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心理テストの種類と特徴(その4)

今回は「作業検査法」による心理テストの代表である「内田クリペリン作業検査」を取りあげて説明します。
この「内田クリペリン作業検査」は、これまでの心理テストとは異なり、受験者に、質問に対する答えや、課題に対する自己表現をしてもらうのではなく、単純な作業を行わせるものであるため、他の心理テストに比べて受験者の回答に歪みが生じにくいとされています。(Mr.モグ)

内田クリペリン作業検査とは

 ドイツの精神科医Kraepeline,E(クレペリン) は、1桁数字の連続加算過程に働く精神機能について研究した結果、次のような「5因子」を抽出し、これらの5因子が「作業の推移」に影響を与えるとしました。

〇意志努力:作業に臨んで起こる意志の緊張。
〇気乗り:同一作業の進行に伴う作業へ没頭。
〇慣熟(慣れ):作業遂行のために精神諸機能が統合される状態。
〇練習:慣熟に比べて比較的長く続く慣れ。
〇疲労:作業量の減少。

 この研究をもとに、内田勇三郎が開発した性格や適性評価の心理検査が、内田クリペリン作業検査です。

 この検査は、1桁数字の連続加算という簡単な作業を通じて、その量的・質的な推移から人格や適性を判定するものです。作業検査法によるパーソナリティー検査の一つで、純国産の心理テストとして広く利用されています。

内田クレペリン精神作業検査の特徴

内田クリペリン作業検査の特徴は次の通りです。

1. ランダムに並んだ、隣り合う1桁の二つの数字を連続して加算していくという非常に単純なものです。
(検査用紙には1桁の数字が少し間隔を置いて並べて印刷されています。その二つの数字の間に(2つの数字の)合計を記入していきます。答えが2桁になったときは、1の位だけを記入します。)

例 4と3であれば、(4+3=)「7」と記入し、5と8では(合計が13となるので)一桁目の「3」と記入します。)

2. 数字は1行に116個印刷されており、1行の制限時間は1分です。
(1分ごとに「行を変えて」計算を続けることになります。)

3. この計算作業を15分間続けた後、5分間休憩し、再度15分間同じ作業を繰り返します。

4. 15分間を2セット(計30分)行うため、休息時間も入れると35分程度で実施でき、検査方法がわかりやすく集団での実施も行いやすい検査とされています。

内田クレペリン検査の結果の解釈

この検査では計算能力(スピード・正確性)とともに、単純作業を一定時間続けることによって受ける身体ストレスについても見ることができるため、これらを通して、受験者の性格や精神面・行動面での特徴を判断できるとされています。
1行につき1分という制限時間内に、各行のどこまで解けるかをみることで、その時点での集中力や精神状態をみるとともに、各行の最後に解けた数字を縦につないた「作業曲線」の形状をみることで、検査結果を解釈します。

具体的には、作業曲線には「定型曲線」と呼ばれる平均的な曲線があり、それは1行あたり60個以上の解答、前半の曲線はU字型(もしくはV字型)(最初の解答数が多く、途中で減って、また増える形状)、後半は前半より回答数は多いものの徐々に減っていくというものです。
この定型曲線と、実際の作業曲線を比べることで、
①仕事への取っつきの良さ、
②仕事へのムラの多さ、
③仕事に対する慣れの程度、
④仕事への集中度、
⑤休息後の回復度 

などが分かるとされています。

なお、先行研究によると知能指数IQ作業量とは相関は0.706と高い相関を示していること(※1)や、学業成績と作業量との相関が高いこと(※2)が報告されています。

(※1)『内田クリペリン精神検査基礎テキスト』、日本・精神技術研究所(1973)
(※2)『高校学業成績の規定要因に関する研究』、中塚善治郎、教育心理学研究18,pp.1-18,1970

まとめ

 これまで4回にわたり『ワンランク上の人材選抜 「心理テストの種類と特徴」』を説明してきました。具体的には、
谷田部ギルフォード性格検査(YG性格検査)
ミネソタ他面人格目録(MMPI)
ロールシャッハテスト
文書完成テスト(SCT)
内田クリペリン作業検査

代表的な5つです。ワンランク上の人材選抜を目指すためには、いずれも必要な知識になります。
 他方、この他にもいろいろな性格・適性心理テストがあります。

例を挙げると以下のようになります。
SPI:言語非言語などの能力適性試験と性格適性検査から構成されているもの(リクルートキャリア)
玉手箱:基本構成は能力テスト(言語、計数、英語)と性格テストから構成されているもの(日本エス・エイチ・エル(SHL))
CAB:基本構成は能力テスト(四則逆算、法則性、命令表、暗号)と性格テストから構成されているもの(日本エス・エイチ・エル(SHL))
SCOA: 基本構成は能力適性検査と性格適性検査から構成されているもの(NOMA総研)
など、様々なものがあります。

いずれにせよ性格・心理テストの結果を参考にはしつつも、実際にその人物に会って(面接して)、いろいろ質問などをする中で、見極めていくことが必要になります。
(性格・心理テストの結果を鵜呑みにしてしまってはいけないのです。)

今回も最後までお読みいただきありがとうございます。   (Mr.モグ)

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