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back number 「黄色」のMVを見て

 back numberが好きだ。
 このグループの映像はいつも美しい。

 日付を超える前の26日、コロナ禍の影響によるインターハイ中止をきっかけとして制作・公開された“水平線”のYouTubeでの再生回数が1億回を突破した。想像すらつかないような数字だ。
 世間では恋愛ソングのイメージが強いback numberだが、実は自分の内面との葛藤を歌った曲や、先述の水平線のような、自分ではどうすることもできない、世の中に対してのやり場のない気持ちをどうにか消費しようという向きの曲なども、実は名曲である。

 日付が変わって今日9/27、新曲「黄色」が0:00にYouTubeにてMVがプレミア公開された。
 第一の感想としてはやはり映像美。そして次の感想はというと、これがなかなか難しい。5:09という尺の中に、一本の映画くらいのストーリーが詰め込まれている。そんな見応え。起承転結。
 この曲はAbemaの人気恋愛リアリティー番組であるオオカミシリーズの今作「虹とオオカミには騙されない」の主題歌となっている。当の私は前にこのシリーズをみたことはあるが、若者の恋愛についていけない年齢を感じているため、今回は見ることは最初から諦めてしまっていた。が、事前にYouTubeにて公開されていた予告映像から、番組にぴったりな曲だという印象を受けていた。つまり、最近のback numberのエッセンスが加わっているものの、今までback numberが多く主題歌を務めてきた恋愛系の曲と同系統であると感じたということである。
 しかしこのMV公開で、私のイメージは180°覆された。
 社会問題、とか、今の世の中の流行りだ、とかそういう言葉では括ることは不本意ではあるが、上手い言葉が見つからずこう括ってしまうことをお許しいただきたい。このストーリーは最近よく耳にするようになった、同性愛がテーマとなっているお話だ。
 考えさせられる。この間久しぶりに会った友達は、「女の人って、ほとんどの人が男でも女でも恋愛対象として受け入れられるらしいよ」と言っていたことをこの話題になると思い出す。他の友達は、酔った勢いではあるが、女の子同士でキスをしていた。この2人は彼氏がいたり、そんな関係の男友達がいたりする。なんとなくメディアの中での話だと思っている自分がいるが、実はもっと身近なことなのかもしれない。私が気付いていないだけで。
 そんなことを考えながら改めて“黄色”を聴いてみると、歌詞が心にグサグサと突き刺さる。
 些細なことから始まる想い。日常の風景。思いやり。他人に、ましてや本人になんて伝えることのできない秘めた想い。気付かれないように偽った表情。心情に連動するかのような周りの情景。今はまだ社会的少数派であることも理由の一つだろうか、「誰かの笑う声」「私はまだ動けないでいる」。
 苦しい。私は全然世の中を分かっていない。こうして書いていることもまた、誰かを傷つけているのかもしれない。先日もLGBTについての文章を書いたが、これではまだまだ知った「つもり」である。
 有名で影響力のあるバンドとしてこのテーマで言葉を、メロディーを伝えるというのは、簡単なことではないだろう。歌詞を書いている依与吏さんが気にしいであること(これは本人が公言している)に始まり、チームback numberはとても思いやりや優しさのあるチームで、その行動にそれぞれ意味があるということを私は1ファンとして知っているつもりだ。ならばそれを受け取ったファンとして、感じることがあるのならば、そのことをしっかりと考えるべきだ。私はそうしたい。
 自分を守るため、という保守的な理由だけではなく、他人を傷つけないためにも、もっと学んでいかなくてはならないと思う。

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