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【全てを語る登壇後記】第四回カスタマーサクセス天下一武闘会に登壇して

去る2020年3月18日に行われた第4回カスタマーサクセス天下一武闘会に出場し、僭越ながら優勝させていただくことが出来ました。その翌日、同じく登壇した塚本さんから「振り返りのnoteを書きませんか?」という素敵なお誘いを頂いたので、自分の記録用も兼ねて今この記事を書いております。(塚本さんの記事はこちら!!)

今回の経験から自分なりに色々と思うことがありましたので、誰の役に立つかはわかりませんが、

1. 登壇内容についての3つの質問と解答
2. 出場決定から登壇までの5ヶ月の軌跡
3. 自分が登壇にあたって行った7つの準備

の3章構成でご共有できればと思います。正直後半になるにつれアレな感じになっていくので、1あたりまで読まれたらその後は記事をそっ閉じされることをオススメします(笑)※例によってまた1万8千字くらいあります

登壇資料はこちら!

当日の様子はYoutubeのアーカイブでご覧頂けます。私のパートは
0:32:16〜 予選(7分)
1:20:10〜 決勝(10分)
2:03:10〜 コメント(5分)
です。

それでは記事本編へどうぞ!

■1. 登壇内容に関して多かった3つのご質問と解答

予選・決勝を通じて多くの方から頂いた質問が以下の3つでした。

1. かなり手厚いオンボーディングだがスケールするのか?
2. カスタマーサクセスにおける事例の位置づけとは?
3. 定性ヘルススコアはどのように運用しているのか?

以下、1つずつ私なりに補足して解答できればと思います。

Q1:スケールするのか?

実は最も多く頂いたのがこのご質問でした。登壇したあとに様々な方から「あれって本当に全部やってるんですか?」ということを割と何度も聞かれました笑。答えはもちろん「はい、全部やってます!」です。

で、皆様がおそらく気になっているポイントとしては「ワークショップとか赤ペンとかって、手厚いのは良いけど本当にスケールするの?」ということだと思います。これについては一言で言うと「今事業計画で目指すスケールには十分耐えられる。長期的には軽量化を視野に入れる。」というのが解答になるかと思っています(あくまで私の意見ですが)。

1-1:過去セルフオンボーディングに苦戦
まずなんでここまで手厚くやっているのかという話ですが、登壇でお話したように、そうしないと顧客の期待値や1st Successが立ち上がらないから、というのが最大の理由なのですが、背景には過去セルフオンボーディングにトライしてあまり上手くいかなかったという歴史もあります。

自分がカスタマーサクセスに異動する前のことなのであまり詳しくは知らないのですが、それこそOKAN橋本さんの発表のようにマニュアル+オンラインMTGでオンボーディングを完了させるトライアルは過去行っていたそうなのですが、

クライアントのリテラシが事業の想定と異なっていた
②そもそも目指すべきサクセスの姿が見えていなかった

という2つの理由からそれらはあまり機能していなかったように記憶しています(間違ってたらすみません)。

企画には必要な3ステップ
これは自分の経験値からですが、カスタマーサクセスで企画を成功させるにあたっては、重要な3ステップがあると認識していてそれがこちらです。

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これはオンボーディングやハイタッチ、あるいはテックタッチで施策を企画していく時の考え方に共通するものです。大切なのは、最初に1社でも良いので大成功事例を作ること。これは「顧客の成功のために意味があること」を徹底的に追求すべし、ということと同義です。

なぜこれを強調するかというと、企画の際に1を軽視して2や3ばかりに注力しているケースがかなり多いと感じる為です。型化や効率化はもちろん事業の長期的な発展のためには大切ですが、意味の無いor薄い企画をそのまま型化・効率化してしまうと、そこにかけた時間や投資が無駄になりかねません。というか高確率で無駄になります。

弊社でのセルフオンボーディングのトライアルも、1の検証が不十分なまま、2や3を進めたがために最終的には行き詰まってしまったのだと解釈しています(もちろん他にも色々と解釈はありますが…)。

そういったことを避けるためにも、まず大成功事例を作ることがいかなる企画を作るにも大切で、弊社の赤ペンやワークショップといった取り組みも、Step1として大成功事例作りに特化して上手くいった企画を型化したものなのです。

過去の失敗を踏まえ、中途半端なものではなく「高い確率で顧客を成功させられる方法の型化を最優先にする」というスタンスで作ったからこそ、このようなスタイルに繋がっています。

1-2:現在の事業成長には耐えられる効率化は行っている
では効率化は未着手かと言うとそんなことはなく、現在のオンボーディングは実は社内ではVersion2と呼ばれるもので、最初に企画されたVersion1に比べて、効率的に行えるようになっています。具体的には、過去は2名体制で取り組まないと1社のプログラムを進められなかったところを1人体制で進められるようにプログラム参加人数の制限を設けたり、提供期間に上限を設けたりといった改変が加えられています。

これにより現在事業として目指している拡大スピードには耐えられるようになっています。

1-3:将来的にはさらなる効率化、多様化を視野に
とはいえ、事業の目指す方向性は日々変わっていくので、このままで良いとは思っていません。実際に、今度は更なる効果の向上に向けて新しいVersionを社内で検討していたりします。

