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サンフランシスコ、空港のカフェでポテト代を値切る

「9.11」が起こる前の出来事。

仕事の関係でアメリカに行く機会があった。
トランジットでサンフランシスコ国際空港を利用。
同日の乗り継ぎ便がなかったので、一泊した。
翌朝、搭乗手続きを済ませ、あとは出発を待つばかりだった。

朝食を食べずに空港に到着。
しかし飛行機の出発までしばらく時間がある。

手続きを終えてほっとしたからか、急に空腹を感じた。
何か食べようかと財布の中を覗く。
しばらくはアメリカに来ることもないだろうと、ドルをほぼ使い切り手元に残ったのは1ドルちょっとだった。

「この持ち金で買えそうなものはないかな」
空港内をキョロキョロ見てまわる。

残念ながら、店のチョコレートの金額にも満たない。
かといって再度両替するほどでも、クレジットカードで支払うほどでもない。

どうしようかなと思っていたら、ファーストフードを発見。
メニュー表をよく見ると、ポテトのスモールサイズが1.1ドル。

ちょっとだけ足りない。

今考えると、「どうしてだろう・・・」と思うのだが、
カウンターに近づいて声をかけた。

「ポテトを食べたいのだけれども、ドルの残金が1ドル数セントなんです。
何とかなりませんかね」
と図々しい申し出をした。

店員さんは感じのよさそうな若いお兄ちゃん。
「いいよ」と言ってから、私の(米ドル)の全財産を受け取った。

そして、ポテトを入れてくれた。
ただし少しだけ量を減らして。

量を減らしたからといっても、日本のマクドナルドのスモールサイズよりはちょっと多い。
ついでに、ケチャップまでつけてくれた。
非常にありがたい。

これで飛行機を待つ間、腹の虫もおさまるだろうな。

この日のサンフランシスコは雨の日。
少し体が冷えていたので、お兄さんの臨機応変なやさしさが心に沁みた。

さすがに飲み物はもらえなかったけれどね。

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