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BTSコンセプト変遷記(デビューから現在までのコンセプトを振り返ってみる)

「今回のコンセプト優勝してるわ~」「あのコンセプトが好きだったな~」
KPOPオタクは息を吐くようにコンセプトという言葉を使いますが、
そもそもKPOPにおけるコンセプトってなんなんだ??

コンセプトとはマーケティング戦略・広告作成において「終始一貫させる考え・構想」というニュアンスで使われる。

これが一般的にいわれるコンセプトの意味だそうです。コンセプトカフェとか、ブランドコンセプトとかそういう風に使われています。

ではKPOPにおけるコンセプトとは、KPOPアーティストやファンが話す
コンセプトという言葉が指しているものとは、

①グループ自体のカラーや方向性を定めるもの
②曲やアルバムに世界観やストーリーを作り出しMVや衣装などに反映させ 
 るもの

かな~と思っています。上で書いた一般的なコンセプトという意味に独自の意味を上のせてして作り上げてきた文化です。

そんな楽しいコンセプト文化のあるKPOPの中でもやっぱり、
BTSはコンセプトメーカーと言わざるを得ません。

いまや世間では、アンダーグラウンドから実力一本で上り詰めてきたような認知のされ方をしていますが(あながち間違いではない)、BTSは戦略的なコンセプトで、確実にファンを増やし、ファンを楽しませてきたのです!

なので!今回は、BTSがグラミーにノミネートされるような大大大スターになるまでどんなコンセプトをたどって来たのか、変遷記的なものをを書いてみます。(長くなりそう。。)

1純度100%ヒップホップコンセプト(2013~2014)

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「No more dream」から「N.O」、「Boy in Luv」の学校3部作では完全にヒップホップコンセプトを貫きました。

特にデビュー曲の「No more dream」では、金のネックレス、サングラス、キャップバンダナなど、もう身に着けられるものは全部身に着けたという感じで、オーバーすぎる気もしますが、「防弾少年団」という名前でヒップホップグループとしてデビューする意思表明が強く感じられます。

それにアイドルとしてのデビュー曲の一言目が
「おい、お前の夢はなんだ!」ですから、このくらい過剰なヒップホップコンセプトくらいでちょうどよかったのかもしれません。

今では、ヒップホップを売りにしたアイドルはほとんどいなくなってしまいましたが、当時はBIGBANGが大帝国を築いたこともあり割とヒップホップブームだったので今見る程、このコンセプトに違和感はなかったと思います。今この姿でデビューするグループがいたら私は全力で止めますけど、、

それでも1年に数十グループがデビューし、数年で流行が大きく変わる韓国アイドル界で、ダサいくらいオーバーにヒップホップをアピールしたことは、どんな形であろうと他のグループよりは確実に話題性がありました。

本人たちはいつもこの時代の人気の無さを面白可笑しく話していますが、
自分たちで作詞作曲をする、ラッパーメインのアイドルグループは珍しく、デビュー当時から割と話題で、KPOP好きな人なら大体知っているイメージがありました。ファンです!と言う人はやっぱり少なかったような気もしますが。

誰に何と言われようが、自分たちのやりたい音楽や、スタイルを世間に見せ、グループの色を確実にし、防弾少年団=ラップ、ヒップホップというイメージを作り上げたデビューから1年ちょっとのこのコンセプトは今のBTSの基礎的な部分を作り上げたものでした。

2 脱ヒップホップ!危なっかしい少年コンセプト(2015~2016)

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「お前の夢は何だ!」とか「Noと叫ぶんだ!」とか言って、重い金のネックレスを振り回して、タンクトップで踊っていた人たちが武器を捨ててかえってきました。

この脱ヒップホップ作戦が功を奏し、「I need you」で、音楽番組で見事、初の1位を獲得しました。BTSはファンが爆発的に増える節目を何度か経験していますが一番初めがこの年でした。

2015年のKPOP界と言えば引き続きBIGBANG大帝国、そして新たに加わったEXO大大帝国、SHINeeや同時期デビューのGot7が人気で、いずれも
成熟した、大人っぽいコンセプトが特徴でした。

そんな中、短パンとサスペンダーを着て、「I need you girl~」と悲しげに歌う姿はとても新鮮で、この少年コンセプトはKPOP界に新しい風を吹かせ、BTSが大衆に受け始めたきっかけとなりました。

