『手当たり日記 12』思いがけず店 2023年11月21日
インスタでどこからともなく流れてきた投稿。
「愛とは」
エマ・K 6歳
歯がない時は笑うのがこわい
でも
あなたの友達は
あなたの一部がなくったって
あなたのことを愛している
愛とは、それを知っていること
(拙訳)
美しい一片の詩に出会った。
今朝、実家から職場に行く途中でカフェに寄り、ボトルにコーヒーを入れてもらった。実家と、今住んでいるエリアの真ん中くらいにあり、たまに寄る店だ。都内に店舗をいくつか構える、拡大中のカフェなのだが、今朝寄った、10席もないこぢんまりとしたこの店舗が1号店らしい。素朴なインテリアと、控えめだが親切で丁寧な店員にいつも惹かれる。若い店員さんに、飲みたいコーヒーの希望を伝えると、いくつかすすめられたなかに、みすみずしささえ感じるジャスミンのような香りがするものがあった。嗅いだ後、即決。その香りの印象が、なぜか気になり、ボトルにコーヒーを入れてもらった後、挽いていない豆も150g買った。
流行りやマスに人気があると踏んだものを一辺倒に押し売られるのではなく、その場の対話を通して生じた小さな驚きや、発見が自然と購買を誘う店が好きだ。
店舗商売というのは、一見「需要があるものを用意して並べ、対価をもらって客に提供する」行為に見える。もちろん人が生き延びる上で、そういう商売も必要だ。だけれど、僕が惹かれる商売は、探してもいないし、想定もしていなかったが、出会った瞬間、前からこれを探していた、と感じるものに出会える場だ。
主体的に選ぶわけでもなく、店の売り文句に買わされるわけでもない。そして、大概そういったものは、必需品ではない、ムダなものだ。ムダだけど、手間のかかった良いもの。良いものに選ばされる。今朝の店には、そういうものが並んでいる気がする。
自分が店をかまえるなら、そんな店にしたい。ほかに何一つ妙案はないが、できれば、眺めがいい立地だといい。
今日は、「逆スナック」に、ゲスト店主としてお邪魔する日。池袋で電車を降り、人混みに紛れ歩いていると、地下鉄の電光柱広告が目に止まる。「駅近!」「きれい!」「カフェ併設」「屋上庭園」などと次々と現れ、なんの広告だろうと思っていると、「都心キャンパス」と出た。そこそこ名の知られた総合大学の広告だった。富裕層向けマンションのようなマーケティングキーワードを駆使して宣伝をしないと、お客様が来なくなってしまったのだろうか。屋上庭園を欲して入学した学生が、思いがけない出会いに恵まれるといい。
「逆スナック」の詳細と、ゲスト店主をやっての感想などは、明日書きます。
★今日のあだ事まめ事
よく、テイクアウトのランチセットを買いに行くレストランカフェの顔見知りの店員さんに、「おつかれさまです」と言われた
逆スナックの帰り、信号待ちをしていたら、後ろから「もしもし、俺だよ」と聞こえた。男性がガラケーで電話をしていた。
初めて会った人にこの日記の説明しようと思って、気合い入れてタイトルの由来を語ろうとしたら「でざわり」日記って言っちゃった
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