私はカスタマーサクセスのメインミッションは「顧客の成功とプロダクトの間にあるギャップを埋める」ことだと思っています。逆に言うと今カスタマーサクセスがやっていることは、プロダクトに不足している部分である、もっと極端に言うと「全てのカスタマーサクセスの行為は、今後のプロダクト開発に何が必要かを見極めるためのR&Dである」とすら捉えられるなとも思っています。

もちろん人による支援行為が最終的になくなるとは思っていませんが、今カスタマーサクセスが人的に行っていることは、どんどんとプロダクトによってリプレイスされていくべきだなと。それにより、人はもっと人にしか出来ない部分にフォーカスしてトータルとしての価値創出量を上げていくことができると思っています。

なのでずっとこのままのスタイルを貫くのかと言われるとNOだと思っていますし、今やっていることをどんどんオンライン化したりプロダクトに組み込んだりといったトライアルはして然るべきだし、現在のオンボーディングでは対応できない顧客向けプログラムの開発といったことも今後長期的に考えると取り組む必要があると考えています。

Q2:事例の位置付けとは?

弊社がオンボーディングでワークショップを行っているというところに対して、Twitterのタイムラインを見ていると、以下のような反応がありました。

一方でこの様なご意見も。

これについて、私も思うところをまとめてみます。

SaaSのカスタマーサクセスにおいて成功事例はフロンティア
まず最初に思っているのはCSでも事例は超貴重で「事例 is KING」だということです。決勝でもお伝えしましたが、顧客の成功事例を展開してカスタマーサクセス、およびマーケティング・セールスに横展開していく活動を、組織の最重要活動として位置づけて全組織で取り組んでいます。

成功事例が新規営業で有効なのは言うまでも有りませんが、既存顧客向けのカスタマーサクセス活動の中でもとても有効です。

SaaSはツールであるがゆえに、その使い方は幾通りもの可能性があり、そしてそれが生まれるのは実はベンダー社内ではなくエンドユーザの中なのです。つまり成功事例こそがSaaSのフロンティアなので、提供者である我々は常にそれにアンテナを張り巡らし、活用事例を顧客全体へと還元していく役目があると思っています。

実際に成功事例を顧客にお伝えすることでサクセスそのものが伝播していくことも数多くありますので、成功事例の収集・コンテンツ化・発信・拡散にはカスタマーサクセス組織の中では必ず取り組むべきだと思っています。

期待値の立ち上げに事例はどこまで有効か
一方で、解説でコメント頂いたことも私は非常によく分かるなと思っています。補足すると「カスタマーサクセスにおいて特にオンボーディングフェーズで自社SaaSへの期待値を立ち上げるという状況においては、(他社事例ももちろん有効な側面はあるが)自社でどう活用できるかをダイレクトに伝えることが非常に重要である」ということかなと思っています。

実は弊社は過去に事例セミナーという、他社の成功事例をまとめてお伝えする会をオンボーディングフェーズでやっていたのですが、あまり効果としては芳しくなかったという過去があります(弊社色々とトライしては失敗してますw)。

理由としてですが、期待値が立ち上がっていないサービスに対しては、他社事例も何も聞いてもらえないということが大きかったなと思っています。そのため弊社のオンボーディングフェーズでは、事例もお伝えしているのですが、それ以上に自社サービス・自社サイトでどう使うとどんな効果があるのか、ということの理解促進・期待値立ち上げに寄せた設計をしています。

なので事例については、

・成功事例/運用事例/導入事例などのタイプを把握し
・状況が近しいor役に立ちそうな顧客に
・フェーズに応じてカスタマイズしてご提供する

ということが大切だと考えています。

ちなみに過去の事例セミナーの失敗については、こちらの資料のP12~25あたりにまとめておりますので、もしよろしければご参照くださいませ。

(2019-07-04に行われたBtoB SaaS CS LT#5での登壇資料です)

Q3:定性ヘルススコアの運用方法

最後に頂いたご質問がこちらですね。例えばこんなつぶやきなど。

というわけで定性ヘルススコアについての設計思想や運用方法などを簡単にご紹介できればと思います。

■設計思想:成功ジャーニーとそこから落下するポイントから項目を定義
ヘルススコアはカスタマーサクセスチーム内の少人数で議論して決めました。設計の思想としては

・顧客が成功に至るための道筋を規定し
・顧客が成功ルートから外れてしまう課題を潰し
チームが一丸となってそこに向かえるようにする

がベースになっています。最初チャーンレートをKPIとしてCSが追っていた時期もあったのですが、チャーンは事業全体として見るべき数値であるという話や、短期的に活動にフィードバックをかけるにしては遅いといった観点から、間接的にでもCSの活動を評価しフィードバックをかけていくためにヘルススコアが必要だねという話になり設計を進めました。

スコア概要:25項目、◯△✕で評価、項目毎に点数ウェイトは異なる
スコアはサクセスに至るための8つのフェーズに分かれていて、それぞれの項目併せて25個によって構成されています。項目ごとに点数が割り振られていて、10点のものもあれば1点のものもあります。これらの重み付けは顧客の成功においてどれだけ重要か、という観点から決められています。

