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私の結婚。

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最近の記事

いわゆる昼逃げ

ー玄関の飾り棚に手紙を置いた。  三行のメッセージ。 築3年目で、他業者が見るところ1億はかかっただろうという広く美しい家。そこら中にイタリア製のレンガやらタイルが使われた上質な空間、最新の設備。 そこから子どもと二人で出る、行き先は私の実家。 いつものように園に子どもを迎えに行き、何も伝えず羽田空港に向かう。担任の先生にもいつもの挨拶をする。 ドレッサーと子ども椅子のストッケ、私の仕事道具は、スマホで見つけた昼逃げ・夜逃げ専門業者とやらに運び出してもらった。 私には

    • 共に過ごした時間

      夫だった人とは大恋愛をした。 きっと、夫だった人にとっても人生で最大の大恋愛だったのではないだろうか。そんな気がしている。 池袋にある彼のアパートで幾度となく重ねた逢引は、2人だけが知っている甘い蜜のある秘密の場所の様だった。 私たちの歴史が始まったのはそんなところだった。 実際に彼の部屋に入るまでに、丁寧に育てられている木々や花々が堺がわからないほどに置かれている。季節ごとに彩りや香りが漂うシークレットガーデンを抜け、アルミ製の階段を足音がなるべく立たない様にそろりそ

      • 私の結婚

        ー私の結婚はなんだったんだろう。  この7年間はなんだったんだろう。 市役所から出て駐車場に停めた車に向かいながら、ふと “私の結婚” という言葉が頭に浮かんだ。 現在私は34歳。4歳の子どもがひとり。 見知らぬ地にやってきて2年半が過ぎ、私の人生は一変しそうだ。

      いわゆる昼逃げ