際にノルウェーがオブザーバー参加を決め、「橋渡しをする」と言っていて、これは日本もしなくてはならない役割、日本にも果たせる役割では。今の日本の橋渡しや政府の取り組みをどう捉えるか

オブザーバー参加を決めるときまでに首相に勝負をかけてほしい。渡米して大統領と会談し、広島選出の第100代首相として、日本にしか果たせないオブザーバー参加国としての使命と責任があるということを伝え、大統領に共感してもらい、それで信頼関係ができれば首相は前に踏み出せると思う。
連立を組んでいる公明党を使ってほしい。この20年の自公連立の中におり、自民党・首相がはっきり言えないことを公明党がはっきり言うことで、首相が、「連立を組んでいる公明党が言っているので自民党の総裁として前に進まなければならない」と進められる状況にできる。公明党が存在し連立にいることが平和に寄与する・ブレーキ役になっているということがある。これを逆にオブザーバー参加・核禁条約ではアクセルに使ってほしい、党としても交渉の1つの役割として果たしたい。首相のこの問題に関しての外交努力には援護射撃をしていきたい。そういう意味もあって山口代表もこのように表明しているのではないか。公明党が自民党と同じことを言ってしまっては首相が公明党を”使う”ことができなくなってしまう。政治の中ではそれぞれの立場をうまく使って交渉相手と物事を詰めていくことが大事。そういう枠組みの中でアメリカとの信頼関係の中でオブザーバー参加を実現する。理想論かもしれないがこれがアメリカの核保有国としての条約批准への道筋に一歩でも半歩でもつながれば1番良いと思う。

徳田)日本は、条約参加が核保有国との分断を深めるとして拒否しているが、ドイツ、ノルウェーがオブザーバー参加を表明したことは保有国との分断を本当に生んだか?世界からはこの表明がどう見られていると思うか?

日本の場合、第二次世界大戦では無謀な戦いを行い、敗戦以降自国の軍隊を持っていない。防衛ということに関しては日本だけではあえて維持できない半主権性という状態を作っている。ドイツには軍隊があり、国として国民を守るという体制を取っているが、日本はアメリカ抜きにしては自国を守れないという状況を作っていて、そこには第二次世界大戦の反省があると思う。その点においては日本とドイツは前提が違うのではないか。
ただここは議論を深めないとわからないところで、だからこそ公明党は参加すべきだと言い続けていく。

平野)条約に反対の議員と話した時に考えは揺らぎ始めた。ノルウェーと日本では周囲の状況が違う、ロシア、北朝鮮のような情勢がありより厳しいのではないかという意見をもらった。その点をどう考えるか。

抑止力を核兵器ありきで考えることが間違っている、核兵器は絶対悪だからなんとしても廃絶しなければならないと考えている。そういう意味では、安全保障環境を改善する努力をしながら核兵器廃絶に向けてどういう努力を日本が考えていくか、思考停止になってはいけない。北朝鮮、ロシア、中国が核兵器を持っているから日本は核の傘の中でしか生きていけないんだという思考停止になってはいけない。であるならば北朝鮮、ロシアなどにどういう働きかけをするか、日米同盟を維持しながら、NPTの核不拡散は核廃絶のプロセスであるから両輪で重要。この中で透明性のある核軍縮を北朝鮮などにしてもらうなどの外交努力を続けていくことが非常に大事。最初からオブザーバー参加しない、条約はあり得ないなどの思考停止をするべきではない。


市民と議員の対話について

内藤)世論調査では条約に7割が参加すべきと言っているが、国会議員では条約の参加が3割程度、オブザーバー参加すべきとの主張が選挙を経てやっと半数。世論と議員の乖離についてどう思うか、どうしていくか?

条約に参加すべきというのは国民にとっては当然という捉え方がされている。一方で議員の立場で考えるとこれまで話してきたような議論が出てくる・市民と差があるというのは、国という立場で物事を考えたときにどうしても出てくることである。だからオブザーバー参加すべきかどうかというような単純な二者択一の議論ではなく、課題に関してもっと広く議論、対話をすべき。今日ここまでで話してきたようなことを国民に理解してもらえるような発信や対話の機会を作ることを国会議員がやるべき。そういうことを通して市民と議員の溝が埋まっていくのではないか。またその中で国会議員の側が市民がどういうことを望んでいるのか、どういう平和を目指しているのかを肌感覚でフラットに知っていくこと、双方向の対話が非常に大事。
このような場はありがたいし、市民が何を考えているのかは聞かないとわからない。公明党もユーストークミーティングとして若い市民との対話の場は続けてきているが、もっと回数や範囲を拡大して色んな考えの人と交流していくことが、公明党が党として役に立ち成長していく上で欠かせない。対話やコミュニケーション、国会議員が自ら足を運んだり場を設けたりしていくことが大事。

内藤)のべ60人に面会希望の手紙を出したものの今回がわずか6人目。今言ったような市民との対話というのはどうしたら実現していく?

