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71日間地球ひとまわり(15)スペイン、徒歩で聖地巡礼(前編1~4日)

日曜の早朝、リバデオの宿を出発。
前日までとは異なり、この日から徒歩での巡礼。

ちなみに巡礼路は迷いそうなところで、矢印や道しるべなどの表示がある。前日に念のため、宿を出てから町を抜けるまでのルートを下見しておいた。

町を抜けた所にある方向表示。黄色い矢印と左側のホタテマークは、聖地巡礼のシンボルマーク。

町を抜けて畑の中を歩いていると、道しるべも現れる。

この道標が道路の分岐点や迷いそうなところに設置されている。距離はサンティゴまでの距離。

ひたすら歩き続ける。

ちなみに私の荷物はこれぐらいの大きさと量(貴重品の入ったショルダーバックを除く)。リュックサックは20リットルで8キロぐらい。ショルダーバックとエコバック(水1リットル入り)が計2キロ程度。

一日目は徒歩でのペースがつかめていない。
道中一緒になったドイツ人男性と途中まで一緒に歩くことに。
背が高い方(180センチ以上)でとにかく歩くのが早い。
8キロぐらい休みなしで話しながら歩く。
慣れない英語に意識が向いていたので、荷物の重さを感じず。

途中、トイレ休憩もかねてバルに立ち寄る。

サンドイッチとコーヒーを注文。
朝ごはんとして食べて、ひと息ついた。

ここで、先ほどまで一緒に歩いていたドイツ人男性と別れる。
ペースがあまりに違いすぎるようだ。

朝食を終えて、トイレを済ませてからひと息つく。

そして出発。
今度は、オーストラリア人男性と一緒になる。
話をしながら、時に森を抜けたり、畑の中の道を通り歩き続けた。

13時過ぎ、この日の宿のある町(ロウレンサ)まで、あと数キロのところで雨が降り始めた。
雨が止むまで小さな祠のようなところで雨宿り。
しかし、止む様子がない。
仕方がないので、傘をさして町を目指して歩いた。

14時半ごろ宿に到着。
アルベルゲ(ALBERGE)と呼ばれる、聖地巡礼者向けのドミトリーである。
二段ベッドが何台か並び、男女同室でトイレ、シャワー、キッチンは共同。
朝は8時~10時までにチェックアウトする必要がある(時間はアルベルゲにより異なる)。
公営と私営があり、今回利用したのは私営のアルベルゲ。
公営よりも高いが(公営は一泊8ユーロ、私営は15ユーロ)、シーツや毛布を借りることができる。
タオル、洗面具は持参(基本的に準備無し)。
公営の場合は、シーツや寝袋は準備する必要あり。
私が訪れたのは6月下旬だが、日中でも涼しいぐらい(日中で18度ぐらい。天気が悪かったり夜は寒いぐらい)。

遅めの昼ごはん兼夜ご飯を食べに町に出かけたのだが、この日は日曜日。
スーパーや商店は締まっており、かろうじてバルが開いていた。
朝ごはんの調達は難しそうなので、ひとまずビールとつまみを食べて、水を買って宿に戻った。

町のシンボル大聖堂。ただいま工事中。

シャワーを浴びて翌日に備えて眠った。
夜は寒いぐらいだったので、予備の毛布を借りて眠った。
こうして徒歩巡礼開始日(1泊目)、ロウレンサの夜は更ける。

2日目は山を越えた町、モンテドニェードまで移動。距離にして8キロ。まさかこんな近いとは。勝手がよくわからないので、1~4泊目はネットで予め予約済み。キャンセルができないらしく、15ユーロ捨てるのももったいない。なので今日は楽勝。通常は、更に先の町まで25キロ以上歩くらしく、同じ宿に泊まっていた方々は朝早く出発していった。
私は他の人よりも遅い目の8時ごろ宿を出発した。

グーグル先生によるとこの宿の前の道を建物に向かって左に進むとよいが、
建物に描かれた黄色い矢印は右を示す。
宿(アルベルゲ)のスタッフに尋ねると、建物の脇の細い道を登るのが最短距離らしい。