また項目の中には、一度クリアすればその後は変動しないものと、顧客の利用状況によって変動していくスコアがあるのでそれは属性を分けていたり、決裁者に関わるものか、現場担当者に関わるものか、という観点でも分類を行っています。

そしてそれぞれの項目に対して◯△✕の基準が定められており、担当者はその企業の状態を捉えてこの採点を行います。定性スコアということでブレが大きくならないようにこの基準を明確に定め、かつ最初のうちは全員で認識合わせをしながらスコア付けをする、といった工夫を重ねました。

■運用方法:データor顧客との会話から更新、ダウンする仕組み追加
運用方法としては基本的に顧客との支援が一区切りついたタイミングで支援の担当者がつけるようになっています。オンボーディングが終わったらその時に、追加の定着支援が終わったらその時に、あるいはお電話フォローをしたときに成功事例が出ていたらその時に、といった感じですね。

スコアの中には定量的につけられるものも2割程度はあるので、利用データを見ながらつけているものもあります。

ただこれだけだと「スコアが付けられたきりになる」「上がるときは付けたくなるが、下がったときは付けたくないので、顧客の中で起こっている問題がスコアに反映されづらい」といった課題が起こります(実際直面しました。スコアが高いのに解約になる、など)。そこで、スコアを下げる方向に働かせる為の仕組みとして、顧客の異動が検知されたタイミングでは、必ず該当するスコアを✕に下げ、その後のコミュニケーションによって状況が分かれば適切に付け直す、といったことを行っています。

以上が、よく頂く質問とそれに対する私の現時点での考えです。(他にもあれば是非いただければ!)


■2:出場の経緯と全ての軌跡

さて、本当はここで終わりにしてもよいのですが、今回の登壇の中で様々な体験がありいろいろなことを感じたので、これは誰かの参考になるとかそういう概念は一切無い(むしろ参考にならない)のですが、単純に自分が感じたことの記録として残すために、出場を思い立ったときのことから、当日のことまでを時系列で書き記しておこうと思います。

出場のきっかけはチームメンバーへの貢献

実は弊社のカスタマーサクセスチームは中途入社の方が6割と結構多いのですが、これが入ってこられる方がどの方も本当に素敵な方ばかりなんですよね。ホント弊社の採用力すごい。もちろん社内に元からいるメンバーや新卒で入社されたメンバーも優秀な方揃いなので、そんなメンバーで登壇内容のようなカスタマーサクセスを作り上げていく過程は自分にとってはとても良い経験ですし、ワクワクする毎日です。

一方で自分の中で「そんなチームメンバーに何か自分が出来ることはないか」と考えることが多くなりました。というのもbeBitは元々コンサルティングを主体にした会社なので、SaaSやカスタマーサクセスの中では知名度は元々あまり無いはずなんですよね。そういった状況下にもかかわらず弊社にジョインして、しかもカスタマーサクセスという未知な職種で働いている皆様が本当に凄いなというか、もはや凄い通り越して申し訳ないなと思うようになりまして。

他の会社からも内定をもらっているにも関わらず選んでくださったケースも多かったので、何かしら「このチームで働いていよかった」と思えるようなことが自分のアクションでできないか、と思った時に1つ考えついたのが、ビービットのカスタマーサクセスのブランディングを行えないかということでした。

当時、自分たちが取り組んでいる内容についてはそれなりに意味がある、真っ当なことだと思っていたので、それをベースにして何かブランディング活動を行えないかと。もし弊社のカスタマーサクセスがその活動が評価されそれなりの知名度を持てば、働いている方のモチベーションにもなるだろうし、もし仮に最悪チームメンバーが転職することになったとしてもカスタマーサクセス職であれば、そういうブランディングが何らか有益な影響があるのではと考えたのです。

Repro岩田さん「とにかく登壇せよ」

しかしカスタマーサクセスのブランディングを行うと言っても自分自身、まだカスタマーサクセスに異動して半年も経っていなかったので、何をやっていいかさっぱり。その時たまたまお仕事の繋がりで、Reproカスタマーサクセスの岩田さんと出会いがあり、当時からカスタマーサクセス繋がりで一方的にTwitterをフォローして存じ上げていて、かつカスタマーサクセスのブランディングという観点ではすごく効果的な形で活動されているなと感じていたので「カスタマーサクセスのブランディングを行いたいのだけど、どうすればよいでしょうか?」と率直にご相談をさせていただきました。

相談をした当時、岩田さんからは「あ、ブランディングわかります!採用目的ですよね?!」と言われたのですが、実は上記の経緯もあり採用目的じゃなかったというのは良い思い出ですw(いや、もちろん採用にポジティブな効果があればそれに越したことはないのですが)

岩田さんの結論はシンプルで「とにかく色々なイベントに登壇するのが一番早いですよ!」とのことでした。これを受け、Twitterアカウントやnoteの更新とかも考えていたのですがその辺よりも、何らか自分の知見を共有することでお役に立てるような登壇機会がないかと探すようになりました。

ちょうどその直後、元ビービットで現Reproの駒谷さんから、ご自身の開催イベントであるBtoB SaaS CS LT#5へのお誘いを、渡りに船と言わんばかりのタイミングで頂けたのでそれを皮切りにイベントで登壇させていただくようになりました。その後も登壇者募集!といったイベントがあればちょくちょく応募しては知見を共有するという活動を細々と続けるようになりました。

