意味のないこと

不登校の兄の登校に付き合う。両手にたくさんの荷物を抱える。みそ汁をこぼす。ピアノのレッスンを辞めたいと主張する。

カオスでなんの脈絡もなさそうな夢を見る。

校長室の電気を付ける。災害で人がいなくなる。母親が私に付きまとう。

意味のない夢だ。夢は意味のないことを私に語りかけてくる。私は意味のないことをずっと覚えている。記憶にこびりついて離れない。

意味のないことが人生にどれだけあるだろうか。たくさんある。日々、意味のない人生をぼんやり生きている。私がいなくなっても、意味のない人生は続く。人は私のいない場所で、今日もぼんやり生きていく。

希望と活力にあふれ、意味のありそうな人生を送ることこそが、意味のない人生の始まりだ。そんなこと意味がない。それよりも、毎日をぼんやりと、今日の天気は晴れか、と、お日様は温かい日差しをくれるかな、と、散歩でもしようか、と、道端に咲く小さな花はどこにある、と。ぼんやり、そんなことを考えながら外に出て、歩いてみることに本当は意味がある。

意味のあることをやっても、意味のないことは消えない。意味のあることと意味のないこと、その二つをバランスよく自分の人生に織り交ぜて、生きていくことが大切なのかもしれないと、夢は私に教えてくれる。どちらか一方ではつまらない人生になってしまうよ、と。意味のない夢は、意味のあるメッセージを持っている。

無意識下での意味のなさを抱え、今日も私たちはそれぞれの人生を生きていく。

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