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出雲で干物屋を55年営んでいます


はじめまして、島根県出雲市に拠点をかまえる渡邊水産です。
私は三代目の岩田響子です。

私たちは通称:渡すい(わたすい)と呼ばれています。


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愛媛県南宇和で船長をしていた私の祖父が、山陰のお魚のおいしさに魅了されたことがきっかけで出雲に来て立ち上げました。
(この話はなかなか面白いので渡すいの歴史編でまた書こうと思います!)

創業者である祖父の時代、主な取引先は市場でした。

その頃は今ほど多くの魚種は取りあつかわず、笹カレイ、えてかれい、かます、あじ開き、さば味醂等の数品種だけだったと聞いています。

この時は製造したものをまとめて大きなロットで市場へ送れば良かったので、自社には1人も営業がいませんでした。

ほとんど作ることのみに集中できていました。

しかし、わたしの父が二代目をつとめる頃には、主な取引先も市場から生協へと変化していきました。

大ロットでの出荷から個包装への出荷へと変わり、さらに自社で営業もしなければなりません。

これに加えて、「家業」から「組織」へと変革を行っているのが私の父母の代です。


あと数年すると3代目へと代替わりします。

10年前に私との結婚と同時に渡すいに入社してくれた主人が社長になります。

これから始まる私たち3代目のテーマは

「ひろめ・つたえる」 です。

現代の日本では魚離れが著しいです。

特に干物は「嗜好品」のように捉えられ、日常の食卓にならぶ機会も減ってしまい、干物自体を知らない方も増えています。

「干物を食べたことがない」
「そもそも干物ってなに?」

と言う30代の方によく出くわします。(とても悲しい・・・)

ということは、それより下の世代は、さらに干物を知らない人が多いんじゃなかろうか!?と危機感をかなり抱いています。

まずは知ってもらわないといけない・・・

だからひろめるを、3代目がやるべきテーマの1つとしました。

さらにそんな状況なので次の世代へつたえるためには、普通にうまい干物では見向きもされないと思っています。だからもっとさらに高みを目指したいのです。

現時点では97%がBtoB事業の渡すい。

よりとんでもなくおいしい干物作りができる現場にするために3%のBtoC事業を20%に引き上げたい。

そうすることで直接コンタクトがとれるお客様が増えるのです。

自由にお客様へ提案できる売り場が増え、お客様との距離が縮まることによりみなさんのニーズが聞きやすくなります。そして生産者側の想いがダイレクトに伝わるより強固な関係が築けます。


商品に対するストーリーや楽しみ方の提案が直接発信できることで付加価値がつけやすくなり、キャパを超える生産をする必要がなくなります。

もっと丁寧にモノ作りへと向き合いたいのです。

そのために動画配信をしてみたり、SNSでの情報発信も始めました。まだまだ下手ですが、古臭いイメージの食べものだからこそ最新のツールを使ってみたり、デザインやネーミングも工夫してみようとチャレンジを開始しました。

こんなに美味しくて、素敵な食文化を
やすやすと廃れさせてしまうなんてもったいない・・・・。

私は祖父が作ったこの渡すいとその干物が大好きです。
だから渡すいの干物を次の世代へ残していきたいと
強く思っています。
そのために、1人でも多くの方に渡すいを通して
干物という素晴らしい食文化を知り、
その魅力を堪能してもらうことで、
興味を持ってもらえたらと思いnoteをはじめることにしました。


こだわりの仕入れ


私たちは「うまいをあなたへ!~それがわたしたちの誇りです~」をスローガンに掲げ、とんでもなく美味しい干物を作ることに情熱を捧げています。

そのためにまず、とても大事にしていることがあります。

それは《鮮度がよく、おいしい魚》を仕入れることです。

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渡すいが拠点をかまえる出雲は、鳥取方面からも山口方面からも質の高い魚を買いつけやすく、運送もしやすい場所にあります。祖父が惚れこんだ山陰沖の魚たち。そのおいしさの理由を説明します。

