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モルドバ、未承認国家行きの路線バス

13年前にモルドバに行く機会があった。

モルドバはルーマニアの東側、ウクライナの西側にある国。
もともとはルーマニアの一部であったが第二次大戦後、
旧ソビエト連邦(現在のロシアを中心とした国)に編入された。
旧ソビエト連邦崩壊後は、国家として独立。
決して大きいとはいいがたい国である。

(注意)地図はGoogleMapsより引用。

そのモルドバの国の中に未承認国家と言われる、世界のごく一部の国しか認めていない国が存在する。
沿ドニエステルと呼ばれる地域である。

冒頭の地図の赤い部分、モルドバ東部にあるドニエステル川と隣国ウクライナに囲まれた地域である。

世界の大半の国が認めていないと言えども、自分たちは独立した国と名乗っている地域。
国旗はもちろんのこと、独自の通貨もあるようだ。
なんだか不思議な感じである。

この沿ドニエステルの首都がチラスポル(ティラスポル)である。
モルドバの首都キシナウ(キシニョフ)からも100キロ弱の位置にある。
だからなのか、キシナウの中心のバスターミナルに行くと、このティラスポル行きのバスをよく見かけた。

残念ながら乗車する機会はなかったのだけれど、国境?を越えて隣国の首都まで行くようだ。

私がドミトリーに泊まっているときはヨーロッパから来たバックパッカーの男性と一緒になることが多かった。

彼等は、この沿ドニエステルに興味津々なのか、実際にかの地に足を踏み入れ、写してきた画像をお披露目していた。

いわゆる共産主義の盛んだった1960年代から70年代の時代に建てられた、
いかにも共産主義と言った趣のアパート(集合住宅)が並ぶ。
それ以外は川の向こう側とこちら側で町の雰囲気に大差はない(ように思える)。

ある日、宿に泊まっている男性に、「バスに乗ってチラスポルに行かない」と声をかけられる。

欧米で過ごしていたら、この1960年代から70年代風の共産主義の時代の名残に建物に郷愁を感じるのかもしれない。

当時の私は、自分自身がチキンだったこともあり、面倒なことになるのはいやだった。
そもそもモルドバにはその当時、在外大使館も領事館も存在しなかった。

つまりパスポートの紛失等にあうと、再発行のための移動や手続きが非常に面倒になる。
ゆえにお誘いを断った。

私を誘った男性はバスに乗ってチラスポルで写した写真ファイルをPCの上で披露し始める。

それにしても、不思議なものである
世界のほとんどの国が認めてないのに独立して国家を名乗る地域があるとは。
※このような国家は世界中にいくつかある。

よほどモルドバの一部でいることが嫌だったんだろうな。
不思議な感じがした。


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