夢の中

パソコンを開きツイッターを見ていると、背後から視線を感じる。そこに立っていたのは母親だった。左手にはノートを、右手にはペンを。ノートをよく見てみると、私のプライベートのツイッターIDが書かれていた。その瞬間、激しい嫌悪感と怒りが私を襲った。

「なにやってるんだよ!!!!」

そう力の限り叫んだ。しかし母親はひるむことなく、ノートを隠し、私を見てこう言った。

「ただ掃除してるだけよ~」

そんなことはない。私は見たのだ。ほかの誰でもない、私のツイッターIDがそこに書かれていることを。

ここは夢の中。はぐらかす母親に殴りかかることだってできた。もっときつく問いつめることだってできる。それなのに、私はそれをやらなかった。やれなかった。

心の中には激しい怒りがあるにもかかわらず、それを見過ごし、それから何事もなかったかのように、「そっか」とやり過ごした。

あきらめた。私は世界をあきらめた。見限った。こんな理不尽なことばかり続く世界に疲れ果てたのだ。母親から監視され、うそをつかれる。自分の言いたいことも言えない。殴られている子供がいる。

私はなにもできない。無力感に支配される。いっそこのまま世界が消えてくれればいいのに。全部、丸ごと。みんな。なにもかも。そう願ってやまない。

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