【渡すい的、良いさかな定義】
・鮮度がよい→刺身にできるくらいのもの
私たちは、船上処理が優れている漁師さんを中心に買い付けています。

・おいしい魚→旬のもの、産卵前の身太りしているもの
私たちは、次の良い時期までに必要な量を一気に買い込みます。


干物の製造工程はとてもシンプルです。

魚を開く→内臓を取り除く→塩水に漬ける→水洗い→乾燥

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シンプルということは元々の魚が良い物であるからこそ、職人が手をかけることで美味しい干物へと仕上げられます。ぶどうの出来で、品質が左右されるワイン作りととても似ているかもしれません。


そのため、渡すいは原価が75%とすこぶる高いです(一般的に食品製造の原価率は70%と言われています)美味しい干物を作るためには一番大切で、ゆずれないポイントです。

わたしの祖父も惚れこんだ山陰沖(鳥取県~山口県の沖合)で獲れる魚たちは、よく脂がのっていて他県の同業者からも評価が高い場所です。

山陰沖のアジを沼津から漁連が買い付けにくることもあるくらいです。


山陰沖の魚に脂がのる理由

1:中国山脈の恩恵を受けている

ゆたかな土壌が雨で川から海へと流れだし、プランクトンたちのエサとなります。

2:魚のエサとなるプランクトンの質が良い

山陰沖には体が脂でできているプランクトン「カラヌス」が生息しています。


旨味を引き出す塩加減

私たちは塩で味つけをするというより、魚の持つ本来の味を引き出し「旨味を増やす塩加減」を常に意識しています。

使っている塩は、高知県室戸沖2200mの水深300m以上深いところから
掘りだされた、海洋深層水由来のものです。その深さになると潮の流れが違うことにより、汚染されていないクリアな海水であると言われています。

うまい魚を使うのだから、塩もいいものを使いたい。

塩化ナトリウムなどの精製された塩は確かに安価ですが、自然由来の原料のものが体には優しいと考えて、こだわった仕入れをしています。
ほかにも「使わない」と決めているものがあります。


1:アミノ酸やビタミンC、着色料などの添加物一切塩には混ぜません。

添加物は1口、2口目は美味しく感じますが徐々に食べ進めると飽きてきなにより食品として昔になかったものを加えるのは不自然だ、と私たちは考えているからです。

アミノ酸で旨味を増さなくても、その魚が持っている本来の旨味は自然と引き出せます。


いい時期の鮮度抜群の魚を使い、その魚の脂質に合わせた塩分濃度と塩水漬け時間を調整すればよいのです。


ただ、この見極めは非常に難しいです。

特に、旬の時期の魚は1日で身の太り方が変わります。脂質の変化は、魚を開くときの包丁の滑りで見ています。繊細な変化にも気づけるのが手切りの良さです。)

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脂質が変化している場合は、昨日まではちょうど良かった塩分濃度や漬け時間を変更しなければ、同じ味になりません。

チョコレートも「同じ味にするために湿度や気温などに合わせて18種類のレシピがある」とショコラティエの方が話していたのを聞いて、一緒だなぁ~と感じました。

「食品」は奥深く、どんなに長い年数をかけても「正解はない」と私の父は言います。
干物をつくり続けて42年経つ父も、作った次の日の朝にかならず答え合わせのために試食をします。


2:保存料としてのビタミンC、色を良く見せるための着色料

どちらもよく干物に使用されますが、渡すいでは体への優しさの観点から使いません。

その代わり、干しあがり後にすぐ冷凍することで日持ちさせたり、なるべく注文の流れを見ながらタイムリーに製造することで、色みが冷めないようにしています。
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私たちの干物は解凍後、すぐに顔色が悪くなります。でも、これは自然なことだと考えています。むしろ腐りにくい食べ物が、はたして私たち生き物の体内で正常に消化できるのかと考えると心配なんです。

私たちの干物は顔色はすぐに悪くはなりますが、体に優しい干物です。


ふっくら・ジューシーに焼きあがる干し加減

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私たちは 乾燥することを「 干す」と言います。

実は干物はしわが多い方が美人と評されます。人間と逆ですよね(笑)

なぜそう言われるのかというと、しわがあるのはきちんと干しあげられている証しだからです。

じゃあ、なぜ、そんなにも干すということが大切なのかというと・・・


干物を焼くときに水分が多く残っていると、大問題が起こるんです。焼き途中にその水分が膨張しすぎ、破裂し水分とともに旨味も流れだしてしまいます。

逆に程よい水分量だと破裂することなく、コロンと丸みを帯びて、焼く前よりもふっくら大きくなるんです。

そして水分と旨味も流れ出ず、細胞内に留まっているのでふっくら・ジューシーな食味となります。

ね!だから干し加減ってとても大事でしょ?

