スリルミー(田代×新納)4/24
スリルミー2021、東京千穐楽となった4/24に観劇をすることができました。
公式な発表は出ていないけれど、たぶんこれが最後になるだろう……と思いながら始まった12:00からの田代×新納ペア。
出演者のお二人には開演5分前に知らされたそうですが、観客は何も知らず。ただ誰もが、そうであろうという確信に近い予感をもって客席にいたと思います。
そうして始まったスリルミー。これまで、このペアに感じていたものと全く違いました。
ラストの彼の安らかな微笑み。それは、魂が天に昇っていく姿を感じさせ「愛されたい」と願う彼の魂を救うために、手段を選ばない一途な私の、魂の救済の物語だと思いました。
私はどんな手段を講じても、たとえそれが殺人でも、彼を救うためならばなんだってやった。彼の望みに応えることで、彼に自分の愛を信じさせたかった。
「彼と共にいたかった」というのは、あくまでも目的のための手段であって、「君のためにこれだけのことを僕はやったんだよ」ということを示すことで、親父の愛を得られないと感じている彼に、「こんなにも強く深く君を求めているのは僕だけだ」という自分の愛を彼に信じさせることこそが目的だったのだと。
最後にはそれを彼もわかって、自分のことをこれだけ愛してくれる人がいるのだと気づいて、彼の魂は救われた。
そんな、これまでにろまりペアに感じていた「私の嫉妬と独占欲」という解釈とは違った「魂の救済」という究極の愛を感じました。
これまでとは違って感じた部分。
「弟を殺す」という提案に私が反対した理由、それは、弟を彼にとって特別な存在にしたくないという私の嫉妬だと思っていたのですが、この回は違った。
弟を殺すことによって、彼と私の罪の重さが変わってしまうからだと気づきました。彼と私は同等の罪でなければならない。そうでなければ、永遠に一緒にいることはできないから。そのためには、彼とも私とも関係のない別の誰かが必要で、「そりゃいいね!」という発言は、安堵であったように感じました。
また、契約を持ち出して私を縛りたがったのは彼であり、この契約は、私を支配するための契約ではなく、自分から私を離さないために彼が求めた契約だったのだと感じました。
そして、彼の計画に乗って計略を進め、「親父の愛」よりももっと強く深い「私の愛」を信じた彼は救われた。それを信じさせることができた私の愛も報われた。
「イカれてる……」といううれしげな言葉は、私の愛を受け止めた彼の返答だった。
本当にイカれているけれど、やり方は間違っているけれど、彼のために命を賭した私の、ただ一つの究極の愛でした。
最後だと知っていたからでしょう、お二人とも気迫が違って、私はスリルミー(曲)中に眼鏡を胸ポケットから落下!!!(でも、彼から目を離さずに拾ったそのしぐさがまた怖くてよかった)
最前列で見ていたこともあって、万里生さんの迫力に舞台から落ちるのではないか?とハラハラしたことも何度か。
あと、こんなにピッチが合っていないというか、朗々としていない、歌い上げない田代万里生の歌は初めて聴いた……というくらい感情に寄っていました。特に、戻れない道(リプ)。ぽつぽつと、絞り出すような歌。CDで聴いていたものとは全く違う。歌に関しては、初日から回数を重ねるごとにどんどんメロディアスでなくなっていった気がします。
こんなに見るたびに解釈の変わる作品を見られることはないと思うので、貴重なラスト1公演を見ることができた奇跡に感謝です。
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