単純に登壇するのは良い機会になるし、アウトプットすることで自分が一番学びになる、自分のもとに情報が入ってくるようになる、というのは自分の信念でもあるので、自分ともマッチした活動だなと感じています。

CS天下一武闘会出場に応募

さて、そんな折にこの様なツイートを拝見しまして。

カスタマーサクセス天下一武闘会は実は私が初めて参加したカスタマーサクセスの外部イベントでした。その時が2019年5月開催だった第3回ですね。その場でカスタマーサクセスの知見の広がりを感じたり、色々な方との出会いや繋がりがあったので、良い思い出でした。

その流れでこのツイートを見たので、そのときはすごく申し込みたいな、出場したいなと思いました。が、初めての登壇もまだ7月に控えている状況だしな、まだ早いっしょ、とか色々考えまして一旦このときは見送りました。

そして7月に初めて登壇し、一定感触を得たところで10月にまたこのツイートを拝見したのです。

これはもう行くしか無いのでは?とちょっと思いました。実は社内でも「出ないの?」と言われたり、チームメンバーからも「主催者と知り合いなので、必要あれば繋ぎますよ」と言われていたりしたので。

でもこれ全然すんなりじゃなくてむちゃくちゃ迷いました笑。というか凄い勇気いるなと。もちろん出場するだけで一定の効果はあると思いつつ

・あれ、そもそも自分たちってそんな伝えられることあるのか?
・出たとしても勝てる確率は1/4なので負けたらどうしよう…
・「いや御社じゃキツイっすよー」ってやんわり言われたらどうしよう

とかめちゃくちゃ色々なことが脳内を駆け巡りました(実際そんなことは全く言われませんでしたが)。駆け巡りましたが、最後には「いや挑戦することに意味がある。自分が挑戦せずして誰がするんだ」と自分を奮い立たせてご連絡差し上げ、後輩の繋がりもあり無事主催の藤本さんとご相談するに至りました。

テーマ「契約後の1年間」なら役立てるかも

藤本さんからはテーマは「契約後の1年間のオペレーション」と頂いたので、これはもしかしたら自分でも役に立てる内容かなと思いました。というのも当時、オンボーディング後の体験をどのように作るのか、というのが自分のチームでのメインミッションだったので、まさに自分が今試行錯誤していることが役に立ちそうだなと。

それを聞いて「是非出場させてください」と、半ば頭の中のもう1人の自分から崖から突き落とされるようにご依頼して無事登壇が決まりました(実際決まったのは出場企業が揃った年末くらいでしたが)。

この時点で2019年10月くらいでしたが開催は春先になると聞いていたので、まずは本業で成果を出すことにフォーカスしようと思い、そこから開催直前の2020年2月くらいまでは、特に登壇のことは意識せず自社の顧客と向き合い、自社の事業成果と顧客のサクセスのために何をすべきか、チームメンバーと議論し試行錯誤することを繰り返しました。

その結果生まれたオンボーディング後のサクセスに特化した記事はこちら「BtoB SaaSでオンボーディング後の成果を作るために大切な3原則「GPO」と私が経験した失敗談

2020年2月:新型コロナ影響で開催が危ぶまれる

さて2月に入りそろそろ登壇準備をしようかなと思っていたタイミングだったのですが、なんと藤本さんから「新型コロナの影響もあるので、もしかしたら開催できないかも」との連絡を頂きました。これに関しては自分の事業でも色々と影響を感じていたので、そのこと自体は止むを得ないなと感じました。

ただぶっちゃけてしまうと、この時点で準備に対する熱意はかなり下がってしまいました。やるならしっかりやろうと思っていたのですが、もし開催されない可能性があるとすると、本業自体もかなり緊急事態というのもあり、ちょっと時間を割いてられないぞと。そこで2月の末くらいまでは、正直殆どノー準備の状態でした。

が、2月末に藤本さんより「オンラインで開催出来るようになりました!」と頂いて、嬉しい反面すごく焦りましたw。やっべー、全然準備してないけど、あと2.5週間くらいしか無いじゃん…どうしよう…と。でも開催が決まったのは元々の自分の趣旨からしても本意なので、過去は過去ということで、そこから大慌てで準備を開始しました。

2週間前:チームメンバーに協力依頼

まず上司に出場決定のことを知らせ、それから社内Slackにて告知しました(その時、応援してます!的なコメントをもらえたのは嬉しかったですね)。そこからは、まず「契約後の1年間」というテーマに沿って、少なくとも自分が把握している範囲であればこういうことを話す、という内容をテキストでだーっと洗い出しました。

が、洗い出して思ったのは、意外と最新の運用状況については細部は自分も把握していない、ということでした。なにせ20人のチームで機能分業しているので、どんなフローになっているかは知っていても、その裏にどんな背景があったのか、どんな失敗があったのかということまでは見えません。

登壇内容を練る上では「何をやっているか」よりも「何故それをやっているのか」というWHY、つまり具体的には過去どんな失敗があったかとか、それを踏まえてどう学んだか、という内容がオーディエンスに刺さると思っていたので、それがないのはマズいと思い危機感を覚えました。そこで、1週間くらいの内にチームメンバー3人に特に自分があまり最近の事情を知らないフローについてヒアリングをしました(主に計測・オンボーディングの部分ですね)。

ただでさえ業務も忙しい中で、外部イベント登壇という業務とは関係ないヒアリングに時間を割いてくれたチームメンバーに感謝感謝です。あと素材撮影に付き合ってくださった方も!

