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【6日目】ウルグアイ牧場滞在記2019

DAY 6 2019/08/30(土曜日)


6時に起きて、早朝から散歩に出かける。
外は星が見えるほどまだ暗く、6時半を過ぎたころから徐々に明るくなる。


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太陽が昇る方向を目指して歩くが、
東の空には雲がかかっているので、日の出を見ることは出来ないだろう。


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(生まれたばかりの子羊が壁にもたれてこちらを見ている)

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しばらく歩いていると、出産後に力尽きて横たわる母牛、すぐ横には生まれたばかりの子牛がいる。

子牛は座ったまま必死に泣き叫んでいる。
母親は横たわったまま苦しそうに息をしている。

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しばらくするとニコが、ミルクを入れたペットボトルを持って近寄ってきた。


子牛はすぐに立ち上がり、夢中でミルクを飲んでいる。


ニコが走りだすと、ヨタヨタしながらも後を追いかけて走っていく。


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(ミルクを与えるニコ)


湖に向かって歩き出すと、死んでいる子羊を見つける。


昨日の雨で地面は濡れ、羊の糞は海藻のようにふやけ、辺り一面に広がっている。

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(昼食、ミラネサ)

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(デザートのパンケーキ)


午後からは馬に乗る。


2時間くらい練習できればと考えていたけれど、
10分乗ったところで馬に拒絶されてしまった。

指示した方向に行くのをやめて、自ら小屋に戻っていく。


馬とのコミュニケーション不足、乗り方が下手というのが問題だろう。

一番大人しくて、何でも言うことを聞く馬ということだったけれど、すげー怒っている。

前脚で地面を叩いたり、不愉快そうに口を動かしている。


機嫌を取ろうと体をなでても、目が怒っている。

乗馬ではなく、一緒に散歩することに。

乗り方が悪くすいません、といった一連の反省事項を謝罪したり、
体をなでたり、草を食べるのを眺めたりして
3時間くらい一緒に過ごした。

彼女の目からようやく怒りの色が消え、
自分も馬への恐怖心や、接し方のぎこちなさが無くなった。

見回りに出ていたガウチョたちが戻ってきたので、
鞍(くら)や轡(くつわ)を外してパドックに開放する。





午前中にみた母牛の状況を聞くと、
死んだので皮を剥ぐという。


走って現場に向かうと、ガウチョたちが既に作業を始めていて、
半身の皮がはがされているところだった。

やるか?と聞かれたので、ナイフを借りて作業を手伝う。


動物の解体は、ここの生活で覚えたかったことの一つだ。

初めての解体に、吐いてしまうかもなと不安を感じつつ、
皮を引っ張って、皮と肉の間の薄皮にナイフを入れていく。

頭部からは血が流れ、地面に血だまりが出来ている。

もしかすると死んだのではなく、苦しまないように頸動脈を切ったのかもしれない。


ナイフを持つ手に力を入れることは無く、皮を引っ張る手に力がいる。


しっかり引っ張らないと、肉を切ってしまう。
というよりも、皮に肉が残ってしまう。

半身が終わると、ひっくり返して、残り半分の皮をはぎ取っていく。

分厚い皮はつかみにくいものの、手が滑るほどの脂があるわけではなく、
べろんとした弾力と、生温かい体温、指先に乾いた剛毛の感触が伝わってくる。

3人がかりでの作業は30分程度で終わり、
薄桃色の肉体を転がし、下敷きになった皮を引っ張り出す。

皮をはいだ後の肉は食べるのかと思いきや、
トラクターで豚小屋に運ばれ、豚のエサになるとのことだった。


何が原因で死んだのかがわからないため、死んだ動物は食べないのだという。


豚の親子がエサに集まっていくのを遠目に見ながら、はぎ取った皮を干していく。

皮の端に穴を開け、紐を使って、皮を張っていく。
猫が寄ってきて、はぎ取られた余分な肉や、干したばかりの皮に噛みついている。

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食事をしている豚に近寄ってみると、
大きな音を立て、猛烈な勢いで食事をしている。


「千と千尋の神隠し」で千尋の両親が豚に変わって
無我夢中でご飯を食べているシーンを思い出した。



グロテスク、と感じたことと、
循環、と感じたこと。

骨以外は全て利用される。
骨も時間をかけて土に還る。


その大地で、植物が育ち、
その草で、動物たちが育っていく。

今の時点では、ガウチョたちが自然に感謝をしているというよりも、
全てに対しリスペクトしている、という方が近いと感じている。

感謝をするしないではなく、
当然のこととして、そのすべてに敬意を持って接している。


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夕食はギソデアロース、Papas de Fritter、レタス。
明日の朝食にミルクと食べてねと、クッキーを焼いてくれた。

衝撃的な解体作業を経験し、きっと夕食は喉を通らないだろうと思っていたが、
食べてみれば美味しく、いつもと変わらない食欲に我ながら感心したりした。

ここのレタスが本当に美味しく、毎日食べても飽きない。


庭で栽培しているとのことで、味付けを聞いてみると塩だけだという。


塩だけでこんなにうまくなるなんて驚きだ。


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三日月が出ていて、湖に沈む太陽がきれいな夜だった。


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