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以仁王〈転生記外伝〉

以仁王はひたすら待った。次の天皇になる候補者の一人となる親王になる事へ。

今の天皇は自分より10歳下。母は違えど弟。今となってはそのことは受け入れている。

ただその弟も病がちで、父である後白河法皇は先ほどの政変で朝廷に口出しできないように囲われてしまっている。

弟の子が僅か1歳で立太子(いまの皇太子)とはいえこのまま幼子が継ぐのは難しい。

平家にとって弟の母は平家筋の出であり、立太子となった子はまさしく平清盛の娘と弟の子である。平家が更に朝廷へ侵食してくるのは既成の如く話が進んでいる。

立太子がそのまま天皇を継いだら都は京から平家の居城である福原へ遷都するという話まで出ている。

いまならまだ自分が親王になれば立太子が天皇になったとしても朝廷の重鎮として皇室自体を支えることができる。これ以上の平家の横暴は止めねばならない。

そんな以仁王の元へ届いたのは立太子への譲位(天皇の地位を譲る事)の知らせだった。

以仁王は決意した。

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