北欧で若者の投票率が8割。どうして実現しているかというと、中学生くらいから大学卒業くらいまで、日常的な政治活動に7割くらい参加している。各自治体に若者協議会というのがあって、政治家と意見交換したり、メディアで参加したり意見表明したりをしている。それを通して、このテーマがあるから投票しないとなどといったきっかけやモチベーションが作られている。日本はこのような日常的な政治家とのコミュニケーションが欠けているのではないか。そのような場を作っていかなければならないし、作っていきたいと思っている。例えば日本の各自治体にも若者協議会を作ってくださいという法律作ってみるなど、同調圧力のある国だし、社会の環境が出来上がっていくと変わってくると思う。議員面会プロジェクトのような重要な機会を国会議員が捉えきれていないのは非常に残念だ。ハードルや壁を国会議員が作りすぎなのではないか。公明党がやっている若者との対話の取り組みは、2016年、当時党員だった河西さんが発案して実現し、今では党の青年委員会の主たる取り組みになっている。

徳田)議員の方のお断りの理由や感触としては、忙しい、議員の側が市民に教えてあげているというような様子で、対話の土壌がない状態があった。あとは被爆地以外でやることで”安全保障の話”といういう警戒の雰囲気を出されるようなことも。河西さんは手紙を受け取ってどう思ったか?

非核三原則を作った根本には公明党の働きがあり、党の主要政策である。だから「すごい大事なことだ、大事な機会をいただいた」と思った。


外務省との関係について

高橋)外務省の姿勢が軍縮の足かせ、抵抗勢力になっていると感じた。NPTの停滞の中から条約が生まれたことを認めているが、NPTに固執している。このような外務省のやり方をどう捉えるか。また”出口”というなら”入り口”を作らなければならない、そのイニシアチブをどう政治家が取るか。また政治家としての思い、信念はどこに立脚しているのか。

外務省という”実務家”であり、実務史上的、アメリカとの関係に支障をきたすことは受け入れないし、これが彼らの仕事である。公明党は合意形成を行う、彼らを巻き込んで、「こういう民意があるから一緒にやっていこうよ!」というのが大事。足かせになっているならばむしろそれをブースターになるように持っていけるか、どう外務省と対話をして一緒に前に進んでいけるかを考えていきたい。そういう努力の中で自分たちの想いを伝えていく。なぜ公明党がここまで核廃絶にこだわっているのかということを伝えたい。
SDGsと脱炭素社会というのがこの1年で一気に強まった。これは投資家がカーボンニュートラルを志向しない経済体には投資しないと言ったことで進んでいる。であるならば核兵器とSDGsがもっと議論されるべきだと思う。世論の意見を、政治という立場の中で、どういう技術を使ってどういう対話・政治的折衝をすればできるのかというのが(国会議員である我々がやること)。自民党が外向きに出していることをどう水面下で公明党が進めていくか。官僚とも一緒に、公明党がどう政治の枠組みの中で動くことで、平和への1歩の前進を勝ち取れるのかを考えながら、市民に教えてもらいながら、模索しながらやっていきたい。

高橋)夏のNGO主催の討論会で山口代表や斉藤議員が、賢人会議の1.5トラックの中に、禁止条約推進派も巻き込むべきだという提言をしており、今回禁止条約の締約国会議の議長はオーストリアということで、このような形で”巻き込まれた”ことにはすごく大きな意味があった。公明党のメッセージ性が反映されていると捉えている、今後のイニシアチブに期待する。

政治的な主張、分断を煽る、イデオロギー的になることによって政党が存在感を出すということがあるが、公明党はこれが理想的な手法とは捉えていない。あらゆる意見を持った人が同じテーブルについて、1つの出口・方向性を見出していくことが必要。そのために公明党がどういう接着剤になれるか。外交関係や国内の様々な議論の中で、対話のチャンネルを持ち続けることと公明党の主張をしていくことの両輪が大事。発信力と接着力・合意形成力、これらをしっかりと発揮して、1つの方向性なり政策なりを前に進めていくべき。

まとめ

初めて公明党の議員の方と対談でき、党としてどういう立場を取ってこの問題にアプローチしていくかということを直接伺うことができたのは非常に重要な経験となりました。
対話の中で、「他の党の人とこのような話をしたことがない」という言葉があり、この問題の現状の1つの現れではないかと感じました。政治と市民の対話だけでなく、国会議員の間でももっと議論が高まるように、そしてそれを通して実際に政治を動かせるように、引き続きこの活動や社会への発信を頑張っていきたいと思いました。

お忙しい中お時間を作ってくださりありがとうございました。



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