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2021年度を振り返る⑥

何者でもない私

仮面をつけていない私は何者なのだろう。
仕事をこなしながら、作業していることと頭で考えていることがバラバラだった。

引継ぎの作業に追われる毎日。いや、その方が落ち着いた。引継ぎが全て終わったら、本当に何者でもない私になってしまう・・・。そんな恐怖を打ち消すために仕事をした。

プロジェクトチームメンバーは、何事もなかったかのように普段の校務に戻っている。誰も相談する相手がいない。
更に新コース担当メンバーのほとんどが次年度、最高学年の担任だった。今の生徒達に全力を注いでもらいたい。その気持ちが私を更に追い込んだ。

ありがたいことに、後輩たちが私に声を掛けてくれる。

後輩「大丈夫ですか?」

私「だ(め)、大丈夫。」

言葉を飲み込む。上手く立ち回ったつもりだが、負の雰囲気を出していたのだろう。状況に応じた仮面をつけることさえもできないほど疲弊していた。

情けない・・・。少なくとも後輩が思いっきり生徒と向きあえる場所にしなくては・・・。その使命感だけが支えであった。

仕事は持ち帰らないがモットーだった。しかし家で仕事をすることが普通になった。

何者でもない私は、口下手であった。どう妻に表現していいかわからなかった。

結婚して15年。私は妻に初めて手紙を書いた。最初の手紙がこんな手紙で申し訳ないと思いながらも、今の事実を書き連ねたまとまらない文章だ。

その手紙を読んで一言。

「いつでも辞めていいんだよ。」

と言ってくれた。

孤独ではない。そう思えた。

先のことを考えると不安になる。日々の業務をとりあえず、こなそう。

3月が過ぎ、新年度がついに始まった。


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