49、その少年とおじさんみたいな同級生

その少年はトカゲに似た上田先生に連れられて軽音楽部の部室に行った。
(軽音楽部に連れられるまで:前回の記事【48,その少年は憧れの部活へ】参照)
https://note.com/watashiomu/n/na4c4ad846902


軽音楽部の部室は、6畳ほどの狭い空間にドラムセットとギターアンプとベースアンプが置かれているだけの質素の空間だった。

防音の重たい扉を開くと、モアっとした生暖かく空気を感じた。

部室にはエアコンがなく、夏はここに来るのをやめようとその少年は決めた。

上田トカゲ先生は「一応、ここが部室なんだけど。どうする?」とその少年に聞いた。

「どうする?とはどういうことでしょう?」
その少年は当たり前に聞き返した。

上田トカゲ先生曰く、3年生の女子生と4人がたまにここで音合わせをやっている程度で、部活としての活動は特に何もないとのことだった。

その少年は女子4人しかいなく、何の活動もしていない軽音楽部の実態を知った。

それを知ればその少年が諦めると思った「どうする?」のようだった。

上田トカゲ先生は決定的に「やめとく?」とも言った。

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