さらにこの少年コンセプトは、若さを可愛い方面に切り取るのではなく、若さゆえの危うさとか脆さみたいなところに焦点を当てていたの新鮮でした。当時そんな言葉はありませんでしたが、今思えばいわゆる「エモい」の先駆けで、若い人が好むような、少し抜けた気だるいおしゃれさがありました。

当時KPOPのボーイズグループに求められていた強さや男らしさみたいなものにあえて逆行する形でカムバックさせたHYBEの決断力の高さや「君を振り向かせてやる!」みたいな男らしいラブソングを書かなかったBTSのセンスの良さが光った、最高のコンセプトでした。

3 短パン封印!妖艶コンセプト(2016)

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もう可愛かった少年団はいません。この年を境に少年らしさを封印し、
またまた全く違うコンセプトを打ち出して、新境地を切り開きました。

これまでのコンセプトはヒップホップや少年らしさに振り切っていたということもあって、豪華な装飾や妖艶さ、セクシーさみたいなものは極力抑えこまれていましたが、それがとうとう爆発してしまいます。

2016年発売の「피 땀 눈물」では、宮殿の猫足ソファに腰かけ、チョーカー、フリルのブラウス、ベロアの刺繍ジャケット、大ぶりのピアスを着用し、3年かけて積み上げてきた防弾少年団に対する、イメージを自らぶち壊しました。ぶち壊すと同時に新たにセクシーという武器を手にし、新しい境地へ踏み出すこととなりました。

「I need you」や「Run」のようなエモコンセプトを発掘して人気を得たのに、また全く違う方に振り切るというのは容易でないことだと思います。私がPDだったら、もう一年くらい引きずってしまいそうです。。

この思い切ったイメージチェンジが、今後行われていく、多様なコンセプト展開への予告となり、BTSのコンセプト消化能力の高さを証明するものとなり、これからの姿がより楽しみになりました。

さらに、ちゃんと実績も残していて、ビルボードにランクインするようになったり、年末の歌謡祭で大賞をとったりと、更に大きなグループへと成長させたコンセプトになりました。

4おかえりヒップホップ&コンセプトの無いコンセプト(2017)

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2016年にめちゃくちゃ跳ねた少年団たちは2017年に美しくヒップホップコンセプトに凱旋しました。

「I need you」や「피 땀 눈물」で爆発的に増えたファンはデビューあたりのヒップホップコンセプトをファンになってから振り返り、「どうして彼らの魅力にもっと早く気付かなかったのだ」と長い間後悔していました。(私)

そういうファンがたくさんいる中で、ここに来て原点回帰!ヒップホップコンセプトが復活しました。2017年はwannaoneやseventtenなど、王道アイドルソングが流行している雰囲気があったので、ここでまたヒップホップを見せてくるあたりがさすがという感じでした。

デビュー期のヒップホップコンセプトをリアルタイムで応援できなかったファンに対してはプレゼントのようなコンセプトとなり、さらに、少年っぽさや妖艶さで認知されたBTSが、世間に対して、ヒップホップグループであることを再認識させたコンセプトでした。

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そして、タイトル曲の「DNA」はデビュー以来初のコンセプトのはっきりしないコンセプトになっていると思います。長い間暗いコンセプトで世界観を守り続けてきましたが、ここに来てそういうものを全部取っ払って、実力で勝負!という感じがしました。

歌詞やメロディー、衣装MVなど総合的に見て、BTSの曲の中では一番アイドルらしい曲かなと思います。「BTSって好きな人は好きだよね~」みたい人に対してどしどし、売り込んでいった癖のないコンセプトでした。

KPOPは世界観を作りこんでなんぼの世界なので、こういう何もない曲は、このタイミングのBTSだったからこそ上手く成立し、元からもっていたキラキラさとか実力とかそんなものが顕著に表れていました。そして、この年が、2度目のARMY爆誕イヤーとなりました。

5 カムバック、ダークコンセプト(2018)

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せっかく闇コンセプトを抜け出したと思ったら「FakeLove」でさらにダークさを増したコンセプトが誕生しました。大衆ウケの良い「DNA」でファン爆誕させた後に、こういう自分たちの世界観を見せつけるあたりがなんともBTSらしいなという感じがしました。

衣装ではハーネスを着用していて、ボーイズグループのハーネス姿は新鮮で印象的でしたが、その後しばらく色んなグループが衣装に取り入れているのを見て、やっぱり影響力あるな~と感心していました。

さすがコンセプトメーカーと言われるだけあって(私が勝手に呼んでいます)その時に流行ってるコンセプトの一つ先を行って、KPOP界はもちろん世界の流行を作っているということがこのあたりから確実になってきたと思います。