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解凍しても綺麗に焼ける干物

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お客様からお電話でこのような質問を受けたことがあります。

「解凍して焼いても大丈夫ですか?いつも食べている干物は解凍して焼くとぐちゃぐちゃになるから、解凍せずに焼いてくださいと言われています。」

「解凍したらぐちゃぐちゃになる」のは製造中の干し時間が足りないことが
原因だと考えられます。さきほど説明したように、干しが不十分だと、
魚の細胞水分がたくさん残ってしまいます。。

その状態で冷凍すると何がおこるか?

水は氷になると体積が増します。つまりサイズが大きくなる。そうすると細胞膜をつき破ってしまうことになります。

焼くとぐちゃぐちゃになるのは、余分な水分で
魚の細胞膜がこわされてしまったからなんです。

それを解凍すると、つき破られた穴から水分があふれだし、旨味も一緒に流れでてしまいます。

じつは、これが「ドリップ」の原因です。

残念なことに、解凍すると崩れてしまう、ドリップがたくさんでてしまう、そういった干物がたくさん出回っています。干し時間をはぶくことで、コストを抑えるためです。

旨味が流れ出てしまうような干物は、はっきりと言ってしまうと美味しくありません。干物離れの要因の1つだと残念に思っています。

お客さんが自分の台所でカンタンにストレスなく上手に焼いて、美味しく食べてほしい。

だから「製造経費を安く抑えるために干し時間を省く」ということは絶対にやりません。

私たちはいつも、干物の焼き方の案内にこう明記します。

「解凍してから焼くことをおすすめします。」と。



  

料理にも使える干物

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上の工程を経てできあがった干物を食べたときの味わい。

一言で表すと

磯の薫り香る まろやかな ふっくら・ジューシー食感

です。

さらに誰でも簡単にストレスなく焼ける干物です。このような干物は、料理に使っても美味しいのです。


そもそも干物は、魚の下ごしらえが終わった状態です。

・鱗や内臓が処理されている
・2枚までおろしてある
・塩味もついている



さらに料理に向くメリットがまだあります。
生魚を干すことで、余分な水分が抜けている
だから、火の通りが早い。
その魚本来の味が濃くなり、旨味が増している。

2:骨があるので出汁がよくでる
お出汁の効果で、薄味でも美味しく感じられる
基本的な調味料(塩・醤油・こしょう等)のみで、味がきまりやすい


3:時短料理になる火の通りが早くて味がきまりやすいから、鮮魚から調理するよりも手間が少ない。魚がさばけなくても、三枚おろしが楽にできる。ハサミで切るなど、多少手荒なことをしても崩れません。


つまり美味しい干物を使うと、肉料理よりもハードルが高いと思われている魚料理がもっと身近に取り入れやすくなるのです!


ここまで、私たちの干物づくりのこだわりについて、熱く語ってきました。次回からは「実際にどうやって料理に使うの」「干物をつうじて、どんな価値を提供していきたいのか」を書いていきたいと思います。

渡すいの干物を買ってみたいな!と思った方は「美人干物online」からぜひ買ってみてください。いままでにない干物体験をお届けします!



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ご縁の国 島根県、出雲大社のお膝元で干物をつくっています。山陰沖のおいしい魚を塩だけで干しあげた「ふっくら・ジューシー」「身離れがよい」「塩辛くない」干物です。 Instagram:@izumobosi22 会社HP:www.watasui9899.net

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コメント (1)
こんにちは。
こういう記事、もっと増えれば良いな。
きっと、とっても美味しいんでしょうね。
「実際にどうやって料理に使うの」・・・とても気になります。
お茶漬けとか、出汁付けとか美味しそうです。
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