矢印と言葉に従って路地を入る。
なんだか人の家の畑を通っている感満載だな。

30分ぐらい歩いてから、水分補給のため立ち止まる。
周りを見回すともやがかかっていた。

再び歩き出すと段々と道は狭くなる。
そして集落に道はつながる。
まるで人の家の庭を抜けるような感じである。

しかし、矢印が示すのはこの道。
誰か通りかからないかなと思ったが時間が中途半端なのか、人には合わず。

「本当にこれでいいのかな?」と思いつつ、しばらく歩いた。
すると道が開けてきた。

そして、休憩を取りつつ歩き続けると、11時前には次の町モンテドニェードに到着。
この日の宿もチェックインは14時から。
荷物だけ預かってもらい、ブランチを食べるため、店のある町なかに向かった。

カテドラル(大聖堂)の前の広場に面したカフェが気になった。

誘われるように店に入ると、甘いものを中心に扱っているみたい。
サンドイッチなどの類もあったが、甘いモノの方がおいしそう。
「サンティアゴケーキ」が気になったので、コーヒーと一緒に注文。

広場に面したテラス席に腰掛け、朝食か昼食か、おやつかわからない食事を済ます。

大聖堂が目玉らしいが、「これから先、毎日見るからいいかな」と思い
町歩きをする。
小さな町なので、町を歩くにしてもそれほど時間を要しない。

といいつつも、14時まではチェックインできないので、町の中心部を離れたところにつながる、翌日のルート確認に足を延ばした。
これで翌日もばっちりだな。
時計を見ると、14時前。
宿に戻り、預かってもらっていた荷物を引き取り、チェックイン。

今日の宿は、昨日よりも規模の大きなアルベルゲ。
しかもホテル併設だから、リビングと中庭が充実。
洗濯を済ませてから、中庭のデッキにもたれかかりぼんやりとする。

晩御飯は、町中まで歩くのも面倒だし、ホテルの食事はお高い。
昼休みの終わる16時以降に、宿(アルベルゲ)近くのミニスーパーで飲み物、パン、フルーツとヨーグルトを調達。
晩御飯代わりに軽く食べた。
この日の部屋は男女でコーナーが分かれている。
男性の方は宿泊者がいるようだが、女性は私の他に宿泊者はいないようだ。
30個以上並ぶベッドのある空間を一人で宿泊。

貸し切りだけれど、あまりうれしい気はしないぞ。
こうして2泊目の夜は過ぎた。

翌朝もよい天気。
今日は20キロ以上歩くので、7時前に宿をチェックアウト。
昨日、確認したルート沿って町なかを通り過ぎて、山道に入る。

1時間ぐらい歩いたけれど、ご夫婦一組しか会わず。挨拶をしてから、ご夫婦を追い越し歩き続ける。しかも誰もいない。

「道はこれであっているのかしら?」
しかし迷う要素はない。
ようやく出てきた道標は、これまでと異なり距離が描かれていない。
かわりに「C.Complementario」と書かれている。
何だろか?
※後から調べると、「補助の道」だった。
(本道ではないみたい。その後、ルートが複数ある道に遭遇した)

どうも間違っていないので歩き続ける。
それにしても人に合わないし、不安だぞ。
更に30分歩くと、道路沿いに建物が見えてきた。

「ここに入って確認してみよう」
誘われるように敷地に入り坂道を下った。

坂道を下りきると、テーブルが並べられ、奥に小さな家があった。

挨拶をして、道を尋ねた。「朝ごはん食べた?コーヒー飲んでいかない?」と誘われた。軽く朝ご飯を食べていたが、ひと息つきたかった。
コーヒーをごちそうになる。
一緒にトーストとオレンジ、自家製のマーマレードも出してくれた。

コーヒーをごちそうになりながら道を尋ねると道は間違っていないみたい。しかし、今は本道は別のルートになっている。どこかで、そのルートに入りそびれたみたい。
昨夜宿泊していた宿の前からつながる道(つまり町中に入らない)が、現在の本道らしい。やられた。

