見出し画像

魚【詩】

冷たい雨を浴びながら
光る道を走る

先に見えるのは
彼女の後ろ姿

傘もささずに進む彼女に
差出せる傘もない
わたしの両手には何もない

冷たい雨は靴下に
じわり染みて
足を引っ張るから
彼女にいつまでも追いつかない

手を伸ばそうとしても
雨が腕を重く沈める

いくら走っても追いつかない彼女は
まるで魚のように雨の中で
キラキラ輝いて消えていった

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?