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声かけ不要を表明するバッグはUX的にありなのか

4月1日、エイプリルフールが終わろうとしていた頃、こんなツイートを拝見した。

そして、このツイートに対して、スレッドが展開されていた。

自分も、「お声掛け拒否バッグ」はユーザーのエクスペリエンスにとってGOODなのでは!と考えてたため、こうした意見に「なるほど、勉強になる。お声掛け希望バッグの方がUX的に良いのか」という反応をしていた。

でも、ずっと考えてると、疑問も生じてきた。

確かに「過剰サービス」という「店側の(客にとっての)不当な行為」を防ぐために、客がコストを支払うというのは、そこだけ切り取るとおかしな話ではある。

しかし、逆に一部の客に「お声掛け拒否バッグ」を持ち運ぶという「不当ではあるが、比較的軽いコスト」を支払わせることで、「お声掛け希望バッグ」よりも、客全体の利益が上がっているのではないかとも考えた。

うーん、、詳しく考えていこう...

◯どんな客がいるだろう

まず4つのタイプの客を想定した。

❶お声掛けして欲しい層【意思表示可】
→お声掛けしてほしいと思っているし、自分でその意思を表示できる層。

❷お声掛けして欲しい層【意思表示不可】
→お声掛けして欲しいと思っているが、自分でその意思を表示できない層。

❸お声掛けして欲しくない層
→お声掛けしてほしくないと思っている。
※意思表示可/不可はここでは分類しない。

❹無意見層
→お声掛けして欲しいとも思わないし、して欲しくないとも思わない層。


⑴お声掛け拒否バッグ
=お声掛けして欲しくない人にアクションを求めるソリューション。
⑵お声掛け希望バッグ
=お声掛けして欲しい人にアクションを求めるソリューション。
※バッグでなくても良い。

の2種類のソリューションがあり、双方とも望まざる客にお声掛けをすることによる不快感を回避するものであった。

◯客にとって大切なのは

お店で過ごすお客さんにとって重要なこと(ここでは、一時的UXを考えます)

それは「いかに不快感を避けるか」ということと同時に、「いかに思い通りに、好きなように過ごせるか(いかに快感を得るか)」ということではないか。

そしてそれは今回の場合、「いかに意思表明ができるか」ということであると考えた。

というわけで、この観点で、お客さんの店内一時的UXのGood/Badを考えようと思う。

 いかに意思表明ができるか
A:受動的意思表明
→何もせず、意思を表明すること。意思表明にコストはかからない。
B:積極的意思表明
→何か行動を起こして、意思を表明すること。意思表明に一定のコストがかかる。

◯比較してみた

◯結論

⑴拒否バッグでは、
・一部のユーザー(ここでは❹)に不当だが比較的小さなコストを支払わせることとなる。
・全ユーザー(❶❷❸❹)が、お声掛けに関する意思を受動的であれ、積極的であれ表明することが可能

⑵希望バッグでは、
・一部のユーザー(ここでは❶)が、お声掛けサービスという自分にとっては、価値あるものを得るために、正当な比較的小さなコストを支払う。
・一部のユーザー(ここでは❷と❹)が、お声掛けに関する意思を表明できない。

◯UXって何を大切にすべきなんだ?

結局、どっちがいいんだろう。。。笑

⑴の方では、全ユーザーが不快感なく意思表示できるけど、過剰なサービスに対して、それを必要としないユーザーがコストを支払って拒否するというのは確かにおかしい気もする。

かといって、⑵は誰も不当なコストを支払わない代わりに、❷❹のユーザークラスタが意思表示をする利益を得ることはできない。

人間の感情を考えるといっても、何を大切にするかはその店や 企業の哲学・倫理観・態度によって左右されるのかもしれない。

実際にUX設計する際は、設計する人の倫理観だけでなく、クライアントの哲学を理解しておくことが、とても重要なことになるのではないか。

CIとUXが何だか繋がってきて面白い。

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◯追記

この記事を書くきっかけとなったしょせまるさんとTwitterでやりとりさせていただいた。

しょせまるさんなりの考察と結論をいただいた。

こうやって、色んな人と意見交換するのすごく建設的だ。
(Talkroom応援してます。笑)


あ、NYAGOやってます!チャットしていただけると嬉しいし、メモにでも使ってもらって構いません 笑


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Wataru Ono
サウナ代へと昇華します