中二病の僕が初めて買ったCDは初体験と同じだった。
#はじめて買ったCD
「CROSS ROAD」(クロス・ロード)
Mr.Childrenの4枚目のシングルである。1993年11月10日に発売された。
メロディーラインも歌詞もカッコいい!
愛おしさと、切なさと、心強さとが混ざりあい、桜井さんの力強い声に痺れた曲だった。
当時は8㎝シングルCDと呼ばれるタイプの超小っさいCDだった。
今もう無くなっているので興味のある方はブックオフに行って欲しい。
おそらくジャンク品コーナーにあるはずだ。
とにかく保管がしにくサイズで、誤って下に転がっていると、同居していたおばあちゃんに踏まれてケースがバキバキになっていたのを思い出す。
僕が中学二年生ぐらいの時に日本テレビ系ドラマ『同窓会』の主題歌だった。思春期真っ只中の僕は衝撃を受けた。
「音楽もカッコいいけど、ドラマがスゲーなぁ~!」
この『同窓会』というドラマが強烈だ。
内容は恩師の上京をきっかけに、27歳になった同窓会に集まったメンバーの人間模様を描いている。
一番の衝撃は同級生同士の
“男性同性愛やバイセクシュアル”を取り上げているとこだ。
全裸や過激で大胆なシーンや台詞が多用されていたの。
今となってはネットやSNS上に『LGBT』の存在は認知されている。
しかし、時は、まだ昭和後期。
パソコン・ネットもスマホも無い時代。通信手段は駅の掲示板のみだ。
そんな情報弱者で中二病の僕には刺激が強すぎる。
だいぶ鼻息荒めに…
「この世界ってヤバくない?テレビでやっていいのかなぁ~」
「女の子には興味あるけど、同性って。でも、なんだか興奮するわぁ~!」「めっちゃ続きが気になるし、とにかく裸体が…!興奮する!」
「絶対に学校で観てるって言えない…。」
なんだか見ちゃいけないものを見ているという背徳感や罪悪感、何ともいえない雰囲気に異常に興奮していたのをよく覚えている。
結局、僕は、どノーマルな人生を送っているが、ヒョッとすると違う世界に興味をもっていたかもしれない…。
そんな中二病ドラマの主題歌がミスチルだった。
当時はまだまだ、知名度も低く、知らない人も多かった。
未だに忘れられない思い出がある。
家の近所にあったレコード屋さん(タワレコやHMVはまだ無い)
に行って最高の初体験をした。
店員さんは当時25歳ぐらいのお姉様。
童貞で中二病の僕は舞い上がっていた。
まず、曲名とBAND名があやふやなまま店員さんに話しかけた。
僕「あの~、みすたーちるどれん?ていう曲ありますか?」
お姉さん「えっ?みすたーちるどれん?」
僕「あれ?そんな曲だったような…。」
お姉さん「どんな歌?日本人?」
僕「多分、日本人。テレビドラマの曲です」
お姉さん「ドラマの名前とか分かる?」
“えぇ!ドラマ名、恥ずかしくて言えない!どうしよう、同性愛で男女の裸が沢山出てるドラマなんです。て言える訳ないし…”
僕「あぁ~。じゃぁ、また調べてきます」
お姉さん「じゃぁ、サビ歌ってみて」
僕「えぇ!じゃぁ、こんな感じだったような…。」
「ルッキンホォ~ラーブ、いまたちならぶ~♪」
しばらく考えた後に…
お姉さん「あぁ~!『CROSS ROAD』だね!これだよ。」
(サビじゃなくAメロ歌っちゃった。)
僕「あぁ、ありがとうございます。」
お姉さん「君、大人なドラマ見てるんだね(笑)」
「楽しいから、私も観てるわよ。」
僕「はい、あのドラマ楽しいですよね?」
『めっちゃ恥ずかしけど、なんか良い!』
強烈に憶えている。
甘いアオハル体験。
CDを初めて買ったときの事
思春期の僕が初めて他人の前でアカペラで歌を歌い、サビを歌えって言われてるのに、サビの意味が分からずAメロを歌った事。
Mr.childrenは曲では無く、BAND名である事。
そして何より刺激的のは“大人の女性”と“大人のドラマ”の話をした事。
大人の階段を少し昇ったような気分になった瞬間だ。
今でも思い出す。高校生の時の初体験と同じだ。
この曲をカラオケで歌うと、レコード屋さんのお姉さんの笑顔を想い出す…。
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