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「同じ職種の人は似たような文字を書く」説を検証してみた

これは フェンリル デザインとテクノロジー Advent Calendar 2022  8日目の記事です。

先日、面白い本に出会った。 「美しい日本のくせ字」という本だ。

いろんな人の「くせ字」が著者の軽快な解説とともに紹介されている。
読んでいると「くせ字」というものが愛おしくなり、私の周りのあの人はどんな字を書くんだっけ、なんて考えながら一気に読んでしまった。

そういえば、中学・高校生時代は授業中に手紙を書いたり、ノートを取ったり、手書きの文字を書く機会も見る機会もたくさんあった。
しかし昨今ではスマホやパソコンがあればメモは取れるし、手紙よりLINEだしわざわざ文字を書く機会も、見る機会も減ってしまった。少し寂しい。

手書きの文字にはペンの持ち方や性格、考え方、美的感覚なんかが表れているんじゃないかと思う。だから手書きの文字には血の通った人の温もりが感じられるのだ。
そこで私はひとつ仮説を思いついた。
手書き文字に性格が表れると言うことは、根本的には似た性格・考え方・美的感覚の人が集まるであろう同じ職場の同じ職種の人は似たような文字を書くのではないか、という仮説である。

フェンリルに10月入社して3ヶ月弱。この会社には400人以上の社員が在籍している。フェンリルのデザイナー、ディレクター、エンジニアから手書き文字を収集し、「同じ職種の人は似たような文字を書く」説を検証してみた。

「同じ職種の人は似たような文字を書く」説検証

参加人数:12名(私を含めた数)
検証方法:デザイナー・ディレクター・エンジニアの手書き文字を収集し、特徴別に振り分ける。(※特徴の振り分け方法は私の主観)
依頼条件:「過去に書いたメモでも、その場で書いたものでも構わない」という条件で各自の手書き文字を写真に撮って提供していただいた。

今回、手書き文字の提供にご協力いただいた11名の方々、この場をお借りして改めてお礼申し上げたい。ありがとうございました。

それでは早速、彼らの手書き文字の特徴を見ていこうと思う。
文字の特徴別に並べてみたところ、やはり同じ職種の人が書いた文字には似た特徴があることがわかった。

右上がり型

該当者は、ディレクター3名。
全体的に右に傾いており、おそらく書くスピードはかなり早い。急いで文字を書く場面が多いであろうディレクターがこのような字を書くのは納得できる。ちなみに私もこの「右上がり型」だが、急いでなくても走り書きしがちである。

デザイナー/ディレクター Tさん
デザイナー/ディレクター Hさん
ディレクター wさん(wさんと言うか私である)


つぶつぶ型

該当者は、エンジニア2名。
一文字一文字の間が開いており、つぶつぶした文字。フォントで言うと「こぶりな」の印象に近い。また、「、」「・」をひとマスと捉えているところが、コードを書くことに慣れているエンジニアらしさを感じた。

エンジニア Sさん
エンジニア Tさん


角が取れた丸み型

該当者は、デザイナー2名とエンジニア1名。
柔らかいタッチで、全体的に丸っぽい印象。特に、「有」「町」「視」など右側の角は全て角が丸みを帯びている。可愛らしい印象の文字だ。

デザイナー Kさん
デザイナー Kさん
エンジニア Nさん


角までしっかり丁寧型

該当者は、ディレクター2名。
行間の空いた丁寧な文字。line-heightで言うと2〜2.5ほど空いている。
これらの共通の特徴は角がしっかり角張っていること。一文字一文字丁寧に書いていることが想像できる。

ディレクター Kさん
ディレクター Oさん


「の」が特徴的な左利き型

該当者は、デザイナー1名。
まさに「の」が特徴的。よく見るとほかの字も微かに左側に傾いており左利きならではの筆跡が表れている。これからこの「の」をみたら彼女の字だとわかるだろう。

デザイナー Sさん


どこかで見たことがある

該当者は、エンジニア1名。
学生時代どこかで見たことがある、「同じクラスの男子の字」みたいな字である(褒めている)。
文末に「〜」を書くことで深刻さがなくなるため、彼の家の寒さは笑って話せるレベルではあることが想像できた。

エンジニア Tさん

検証結果

「手書き文字には性格が表れ、同じ職種の人は似たような文字を書く」
この仮説は、まあまあ当たっている!

今回検証人数が少なかったのが心残りではあるが、12名分の文字でも同じ職種の人の文字が似たような特徴になる傾向が確認できた。

個人的な感想としては、いろんな人の手描き文字が見れただけで楽しかったのだが、なんとなく「この人はこう言う字を書くだろうな…」と言う予想は割と当たっていたことも面白かった。
どれも個性的で素晴らしい手書き文字だった。

余談

最後に何年か前にリリースされて話題となっていた手書きフォントを紹介する。

小学一年生が実際に書いた文字をベースに作成された手書き文字風フォントである。書けない漢字は黒いソフトクリームで塗りつぶさている(私の時代は誤字はイモムシで塗りつぶしていた)。
このような手書き文字をベースにしたフォントはいくつかあるが、この「全児童フォント」は特に精度が高くて印象に残っていた。
手書きフォントを作るなら、フェンリルのスタッフの手書き文字をAIで平均化した「フェンリルフォント」があったら面白いかもしれない。社員の手書き文字にも会社の「色」が表れるのだろうか?

ちなみに自分の手書き文字をフォントとしてダウンロードできるサービスもあるようなので興味がある方はやってみたらいかがだろうか。


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