しかし、このまま進むと本道に合流するから心配する必要はないとのこと。ほっとしたと同時に、面白い場所にたどり着いた偶然に喜びを感じた。

というのも、この建物は日本でいうところの巡礼者向けの民宿らしい。宿主は50代半ばの女性。話によるとアーティストらしい。龍をモチーフにした絵を家やアトリエなどにたくさん書いていたのを見せてもらった。(写真はNGのためなし)何かお礼がしたいぞ、ちょうど財布の中を見ると5円玉ぐらいの大きさの龍があった。旅行に出かける前に、お寺でもらったものだった。「日本の龍のお守りをお礼に差し上げたい」と伝えると快諾。大喜びしてくれた。

面白い出会いに感謝してから別れを告げて、巡礼路を再び歩き始めた。
1時間ぐらい歩くと、道が合流する地点にたどり着いた。
そして道しるべを見ると、距離が表示されていた。
ようやく本道に戻った。

そのまましばらく歩き続け、小さな町を抜けてから坂を上る。
12時半過ぎにこの日の宿のある小さな町、アバディンに到着した。

宿のチェックインは13時半からなので、宿には鍵がかかっている。
お腹もすいたことだから、先に昼ご飯を済ませることにした。
小さな町で昼間に食事をできるのば、レストランとバルの2軒のみ。

1泊目、2泊目ときちんとしたところで食事をしていない。
教こそはきちんとした店で食べるぞと、レストランに入る。
メニューを見せてもらうと、日替わり定食(Menu del dia)がある。
パンとワインまたは水と前菜、メインにデザートがついて11ユーロ。
これは非常にお得。
こちらを注文し、前菜とメインとデザートを選ぶ、
前菜は野菜が食べたいのでサラダにしたもの、メインが何かわからない。
さすがに英語のメニューはおいてない。
料理法もわからないまま、面白そうとロシア風ステーキを選択。
デザートはプリンを選んだ。
飲み物は、貧乏根性でワインを選択した。

ビールと食後のデザートは別料金なのが不思議に思ったが、その後よその店も概ね同じだった。これが定番なのであろう。

まずは前菜のサラダとワインが運ばれてきた。
前菜のサラダはまさかポテトサラダとは。
野菜補給にならなかったが、おいしかった。

そしてメインのロシア風ステーキ。
豚肉と思うのだが、ハンバーグとも異なる不思議な調理法。
う~ん、好みじゃないかも。残念。

そして、最後にプリンが登場。
これが意外とおいしかった。
スペインで何度かプリンを食べたが、ここのプリンが一番おいしかった。

ゆっくりと食事を済ませ時計を見ると13時半。
会計を済ませて宿に向かった。
この日はホテルに宿泊。
一人部屋で、しかもトイレとシャワーも部屋についている。
うれしいな。
天気が良いのでシャワーを浴びてから洗濯(手洗い)済ませ、昼寝した。
20キロ歩いた後だからよく眠れた。

夕方目を覚まし、洗濯物を取り込んでからキッチンスペースに置かれているコーヒーとフルーツをごちそうになった。
昼をしっかり食べたので、夜はフルーツで十分。

この日も早めに眠りについた。
なぜならば、翌日は25キロ歩くのだから。
こうして3泊目の夜を終えた。

翌朝は、少し曇天模様。
この日のホテルには朝食が付いていた。
昨日のうちにキッチンにセットされていたパン、フルーツ、ヨーグルト、コーヒーや紅茶をセルフサービスで食べる方式。
だから早い時間の出発でも朝ごはんを食べることができる。

この日は25キロ歩く予定。
前日より長い距離。
しかも天気が崩れるらしい。
6時ごろ起きて朝食を済ませてから、ホテルを出発した。

小さな町を抜けて巡礼路に入るには、思いがけないところから入る。
私よりも100メートル以上前を歩いている、別の宿から出てきた人はその分岐点を通り過ぎて行った。
大丈夫かしら?
と思ったけど遠すぎて声をかけれない。