ヒアリングのおかげで、全然自分が知らなかったことや検討の裏側などをたくさん聞けて自チームながら「そうなんだ!」ということもザクザク出てきたので、この時点で自分が考えていたものよりも数倍良い内容に仕上がりそうな予感がありました。実際、予選で話した内容の中でも計測や赤ペン、通知表の話は大部分がそのメンバーへのヒアリングから構成されています。

1週間前:孤独な闘いへ

さてこれで素材は揃った、あとはどう料理するかだ、という段階に入ったので、ここからはひたすら孤独な作業になりました。

まずテキストで話の骨子、WOWポイント(後述)、オーディエンスにとってのTake Away(持ち帰りポイント)、数値成果などを洗い出し、それらをスライドに落としていく作業をとにかく続けました。スライドは(いつもそうなのですが)最初から作り込むのではなく、これでいこうと決まってから作り込むので、ひたすら粗いスケルトンを作成することに明け暮れました。

誤解のないようにですが、これ全て業務外の時間でやっていたので、それ自体の縛りも結構厳しいなと思いました。イメージ、仕事が終わって19時か20時くらいから23時くらいまではひたすら作業、っていう感じですね。折しもコロナ影響で自社のセミナーもオンラインへ移行する、カスタマーサクセスもリモート対応か、といったことで本当にバタバタしていたのでその事業の対応もある中で、仕事が終わったあとにこのパワポ作業やるのが本当に大変でした。まあ元はと言えば、自分が2月のタイミングで準備を怠ったのが全ての原因なので、歯を食いしばって頑張りましたという感じですがw

さてそんな感じで出場の1週間前くらいまで作業してたら段々と自分の中で異変が起こってきました。

胃痛・ストレス・寝れない

まず最初に起こったのが寝れない、ということです。普段全くそんな事無いのですが、12時くらいに布団に入ってもどうしても目が覚めてしまい2~3時位までなかなか寝れないという日々が続きました。

とにかく「何もしていないと、ずっと登壇のことを考えてしまう」という状態が続いていたのです。お風呂に入っているときも、目を閉じている時も常に登壇内容のことが頭を過るのです。この構成で良いのかな、この表現わかりやすいかな、もっとこうした方が良いのかな、という感じでまったくもって気が休まらない。結果的に布団に入っても頭が冴えて冴えて仕方ないんですね。アドレナリンがずっと出てるみたいな。それで寝られないのです。もちろん単純な不安や緊張もあったので、それらが綯い交ぜになって現れるような感じですね。

このままではマズいと思い、この辺りから登壇のことを考えない時間を何とかして作るためにYoutubeで動画を見たりするようになりました。脳に何らかのインプットをしておけば、その間は登壇のことを考えなくなるので、その時間が自分にとっての唯一の休息の時間帯となりました(なのでこのタイミングでのアニメのコナン毎日再放送@Youtubeには本当に助けられました)。

そして次に来たのが胃痛です。これも普段よほどのことがないと無いのですが、今回はよほどのことだったみたいで、特に1週間前からはなんというかあんまり生きた心地がせず、ストレスからか胃が痛むことが何度かありました(そんな酷いものじゃなかったですが)。別に食事が喉を通らないとかそんなことは無かったのですが、これも自分の体に起こった異変としてびっくりしました。それほどまでに自分の中で緊張しているんだなというのが自分にとっても発見でした。

6日前:再度チームメンバーに相談

こういったストレスがどこから来るか考えた時に、やっぱりこの登壇を1人で抱え込んでしまっているのが全ての問題だなと考え、思い切ってそれまで1人で籠もって作業していたスライド構成なども含め、メンバーに相談することにしました。

主催者を紹介してくれた後輩のメンバーが一番今回の経緯も知っているし、背中を押してくれたこともあって彼女に「ちょっと発表資料が煮詰まっているんだけど相談に乗ってもらえないかな」と声をかけ資料を見てもらいました。

そこで、今こんな風に話そうと考えていてスライド構成はこんな感じ、というのを話したのですが、話し始めた瞬間、堰を切ったようにそれまで自分が抱えていた思考や思いがドバーッと吐き出されて、すごく解放された感じがしました。やはり自分1人でもやもやと抱えていたのが良くなかったようです。

あとから振り返ってみれば、この直後から劇的に資料が進んだなと思います。

彼女が話の要点を捉え不要な情報を削るのがとても得意だったことも有り、的確にかつ客観的に有益なアドバイスをたくさんしてくれました。

・このスライドは分かりづらい
・このスライドは削ってください
・ここは3枚じゃなくて1枚でいいです
・この表現は聞いている人はわからないのでは?
・逆にこの内容を入れたほうが魅力的では?

