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【アニメ感想】名探偵コナン 第1133話「ベストハズバンド」

絡み合う糸解きほぐす時、縦横無尽に煌めく推理!
家族の愛に潜む違和感。名家の夫婦に悲劇が迫る!
たった一つの真実見抜く、見た目は子供、頭脳は大人。

その名は、名探偵コナン!

今回の脚本は稲本達郎さん! 今年はまだ二回目の登板? もっと稲本脚本が見たいよぉ!

登場キャラは、江戸川コナン、毛利蘭、毛利小五郎、目暮十三、高木渉。



■今週のお話

【登場人物】
陸奥麗子(むつ れいこ)……42歳。政治家
乾紳司(いぬい しんじ)……55歳。麗子の秘書
陸奥太郎(むつ たろう)……42歳。麗子の夫
赤松猛
(あかまつ たけし)……37歳。


女性初の総理大臣になるのではないかと目されている政治家・陸奥麗子からの依頼を受けて、彼女の大豪邸を訪れる小五郎。例によって蘭とコナンは、お目付け役としてついてきた。
先代から陸奥家に仕える秘書・乾紳司が出迎える。依頼内容は内密な相談であるため、屋敷内は人払いしているらしい。
そして玄関の正面には、陸奥家の肖像画が並ぶ。陸奥家は代々大物政治家を輩出しているのだ。
だが麗子は陸奥家に嫁入りしたはず。麗子の夫はというと……あまり印象にないなぁ、と小五郎はぶっちゃける。
そんな三人は乾の案内で、麗子の準備ができるまで応接間で待つことに。

ところが、いくら待っても麗子がやってこない。
ようやく乾が戻ってくるが、その時、麗子の悲鳴が轟く!
急いで玄関に向かった小五郎に駆け寄る麗子。彼女の背後には、帽子・サングラス・マスクで顔を隠し、左手にナイフを持った怪しい男が。
男は小五郎たちに気づくと逃げ出し、本館の前のスロープを駆け下りて別館に侵入。地下室に鍵をかけて立てこもってしまう。
小五郎が地下室のドアを叩くが、防音らしく、中の音は何も聞こえない。
しかも麗子によると、なんと中には夫がいるのだという!
急いで地下室の鍵を取りに、本館に戻る乾。
少しして鍵が到着し、小五郎が鍵を差し込むと、麗子がノブを回して地下室に飛び込んだ。
すると中には、火がついた暖炉の前に横たわる腹部を刺された男の死体と、麗子の夫・太郎の姿があった……。

目暮警部たちが到着して現場検証がスタート。
死亡したのは赤松猛というゴロツキ。おそらく麗子を殺すために雇われたのだと思われる。その依頼料のお陰か、赤松の左手には高そうな腕時計がはめられていた。
太郎は、地下室に逃げ込んできた赤松と揉み合いになり、はずみで刺してしまったと証言する。
乾の訴えで、正当防衛だと考えはじめる目暮たち。
高木刑事は、赤松の周辺を捜査しようとするが、コナンは、追われた犯人が外へ出る門への道ではなく、わざわざ途中で曲がって別館へ向かったことをおかしいと言い出す。
小五郎は「気が動転してたんだろうよ」と言って太郎に話をふるが、太郎は「私に言われても」と、左手で持ったハンカチで汗をぬぐう。
その様子が気になった小五郎は、夏なのに暖炉を焚いた理由を太郎に聞く。そんな地下室で何をしていたのか、と……。
言い淀む太郎に、麗子が「夫は音楽鑑賞をしていた」と助け船を出す。さらに乾は「太郎は心神耗弱状態だった」と、暖炉の説明をする。
だが当然、小五郎たちは納得がいかない……。目暮と高木は、太郎を署に連行しようとする。
そこでコナンが再び違和感を口にする。地下室の鍵を開けた際、麗子が真っ先に飛び込んだのがおかしいというのだ。もしかしたら太郎が殺されていて、ナイフを持った赤松が待ち構えていたかもしれないのに……。
だが麗子は、「太郎さんが心配で」とごまかす。

連行される前に、自分の部屋で準備をする太郎と、それを見守るコナン・蘭・小五郎・高木。
部屋はかなり狭い。太郎曰く、広い部屋は麗子やそのゲストが使うそうだ。
片付けをしようと机に向かう太郎は、左手でペーパーナイフを定位置に戻す。その時、太郎がゴミ箱を見て焦ったのを見逃さなかった小五郎は、すぐさまゴミ箱の中を漁る。
するとそこにあったのは……。麗子と乾の密会現場を写した写真だった。

