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【β版】千葉篤胤の転生記_02

なんかおかしなことが続く。夢かと思いきや、夢でなくタイムスリップしたかもという状況。うすらうすら起きてみるも、眼前には草原がひろがり、前の前の夢(じゃなく現実かも)と同じ様な光景。ただ沢山いた人や馬はなく、馬1頭だけ傍にポツンといる状態。外だからか風は少し心地いい。

「はじめまして」

だれかが語り掛けてきた。語り掛けてくるも周りにはだれもいない。じゃあ、この声はなに?誰?

「私はモロツネ、お前は未来人だろう」

また声がする。わかった。誰かじゃなく自分の心に語り掛けてきてるのか。心ってどうよ。独り言か。うーん、夢かどうかも分からず、今までに経験したことが無いことが続く。

「私も初めての事だからあってるか分からないが、お前はいま私の中にいて、私と貴方はきっと心の中で話をしてる。心なのか頭かすらわからないが。貴方のいまぐちゃぐちゃ考えていることはこっちにも伝わっているよ」

なるほど。前と違ってこの「モロツネ」さんの体に入っているだけでなく、モロツネさんも意識ある状態で1人に2人いる状態ってこと?

「ちなみに貴方は父上に『未来から来た』と私の体に乗り移っているときに言った後、どうしていた。あれから3日経っている」

「3日経ったんですか?僕はその話はつい先ほどしましたよ」

モロツネさんと僕が同じ時間を過ごしているわけでなく、僕が3日程スキップした状態ってことの様だ。

「そうか、あれからそっちはすぐか。じゃあ、何が起こっているかは私の方が考える時間があったらか整理して伝えれそうだな」

「父上が言うには、貴方。私でもあるが、寝ちまってからちょっとしたら起きたよ。『お前の中に未来からきた子孫がいた』って。何のことか全くちんぷんかんぷんだったが、その日は父上と事の整理をいろいろ考えた」

なかなか冷静な親子じゃないだろうか。よくパニックにならなかったな。

「私に物の怪が取り憑いたとか、私がちょっとおかしくなってしまったとかも考えた。まずはこうやって貴方と通じ合えたことは理解しやすくて、この事自体は助かったよ。これがタネノブだったら貴方を潰そうと自分の頭を勝ち割るだろうし、タネミチだったら悩みぬいて自害したかもしれないな」

なんかご兄弟それぞれな反応しそうで。モロツネさんでよかったって事だろか。

「あらためてはじめまして。アツタネといいます。お父さんから聞いていると思いますが、多分未来からきているんだと思います。お父さんが僕のおじいちゃんと顔がそっくりなので多分、子孫なんだと思います」

と挨拶と共に語ってみる。

「そうだ、貴方はまだちゃんと見たことがあるのは父上しかいないんだろう。私の顔も見たことないんだよな。鏡がここにあるから見てみろよ」

そう言って左下をみたら鏡らしきものがあった。そういえばこの体や顔はちゃんと見たことなかったな。ツネタネさんはじいちゃんそっくりだったけど、今入っているモロツネさんは僕とにてるんだろうか。

左手で鏡を取ろうとするも手がうごかない。手どころでなく、足もどこも動かない。眼も自分が向きたい方に向けれない。

「すいません、手動かないです。というかなにも動かせないです」

「そうか動かせないか。では鏡を取るからみてみな」

左手で鏡を取り、目の前に鏡で顔を映してくれた。そこにはすごくイケメンで美男子な顔つきがあり、僕の顔とは似てるところはなにもなかった。顔の様そうからすると僕よりは年上ぽかった。という事はモロツネさんは幾つくらい?

「なかなかカッコいい顔つきしてますね。ちなみにお幾つですか」

「私か。私は今年で二十六になる」

なんと6歳くらい離れていたよ。チョイ大人でした。

「そっちは幾つなんだ」

「僕は今二十歳です」

「じゃあタネヨリと同い年だな」

そういえば親父が言ってた昔話は『ツネタネと息子6人が源頼朝と決起』だったな。タネヨリさんは兄弟の何番目なんだろうか。

「モロツネさんって6人兄弟なんですよね。僕と同い年のタネヨリさんは何番目なんでしょうか」

「タネノリは6番目だ。6人兄弟は間違っている。7人兄弟だ。上から タネマサ モロツネ タネモリ タネノブ タネミチ タネヨリ ニチイン。私は2番目」

6人でも多いのに7人いるのか。昔だから当たり前なのかもしれないけど大家族だな。

「そういえば名前はアツタネだったな。父上が言っていたぞ。ちゃんと名前で呼ばないと失礼だな。あと気になったけど名前の後ろにつく『さん』ってなんだ。未来語か。聞きなれないから呼び捨てでいいぞ」

「呼び捨ては年上ですし、ちょっと気が引けるので『殿』付けでいいでしょうか」

「仰々しいな。呼び捨てがいい。私もアツタネと呼ばせてもらおう。そうだアツタネ、多分この状況に気になっていることがいくつかあると思う。私も3日でなんとか考え付く事はあったので、ちょっと共有してお互い整理しようじゃないか」

モロツネは大人ですね。やはり6歳違うと頼りがいがあるというか。僕の答えは「もちろん」だった。

「では最大の謎である、なぜアツタネは何度もこの800年も隔てた世界へきているのかということだが」

いきなり本題!

「まったくもってわからん。なぜもそうだがどうしてもわからん。何かの思し召しとしか思えない。ここはアツタネに心当たりがあればぜひ聞きたいのだが」

なにもヒントなしにこの現象に理由なんて浮かばないですよ。

「えーとですね。まず多分、子孫とご先祖の関係なので、何かつながりがあるかと思うのですよ。でもそれがなにかと言われても」

「やはりこの問題は難しいか。では他の答えがありそうなところから明らかにしていくか。」





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