45、その少年も受験

その少年はどこの高校を受験するか悩んでいた。

候補は3つあった。


1つは英語の授業が多くある高校。
理由は英語が喋れる様になりたいというだけだった。

その少年はアメリカに漠然と憧れを抱いていた。

いつか、必ずアメリカに行くと思っていた。
その為に英語を話せる様になっていたかった。

しかしこの学校の偏差値は80ほどあり、全然足りなかった。

その少年は50程の偏差値しかなかった。

あと半年ほどで偏差値を30も上げるのは無理だと、バカなその少年でも理解できた。


2つ目の希望の高校は授業を自分で選択できる高校。

ここは偏差値80の高校ほど英語の授業はないが、自分で英語の授業を多少増やすことが出来た。

この高校の偏差値は60ほど。

圧倒的に無理なラインではなかった。
が、人気の高校で倍率がなかなかに高かった。

偏差値が60あったとしても3人に1人しか合格しないという状況だった。

その少年はギリギリ落ちるかなという読みをした。


残る1つは偏差値40ほどの何の特殊なシステムもない高校。

ここは受験勉強をしなくても合格はできるだろうと読んでいた。



他の高校も色々と担任の先生は提案してくれていた。

しかしその中でもこの3つに絞ったのは、3校に共通していることがひとつあった。

それは3校には軽音楽部があるということだった。

その少年は高校に行ったらバンドを組もうと決めていた。

これは何よりも優先されている決定事項だった。



その少年は、根底では高校に行かなくてもいいと思っていた。

高校に行くよりもやりたいことが他にあった。

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