6アフリカ×韓国=奇抜コンセプト(2018)

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BTSはどれだけ人気になっても、まだまだ新しいコンセプトに挑み続けます。「Idol」ではアフリカと韓国が融合した過去一奇抜なコンセプトを見せました。

結構長い間KPOPを見てきましたが、こういうコンセプトは、本当に初めてで、人を選び、一歩間違えれば大変なことになりそうですが、BTSのこれまでの経歴と実績が彼らへの信頼につながり、BTSだからかっこいいという段階まで来ていることがよくわかります。もう誰も真似できない、、

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そして、やっぱりBTS!と言わざるを得ない韓国の伝統文化を取り入れたコンセプト。曲の中にも伝統的な楽器の音や、掛け声がたくさん入っているのでコンセプト先行ですごい!というわけではないですが、

ここまでワールドワイドになった人が自国の文化で勝負するというのが本当にカッコイイなと思います。私は韓国人では無いので当事者として実感はできませんが、もし日本にBTSみたいなグループがいて、その人たちが日本の文化を背負ってかっこよくラップしてたら、どれだけ誇らしいだろうと思いますね。

Idolよりも前からずっと出身地や方言を歌った曲をたくさん作っていて、そのたびにカッコイイなと思っていましたが、それがついに衣装やPVでコンセプトとして明らかになってやっぱり素敵でした。

このタイミングでこれができるのが私たちのBTSです!

7コンセプト期の終焉(2019~)

終焉というと寂しいですが、2019年の「Boy with love」を境に、ストーリー性を持たせたり、世界観に入り込ませるような、はっきりしたコンセプトがなくなってきたと思います。曲もここから今までと変わって自分たちの思いをぶつける!というより社会とかファンに対する願いを歌っている優しい曲が増えたという状況も相まって作りこまれた世界観もそこまで必要なくなったのかなという感じがします。

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そんな中でも「ON」では久しぶりにダークなBTSが見られたし、
「Dynamaite」では初めてのレトロ、「PTD」ではカウボーイなど、大人になって洗練された今でもずっと新しい姿を見せ続けてくれています。

毎回カムバックするたびに、「まだそんなコンセプトが残っていたのか、」と驚いて、そしてあまりにも何でも似合って全部カッコイイので困ってしまいます。すごいな~。

8個人的に好きだったコンセプト番外編

そして!そして、どうしても写真を貼りたい、話さないとおさまりが付かなかったので、個人的に好きなコンセプトを置いておきます。

쩔어

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正直コンセプトとしては、これが最高傑作じゃないですか?
オタクが一番みたい職業コスプレ衣装。

でもこれただ職業コスプレ衣装を着てるわけじゃなくて、
曲として、「みんながクラブで遊んでる間に、俺は仕事してたけど」みたいな歌詞なのでしっかり曲とコンセプトが一致してるんですよね。だからただオタクを喜ばせるためだけに着るコスプレ衣装とは訳が違うんですよ。かっこいいです。

・Dionysus
PVもコンセプトフォトも何も出てないのでコンセプトと言えるのかわかりませんが、ステージがかっこよかったです。

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Dionysusってギリシャ神話に登場するお酒の神様の名前らしくて、
前からイカロスとか、なんとかティウスとか度々登場させているんですけど、神話を曲に反映させてそれをステージでコンセプトとしてかっこよく消化できるってやっぱりかっこいい。。

ステッキ持ったり、マント着たり、机の上に椅子のせたり、もうアイドルとしてできることは全部やってくれた!おつかれさま!

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変遷記といより変遷感想文みたいになってしまいました。

BTSのみならずKPOPのコンセプト文化がやっぱり好きです。
一つのアルバムに、一つの曲に、アイドル生命をかけているような全力具合はやっぱり、応援しがいがある。

アイドルはもともと聞く音楽というより見る音楽という感じですが、
KPOPは確実に見る音楽としての最高峰で最高潮。スタイルは多様化されてそれぞれ個性がありますが、ひたすら「可愛い」や「かっこいい」だけを求め続けることに一生懸命なKPOP文化は非常に魅力的で、そのシンプルな思いがここまでに広く世界に浸透する大きな理由でもあると思います。

カムバの日まで髪の毛を見せないよに毎日ニット帽をかぶり続けたり、
頭皮が心配になるくらい脱色をして、ファンを毎回楽しませてくれるアイドルたちが愛おしく、ありがたい。

今度また、他のアイドルのコンセプトについても書いてみようと思います!
考えるだけで楽しい!


                     

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