などなど。気づけば予選と決勝それぞれの内容で1時間ずつアドバイスをもらってしまいました。時間を頂いてしまい申し訳ないなと思ったのですが「なんか新入社員みたいなこと言ってますね笑。もっと頼ったらいいと思います」と言ってもらえたのはかなり刺さりました。

2日にわたってアドバイス貰ったのですが、その日からは久しぶりにぐっすりと眠ることが出来ました。

前週土曜:朝からスタバ→夜はオンラインリハーサル

さて登壇前週の土曜、この時点で残り5日でしたが、資料はラフなものがあるばかり、完成しているスライドは0枚という状況だったので、朝8時からスタバにこもってひたすら追い込み作業で資料を仕上げていきました。

この日は東京でも珍しく雪が降っていました(確か3/13(土))が、本当に家だと作業できない勢なので、雪を眺めながら新宿のスタバとエクセルシオールを転々としながら作業を続けました。

当日はオンラインになるということが分かっていたので、事前にチームメンバー3人にお声がけをし、土曜の21時からオンライン(Zoom会議)でリハーサルを行うことだけは決めていました。夜にリハがあるということで、朝からの作業は相当はかどり、この日に予選の資料を全て作りきりました(なお決勝の資料はこの日の段階では0枚だった。)

決勝の資料が間に合わないのは仕方ないので、リハーサルでは予選は完成資料を、決勝はラフ資料を作ってとにかく喋り、メンバーにフィードバック(FB)をもらいました。

ちなみにこの時点では予選が10分、決勝が12分くらいという状況で、まだ絶望的にスライドや内容が多い状態でした。

ただこの心理状況でネガティブFBばっかりもらったら、心身共にもう限界になるなと察し、チームメンバーには「とにかくまずポジティブFBをお願いします!その後に気になった点を教えて!」と何度も念押ししました笑。

この時にチームメンバーからもらったコメントも本当に実際の場で活きましたね。それまで自分の発表内容は内容てんこ盛り羅列系になっていたのですが、「ストーリーがない」「統一コンセプトがあったほうがよい」というコメントをもらい、そこから内容はそのままだけど味付けをかなり変えました。聞いている人にとっても「結局何なの?」ということが伝わりやすいような話し方や、プレゼントしてどこにオチ・盛り上がりポイントを持ってくるのか、といったことを意識して構成を変えたりしました

実はスマイルから生まれるカスタマーサクセス、やAll for 1 successというタイトルもこの時のやり取りから生まれました。「要はそのプレゼンで伝えたことをやると何で良いんですか?」という問いを突き詰めていった先からこういったエッセンスを抽出することが出来ました。感謝感謝。

日曜(資料提出期限):朝8時からさらにぶっ通し作業

さて、いよいよ資料提出期限の日に。この日の23:59に資料を提出すべしということはかなり前から知らされていたのですが、この日の朝時点では決勝の完成資料は0枚という状況でした。さすがにまずいと思い、朝からトップスピードで作業を進めました。幸いにも構成はこの前日のリハでだいぶ固まっていたので資料を作る作業自体はサクサクと進められました。

といっても0枚から始めて決勝資料を作りきったのが20時30分くらい、そこから予選も決勝も、1回通しで話してみて決勝の方はスライド分量的には問題ない(=練習でなんとかなる)レベルであることを確認し、予選の資料の修正に入りました。が、思ったより決勝の資料に手間取ったので、予選の資料の校正にあまり時間を使えず、前日のリハでのFBを最低限反映するにとどまったのは少しスケジューリングが甘かったなと反省しています。

ともあれ、全資料のFIXが終わって提出したのがその日の23:52。期限まであと7分というタイミングでした。さすがにここで資料を提出したタイミングでは「やりきったー解放されたー!!」という思いが溢れました(もちろん翌日朝からは仕事でしたがw)

2日前&前日:リハ・リハ・リハ

資料は作りましたが、当日の喋りももちろん大切です。内容こそあまり変えられませんが、どう伝えるかによって内容の輝き度合いも180度変わるものと考え、2日前に月曜に2回、前日の火曜に2回、それぞれリハをしました。3回目のリハは、最も直近に入社した(=弊社での取り組みをまだあまり知らない)中途のカスタマーサクセスのメンバーにも聞いてもらい、分かりづらいところがないか、聞き取りやすいかなどをチェックしてもらいました。

自分のプレゼンを録音し、チャプター毎の時間を記録、それぞれで何分何秒を切るのが目標、ということを書いていくと「あ、これサービスとか自己紹介の話いらねーわ」って思いました笑

電車の中で録音を聞いたりして、癖になっていそうな間投詞が挟まれていないかもチェックしました。毎回17分リハやるとつかれるので、途中はこのパートだけ何分以内に喋る練習とかもやってました。本業の登壇でも鍛えられましたが、やはり話すスピードは早くなりがちなので、自分が思う2倍はゆっくり話す、というのも心がけています。

登壇当日:1回リハ→本番

当日はさすがに16時くらいから私用としていたので、そこから会社で1回リハ、時間内に収まることを確認し本番会場へと向かいました。(なのでリハは計5回やりましたね。繰り返せば繰り返すほど話す時間自体は短縮できました。)

当日会場についた時の気分としては「さすがにこれはやり切ったな」という感覚になっていました。今自分たちのチームが出せるであろう内容としては最高のものを作れたはずだと。そお思えたのはやはり自分だけで作ったのではなく、途中途中でメンバーからのアドバイスやヒアリングを組み入れて作っていったことが大きかったなと思っています。