私は矢印に従い、小道に入った。
半時間近く歩くと後ろから人が近づく気配がする。

さっき私の前を歩いていた人だった。
やはり、道を間違えていたんだな。

追い抜きざまにあいさつをしてから、早いペースで進んでいく。
小休止をして水分補給しながら2時間近く歩いた。
道標の残数によると10キロぐらい歩いたところで、カフェのサインが見えてくる。
少し巡礼路から離れるみたい。
しかし、トイレも借りたいのでカフェに寄り道することに。

カフェラテを注文し、ひと息ついた。
これ以降もほぼ毎日20キロ以上歩くので、休憩もかねて10キロぐらい歩くとカフェに立ち寄っていた。

休憩を終えてから、ひたすら雑木林の中の道を歩き続けた。

時に畑があったりもする。
案山子らしいものがあるので思わず撮影。

この日の道沿いには石造りの1軒の家がある。

前を通りかかると、ベンチが置かれて近くの方が作った作品が並んでいた。
無人販売のようだ。

立ち止まって展示物を覗いてから、再び巡礼路を歩き続ける。
1時間以上歩き続けると、町の入り口に差し掛かる。
この日宿泊予定の、アバディンの町である。

しかし、この日の宿が遠いのか近いのかがわからない。
道行く人に声をかけて尋ねた。
スマホを取り出して、私の宿泊先のホテルの場所を調べてくれた。
町の中心から少し離れているようだ。
私が道を尋ねた地点からだとまっすぐに15分ぐらい歩くらしい。

15分ほど歩き続け、目印になる広場を目指した。
広場の前に宿があった。

建物入り口にあるベルを鳴らす。
チェックインの時間よりも早い時間だったが、スタッフはいたようだ。
※この後、チェックイン時間にならないとスタッフが不在にしていている宿に何軒か遭遇することになる。

早めのチェックインは大丈夫みたいで、部屋に案内してくれた。
昭和なビジネスホテルの趣き。
掃除はきちんとされているようだ。

そして何よりもうれしいのはバスタブがついていること。
しかもきちんと風呂の栓がある。
※海外の安いホテルに泊まるとバスタブはあるが、風呂の栓がないことがままある。

荷物を置いてから、昼食に出かけることにした。
先日と異なり宿の周りは町の中心から少し外れているものの、飲食店は何軒かあるようだ。
そのうちの一軒、値段も手ごろそうなバルに入る。
メニューを見せてもらうと値段も手ごろ。
トルティージャ(スペイン風オムレツ)プレートとビールを注文。
先にビールとおつまみが運ばれてきた。
まさかのトルティージャ。

こんなことなら、ハンバーガーか何か別のプレートにすればよかったかなと思った。
それにしても、一切れと言えどもなかなかのボリューム。
そのうえ、パンもついている。
日本のオムレツとはボリュームがずいぶんと異なるな。

ビールを飲みながらトルティージャをつまんでいると、真打登場。
プレートが運ばれてくる。

これまたなかなかのボリューム。
ちなみにトルティージャの中は、ジャガイモ。
その量が半端でない。
卵にジャガイモが入っているというよりジャガイモを卵でとじた感じかな。

いずれにせよとにかくおいしい。
トルティージャプレートには他には、ハム、コロッケ、サラダがつく。
トルティージャと一緒ぐらいに気になっていたのが、コロッケの存在。
しかし実際に運ばれてくると想像していたコロッケとはずいぶん異なるサイズ。小さくて残念。
しかし、トルティージャとビールがおいしかったので良しとしよう。

遅めの昼ご飯をこれだけ食べると夕方になっても満腹である。
町歩きを終えて夕方過ぎに、ホテルの近くにあるスーパーに向かった。
これまで同様に、翌日の水と晩御飯代わりのフルーツとパンと調達して部屋に戻った。

そして、待望のバスタブにお湯を張って風呂に使った。
思えば旅に出てから3週間近くたつ。
バスタブのある風呂に入ったのは初めてかもしれない。
風呂に入って大満足で眠りについた。
こうして4泊目の夜は更けた。

(中編に続く)


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