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『サマーウォーズ』と『竜とそばかすの姫』で描かれた“翼演出”の対比について。

※本文は『サマーウォーズ』及び『竜とそばかすの姫』のネタバレを含みます。

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↓↓↓以下、本題です↓↓↓

【『サマーウォーズ』における“翼”とは】

翼は「自由」や「平和」、「権力」を表す際に用いられます。
まず序盤。“翼”を持っているのは『OZ』の世界です。
OZは世界一高度なセキュリティを備えているため、ユーザーたちは安心安全です。
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しかし中盤では、その平和の象徴である“翼”が奪われてしまいます。
秩序は崩壊し、力関係が逆転します。
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クライマックスで、こちら側は再び“翼”を手にします。
そして無事、ラブマシーンを討伐し、この世界に平和が訪れます。
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以上が『サマーウォーズ』における“翼演出”でした。
それらを踏まえたうえで『竜とそばかすの姫』の“翼演出”を紐解いていきます。

【『竜とそばかすの姫』における“翼”とは】

先ほど述べたように本来“翼”というものは「持っておくべきモノ。失ってはいけないモノ」の象徴です。
しかし『竜とそばかすの姫』のクライマックスでは“翼を失うこと”がカタルシスとして描かれているのです。
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サマーウォーズの否定ともとれる演出ですが、これはおそらく「見せかけではなく、ありのままの美しさ、強さ」を表現したかったのではないかと考えます。
鈴は、“ベル”というもう一人の自分を手にし、人気を集めます。
ですがそれはあくまで、かりそめの姿です。
“信頼”を得ようとする時に限り、これは“翼”ではなく“枷(カセ)”になってしまうのです。
そして最後、素顔をさらけ出すことによって恵(竜)との関係を築くことができます。

以上が、筆者の考える“翼演出”の対比でした。
もし本文を読んで意見や感想などがあればお寄せください。

OZ No. 1プレイヤー「キングカズマ」のスニーカーにも“翼”が描かれている。

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