なので、これは勝っても負けても絶対自分にとって学びがあるし、そういうことは気にせず、最初の思いの通り、自分たちのやっていることを知ってもらって役立とう、という一心で話しました。

実際他の方のプレゼンを間近で聞けて、自分が一番勉強になったなと思っています。自分でアウトプットするとまた違った景色でプレゼンを聞けるのもあるので、どの会社の発表もとても学びがあるし、実際社内のslackでも他社の発表でかなり盛り上がっていました。

優勝、そして翌日

結果的に皆様の投票もあり優勝することが出来ました。その日は本当に久しぶりに解放感のもと打ち上がることができました。その後の場でも、登壇者の方、解説者の方といろいろなカスタマーサクセスの議論が出来て、とても学びが多かったです。

そして翌日出社した時ですが、チームメンバーの皆に「昨日はおめでとうございます!ビービットに入ってよかったって思いました!」「泣きそうになりました」「感動しました」といったことを言って頂けて、自分自身もちょっと泣きそうになりました。

そして何より、半年前勇気を持って、登壇しようと決めて、苦しいけれどもそれらを乗り越えてここに至れて良かったなと思いました。

優勝のトロフィーは今も会社に置いてあります(どこに置くかはかなり悩ましいですが)。自分が作ったものではなくチームで作ったものなので。優勝のコメントの時に伝えたチームメンバー全員でサクセスを作っている、というのは今回の登壇作りでも現れたことかなと思っています。ありがとうございました。

以上が、登壇までの軌跡、舞台裏です!やっぱりトータル登壇してよかったな、すごく良い経験になったなと思いますので、今後も募集があれば是非登壇側でご参加されることをオススメします!!


■3:自分が準備したこと

さて、そろそろ長くなってきたので、もう本当にさすがにこの辺で終わればいいのに、と思うのですがせっかくなので最後まで書き切ろうと思います。今回の登壇にあたって、自分なりに気をつけたこと、準備したことがありますので、もし今後何らかのイベントでご登壇される方がいらっしゃったら、多分あんまり参考にならないと思うのですが、これも備忘録的に残しておこうと思います。(主に登壇内容を作成する、以外の側面的な準備の部分になります。一番大事なのはもちろん内容だと思います!)

マインド:目指すは優勝

もちろん優劣じゃないという大前提です。ただ、勝敗が決まるイベントだからには出るからには絶対勝ちに行く。まずこの思いを強く自分の中で持ちました。そしてそのために出来ることは全てやろうと誓い、実行しました。

準備1:過去の天下一武闘会資料を全てチェック

過去のイベントページを遡り、公開されている資料は全てチェックし、どういうプレゼンが優勝しやすいのか(支持されやすいのか)という傾向は研究しました。第1回優勝の鈴木さん、第2回優勝の丸田さん、第3回優勝の森山さんの資料は相当読み返しました(というかそもそも内容がどれもめちゃくちゃ参考になるので、それだけでかなり勉強になりましたね)。

第3回は自分も会場に居たので、当時こんな呟きをしていました。

その辺の話も踏まえ、優勝するプレゼンの傾向はこんな感じだなというのを考察していました。

1. とにかく平易な言葉(専門用語入ると途端に分かりづらい)
2. WOW3連発(おおーっと思う内容が3つあるか)
3. 数字成果を記載(客観的インパクトの担保)
4. 分かりやすいフレームワーク
5. 明日から実行できるお土産(Take Away)

加えて共通した特徴としてこの辺がありそうだなというのも見て取れました。

・サービス説明は最小限(どうせ伝わらない)
・予選も決勝も多くて30枚以内
・読みやすさ重視(文字は最低24pt、メインメッセージは40pt以上)

なので、自分がプレゼンを作る際はこの辺を踏襲しながら作ることを意識しました(結構自分が良いと思うプレゼンと視聴者目線で良いと思うプレゼンにはギャップがあったりするので、そこは客観的に検証することにしました)。

準備2:他社CSチームに取り組みを聞いてもらい参考になったものを教えてもらう

自分たちがやっていることって、もう染み付いているので、正直他社から見た時にどのへんが凄いと思われるポイントなのか、この辺の勘所は7割方外すと思って間違いないだろうと思っていました。大体、うちはココを頑張っているんですっていうポイントは相手にとってピンと来ず、「え、そこですか?」みたいなところが相手に刺さったりするので、この辺の検証も怠らないようにしました。

具体的には1ヶ月くらい前に他社のCSの方にフラットに今自分たちが取り組んでいることをシェアし、どこが印象に残ったか、参考になったかを教えてもらうということをやっていました。この取組から僕が一番目から鱗だったのはこの「兼業体制」「定性ヘルススコア」「育成体制」といったあたりが、他CSの方から見ると、面白い取り組みに見えるということでした。

正直自分たちにとってはそれしか知らないので、もう当たり前になってしまっているのですが、そういったところに対して、外から良いと思った取り組みを言ってもらえる機会を設けたのはよかったなと思っています。

準備3:直近のCS業界のトピックとスタンダード感を掴む

ご覧になられる方はほとんどの方がカスタマーサクセス関係の方だろうということで、カスタマーサクセス界隈で今どんなことがトピックになっているのか、逆にどういうことはスタンダードになっているのか、ということを掴むようにしていました。

