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#23 映える鳥

「映える」と書いてなんと読むか。「ばえる」と濁るのが今風だろう。新しい文化が入ると新語が作られるのは古今、そして洋の東西を問わず共通している。「インスタ映え」というのは英語で「instagrammable」というらしい。

鳥の研究をしている僕にとって興味深いニュースを見つけた。最もインスタ映えする鳥は何か?というものだが、BBCがこんなトピックを出しているので思わず見入ってしまった。そしてさすがBBC、根拠のない記事ではなく論文を基に記事を作っている。

さて、論文ではインスタグラムのいいねの数を利用して独自の指標を作成することで、もっとも「映える」鳥を決めている。細かい方法などは論文を見ていただければと思うが、結論として最も評価が高かったのはガマグチヨタカであった。

ヨタカ(夜鷹)は知っている人もいるだろう、夜行性の鳥で模様が鷹に似ているのでヨタカと呼ばれるが、類縁関係はない。このヨタカの仲間で東南アジアからオーストラリアにかけて生息しているのがガマグチヨタカだ。英語でfrogmouthという鳥で(日本語にする際にガマグチとした命名者のセンスに脱帽だ)、名の通り蛙のように大きな口を持つ愛嬌のある鳥だ。確かに、人気があるのも解る。

僕も何年か前に実物を見たことがある。10日間ほどオーストラリアを周る研究旅行で、同行者の発案で期間中に100種の鳥を見ようということになった。記念すべき100種目のがこの鳥で、シドニーの公園で昼寝をしていたのを見た、思い出の鳥である。

あの頃にインスタをやっていたら、僕のガマグチヨタカの写真にもたくさんのいいねがついたに違いない。惜しいことをした。ちなみにこの研究では、青い鳥がインスタで人気となりやすい傾向も見出している。なるほど、それならば、と過去の写真を引っ張りだして青い鳥を探すことにしたGWである。

(2021/5/5)

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