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スマホばっかり欲しいなんて。

ある日、家族のライングループにこんな文字が並んだ。
「新しいiPhoneが出るから自分のお金で買うから
何色にしよっかなぁ!」
(ルンルン✨ワクワク的な感じが滲み出て文字から溢れ出ている。)

送り主は双子の姉だった。姉はスマホやタブレットが大好きで新しいもの好きである。
新しいものが出るとそれを手に入れるまで、エンドレスにLINEが鳴る。

欲しい欲しい祭りが始まるのだ。

わたしと母にとっては嬉しくない祭りだ。

わたしと母は定期的にそのLINEが来ることを、マタハジマッタネ、と。その度、戦いだ。と覚悟をきめるのであった。

と言うのも、わたしの姉にもわたしと同じように障害があり車椅子ユーザーである。
そして、わたしよりサポートが必要なことが多い。例えば姉は、ほしいものがあった時ほしいと伝えることはできる。できるどころか激アツ熱意マシマシのアピール上手なアラサーだこと。
(激しめアピールやばい。周りは汗汗って感じだ。)

しかし、姉は自分でお金を出したり、今ここでこのお金を使ったら、この時に困るからやめよう。
というように先を想像する事が難しい様だ。
その辺りは周囲の理解や説明が必要だ。

とは言え、説明があったからと言って、
それで黙る様なお方ではないのだ。
欲しいものは欲しい!!となり
思い立ったら即行動!(ドヤっ✨)となるらしい。
厄介なのがその頻度。
新しいiPhoneが出るとかなりの確率で開催されるこの祭典(祭典なの??大丈夫?)2年に一回ほどだろうか。

つい先日も例によって、欲しい欲しい祭りが始まった。
もうこうなると、一緒に出かけていて、
あ、これかわいいね❤️と話しかけても、
今スマホのためにわたしは我慢してるの!!(フン)
怒っているアピールが凄まじく、
けーちゃんは黙ってて。うるさいよ!的にスマホ一色になるのだ。

それだけではない、その間も、
家族LINEを開けば、いつ買えるの??自分のお金で買うから。と決まり文句が始まる。コロナ禍で外出自粛が必要な時期、今すぐでなくてもいいし、まだ使えるよ。と話しても彼女には
一向に響かない。

そうなると母はイライラしてきてなんだか雲行きが怪しくなるのが常。LINEでは2人の盛大なバトルが始まる。
わたしはあたふた。ザワザワするのであった。
加えてわたしも例外なくイライラするのであった。

ところが、こちらの気持ちなどお構いなしに、とめどなく彼女からは、既読になぁれ✨、お願い。などと言う呪文、いや、念力が送られてくるのであった。冷静に返せば、
読めない、ひらがなにして。という切り札まで投入されるのである。

確かに読めない部分もあるかもしれないが、多分流れ的に彼女は理解している。

あのね、我慢なりませんわ。(急に誰なん?)

考えてもみてほしい(この先何が書かれていても、返答はひとつ、しんどいよね、でもちょっと笑えるでお願いします。笑)
仕事が終わり帰ってきて開いてみたら、
ねぇ、iPhoneいつ?今週?来週?
ニコニコで目を宝石のごとく輝かせながら幸せそうに打っているであろう期待の言葉が並んでいる。
これだけ見たら、かわいいじゃん!てなるかもしれないが、かわいいだけでは済まない事もあるのだった。

そこでついに言ってしまった。
あのね、コロナでみんな我慢してるの。
今すぐに変えなくたっていいじゃん??
毎日毎日うるさいよ?と。

すると、既読という文字が寂しげにこちらを向いている。

母にはけーちゃんは凄い。わたしはあんな風には言えない。と言われた。わたしより、介助者のサポートが必要でコロナでなかなか自由な外出が難しい姉を考えると、母は買わせてあげても良いのではと言う気持ちに心が傾いているのを勝手に感じた。

母の立場はそうであろう。
優しい母は単純にそう思ったであろう。

しかし妹のわたしは違った。
みんな、コロナという極悪菌に疲れ果て、みんなそれぞれ制限されている。
障害があるから、制限に制限を重ねると。。。という気持ちはわかるが、姉ももうアラサー、難しい事は人よりあっても、そこはしっかり説明する必要があるし、それが双子の妹という対等な立場としては正しいのではと思った。

障害がある中で制限がある。これは事実としてあると思う。
だから自由にできる部分は本人の思い通りに。
わかる。すんごくわかる。この考えも間違いとはわたしは思わない。母の姉に対するきっと愛だから。

そういう人も必要。
だけどそれを許す人たちばかりではいけないと
わたしは思う。
そもそも、障害があるから、できるできない、そういうマインドがない社会にしていきたい。

ただ、わたしもその、激アツ熱意マシマシで
アピールする力はちょっとほしい 笑


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