例えばヘルススコアやオンボーディングという言葉1つとっても、どこまでは共通用語として話してよいのか、どこからは説明をいれていったほうが良いのか、ということもすっと頭に入ってくるかどうかを分けるポイントだと思ったので、10~3月のカスタマーサクセス関連イベントの発信や内容、参加者のツイートなどは追いかけながらその辺の感覚を掴むようにしていました。

準備4:徹底的にリハ

本業でも登壇することが多いのですが、ぶっつけ本番とリハをするのとでは、圧倒的にリハをしたほうが完成度が高まることは体感していました。特に今回は時間が厳密に区切られているので、時間以内に話せないとかなり不利になります。ということで、何度も何度もリハを行うことを心がけました。

2章でも書きましたが、1週間前のラフからカウントすると、8回くらいはリハしましたね。最後の方になれば大体時間ピッタリでプレゼンを終わらせられるペース感も掴むことが出来ました。

準備5:失敗を語る

私は個人的にですが、聞いていて参考になるのは成功談より失敗談派です(これは諸説あると思いますが個人的な感覚です)。失敗談って成功談よりも話すのが憚られるのであまり出てきづらい。だからこそ希少だし、実際に失敗から学べることはたくさんあると思っています。

なので、今回のプレゼンでもどんな風に失敗したか、という要素をふんだんに盛り込むことには注意を払いました。

準備6:常識を否定する

これはそのプレゼンに興味を引きつけるためのテクニックで私は多用しているのですが「普通に考えるとこう思いますよね?」という内容を提示しつつ、それを「実は違うんです」と言えると、聞いている側としては興味を持ちやすくなると考えています。

この常識と否定のバランスは結構難しいのでいつも苦戦するのですが、上手く使えると自分の話に興味を持ってもらいやすいので、今回も特に予選などではこの辺は意識して組み込みました。

準備7:抽象と具体をバランスよく盛り込む

最後がこの抽象と具体のバランスですね。抽象的な話に終止すると手触り感のある知見にならないし、一方で具体的な話ばかりすると整理されていない印象になる。この辺も双方が大体半分半分くらいになるようにプレゼン内容を調整しました。

例えばですが、こういうことをやっています、という話のあとに具体的な顧客の声を入れたり、実際カスタマーサクセスをやっていて思った感想などを入れる、という感じですね。抽象と具体をバランス良くセットで話すことで、話の輪郭も中身も埋めて話を伝えられると思っています。

以上です。どこまで参考になるかは不明ですが、登壇される方の何らかの参考になりましたら幸いです。

■最後に:今後に向けて

長くなってしまいましたが、イベントについての全体的な感想で最後を締めくくろうかと思います。

オンライン配信最高!

今回はコロナの影響もあって、オンラインでの開催になりましたが色々なメリットがあるなと感じました。

メリット1:遠隔の方も参加しやすい
メリット2:あとから見返しやすい
メリット3:資料が見やすい

などなど。特に2とかは登壇者視点でいうと、他の方の発表を自分もあとから見返せるのでかなり助かります。なので今後も是非オンライン配信は続けて頂けると嬉しいなと思いました。今回ご協力頂いたのは天神放送局様!圧倒的な準備力と配信力でした!

MRRによって変わるカスタマーサクセス

今回の登壇企業はどれもBtoBで一定単価が高いSaaSでのカスタマーサクセスだったと思いますが、終了後のお話やコメントでも、単価によるカスタマーサクセスのやり方の違いはあるよね、ということは何度も話されていました。

私も実際そう感じていて、例えばMRR1万以下でもっとたくさんの企業を相手にする場合だと、やり方も手のかけ方も変わってくる。またtoBかtoCかでも大きくそのあり方は変わるだろうなと思っています。

なので、より聞いている人が参考にするという意味では、そういうMRRごとのカスタマーサクセスの話があっても面白いのかもなと思いました。

カスタマーサクセスがいかに事業を変えるか

最後に今の関心事として、カスタマーサクセスのやり方そのものだけでなく、カスタマーサクセスがいかに事業の拡大に貢献するか、というのは今後の重要テーマの1つであるということを再認識しました。

貢献の仕方としては、チャーンの低減、アップセル、そして事例の供給による営業・マーケへの貢献というのがパッと思いつきますが、それだけでなくプロダクトへのフィードバックや、インサイドセールスとの連携(ここは今私も取り組んでいたりします)、ひいては経営層に対しても顧客の状況を適切に捉えることで、カスタマーサクセスの現場の情報が経営の舵取りを左右することも今後増えていくのではないかと思っています。

カスタマーサクセスが果たすべき役割をそういった観点から議論することが増えていくと、単なる流行ではなく、本質的に事業にとって意味がある役割として今後の発展につながるのではないかと考えています。

感謝

最後になりましたが、主催のCSHACKの皆様、天神放送局様、解説の皆様、ご視聴頂いた皆様、そしてチームメンバーの皆様、本当に素敵な会をありがとうございました。今後もこのイベントが更に盛り上がるように私もお力添えできればと思います。

日々の試行錯誤はTwitterでつぶやいておりますので、是非フォローくださいませ。それでは!


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