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朝比奈義秀〈転生記外伝〉

和田一族が総力を挙げて挙兵するも幕府の大軍に父である和田義盛も兄弟達も次々と討ち取られた。

朝比奈義秀率いる一行はなんとか切り抜け、船6艘・500騎は安房へと向かっていた。

この中には和田勢に加勢した数少ない他家の横山時兼の残党も幾人か加わっていた。

兄の和田常盛の奥方が横山家であり、その絆からの助太刀であった。

ここまで幕府に殲滅の憂き目をあっているなら、もう横山時兼自身も生きているのか定かではない。

彼らも同士として分け隔てなく迎え入れてまいろうと朝比奈義秀は意を決した。

横山家一行の中には、まだ童と言ってもおかしく無い年頃の少年がいた。少年は心なしか震えていた。

「童よ。大事ないか」

朝比奈義秀は気付を込めて少年に声をかけた。

少年の顔は仰天するも微笑みに変わった。

しばらく朝比奈義秀と少年はたわいもない話をし始めた。少年は緊張がほぐれてきたようだ。

言葉を交わしている中で少年は訪ねてきた。

「朝比奈様は鮫を素手で捕まえたとか。真でしょうか」

「よく知っているな。昔、頼家様との宴で余興と称して捉えたぞ」

少年はあっと驚いていた。朝比奈義秀は鰐は一匹でなく三匹捕まえたと添えたら、少年は度肝を抜かれてしまったようだ。

そうこうしている間に安房へ近づいてきた。

ーこれからどうするべきかー

安房は上総と下総も含めて千葉一族の領域。

千葉一族もまた、三浦と和田の様に一枚岩でなく、下総を束ねる千葉成胤と上総を束ねる千葉常秀が互いに牽制していると聞く。

朝比奈義秀が知る限りでは三浦家と千葉成胤は繋がっているやもと嗅ぎつけていた。

この度の合戦でも千葉成胤は加担してるやもしれん。

ならば接触すべきは...

朝比奈義秀は腹を括った。





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