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しんゆう

◇旅人とクマの話

 2人の仲の良い青年が旅をすることになった。

 ある日、森に入ると大きなクマに出くわした。

 1人は運動神経抜群で足も速かった。

 なので一目散にその場を離れ、 高い木の上に逃げこんだ。

 もう1人は運動が不得意で、高いところも苦手だった。

 そのため、その場にとどまり、死んだふりをした。

 クマは2人の行動をじっと見ていた。

 その後、クマは死んだふりをした青年に近づいた。

 クマは襲うことをせず、青年の耳元で何かをささやき、去っていった。


今年も年の瀬。

年末はいつものメンバーで、必ず集まる。

普段は連絡をしないが、一声かければ集まれるメンバー。

何を話すでもない。去年と同じことも話す。

中学生からの仲。あれから24年。

立場も置かれている環境や状況も、変わっている。

それぞれ様々なことが、この1年もあっただろう。

でも、普段の自分を脱ぎ捨てて、この日の時間は過ぎていく。

普段のペルソナからの解放。本来の本当の自分。

◇旅人とクマの話のつづき

 一部始終を見ていた、木の上にいた青年。

 危険が去った後、死んだふりをしていた青年に訪ねた。

「クマに耳元でなんと言われたの???」

 死んだふりをしていた青年は悲しそうにこう答えた。

「クマの言うとおりだ。」

「危険な時にそばにいてくれない友人とは一緒にいない方がいい。」


~ペルソナの今の私~

私「先が見えないから、ワクワクする。」

 「この先のことは、全て自分の責任。」

 「ともに飛び込もう。」

 「一緒に苦難を乗り越えよう。」

~本当の本来の私~

私「森に入らないと、その先に進めなそう。どうする??」

友「なんか面倒くさくねぇ。」

私「ははっ!確かに。」

友「戻って、飲んで寝よう。」

私「だな。」

クマにさえ、会わことはない。そんなつまらないシナリオ。

でも友としか生まれない特別なシナリオ。


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