太郎の連行はいったん中止し、麗子と乾を問い詰める目暮たち。
写真には赤松の指紋がついていた。つまり、写真を持ってきた赤松が麗子を強請りに来たのだと考えられる。麗子が小五郎に相談しようとしたのも、この件についてだった。
そこで小五郎は推理を披露し始める。ナイフを持って玄関に現れた男は、太郎による変装だったのでは、というのだ。
男がナイフを持っていたのは左手。だが赤松は左手に腕時計をしていたため、右利き。左利きなのは……そう、太郎だ。
暖炉を焚いたのは、変装道具を処分し、赤松の遺体を温めて死亡推定時刻をごまかすためだった。
つまり太郎は、麗子を庇うためにこんなことをしでかした。そんな小五郎の推理を聞き、観念する麗子。
麗子は不倫をタネに赤松の強請りを受けていて、ついにそのことを太郎に打ち明けた。だが彼は怒るどころか「一緒に解決しよう」と言い、小五郎への依頼を提案した。
ところが今日の昼間、小五郎が来る前に赤松がやってきた。麗子は地下室で彼と話し合うが、探偵に依頼したことを知った彼は逆上し、ナイフを出してきた。麗子は抵抗し、はずみで刺してしまったのだ。
異変に気づいて駆けつけた太郎は、麗子と乾に「自分が身代わりになる計画」を提案。二人の協力のもと、それを実行したのだった。

小五郎は、眠らないで事件を解決したことに鼻高々。「眠らぬ小五郎」!w 探偵は眠らないのが普通なのよ!
そして蘭は、写真に写る麗子のネイルがすべてベージュであることに気づく。今日の麗子のネイルは、黒っぽい赤だったというが……。それを聞いたコナンは、真相に気づく……。コナンくんめっちゃ悪い顔!

屋敷で一人になる太郎。肖像画を見て、突然笑いだす。
そんな彼の笑いを止めたのは、眠りの小五郎! そう、赤松殺害の真犯人は太郎だった。
ゴミ箱の中の写真も、赤松と太郎の利き腕も、太郎がわざと小五郎に気づかせたもの。
麗子が赤松を刺したのは地下室。防音の部屋の異変に、太郎が気づくはずがない。赤松が刺されたのは、太郎との打ち合わせ通りだったのだ。
太郎は赤松に、麗子に刺し殺されたフリをするよう依頼していた。え、そんなことできるの!?本当に殺されちゃいそうw
麗子と、死んだフリをした赤松のもとに駆けつけた太郎は、地下室から麗子と乾を退室させ、赤松に血ノリ付きの服を着替えさせた後、彼を本当に刺殺した。
そして小五郎は、証拠として麗子のネイルを挙げる。
赤松を刺し殺した(と思い込んだ)麗子は、返り血を隠すために濃い色のネイルを塗った。つまり、彼女の爪には血ノリが残っているはずだ、と。
それを聞いた太郎はついに諦め、自分が陸奥家の当主であるはずなのに、彼女のオマケ扱いされていたことを苦々しげに語る。
そして逆上し、小五郎を殴ろうと壺を振りかざすが……すんでのところで高木が制止。
そう、前もって推理を聞いていた目暮たちは、血ノリだけでは証拠が不十分だと思ったため、太郎の自白を録音するためにこっそり待機していたのだ。
「ハメたのか」と呟く太郎に、小五郎は「私を利用しようとしたお返しですよ」と応酬する。

高木の車で送られるコナン・蘭・小五郎。事件を解決したことを喜ぶも、まだ寝ぼけている小五郎に、蘭は「やっぱりお父さんはこうでなきゃ」と安心する。



■今週の感想

今回面白かったー! 今年のアニオリで一番かも!
稲本達郎さん、やっぱ安心するなぁ~! 『張り込み3』も、張り込みシリーズの中では一番面白かったし!

でも気になった点もちょこっとあった。
太郎、そのまま麗子に赤松を殺させちゃえば良かったのでは???
自分が手を汚すより、麗子に殺人を犯させた方が、完全に彼女を失脚させられる気がする。
それとも、あくまでも自分で殺人を実行することにこだわりがあったのかな。『水平線上の陰謀』の犯人みたいに。

あと、赤松が一度殺されたフリをするのってめちゃくちゃ難易度高いよな!
防音室の扉も、蘭ねーちゃんなら蹴破っちゃいそう。


それでもプロットの完成度が高かったし、蘭がネイルの異変に気付いたところは、ちゃんと蘭の登場意義があって良かった!



■小ネタ

・コナン界の総理大臣

そもそも政治家キャラがあまり登場しない『名探偵コナン』。
「総理大臣」というワードが出てくるのが、かなり貴重だった!

私の記憶が確かならば~(料理の鉄人の鹿賀丈史風に)、作中で「総理大臣」が出てきたのはおそらく二回。
一回目は、映画『ゼロの執行人』。顔は登場しませんが、声優は浦山迅さんが務めています。
そして二回目は、大岡紅葉の祖父。こちらは三年前の時点で「元総理」でした。

果たして、現職総理大臣が本格的に登場する日は来るのでしょうか……?



■今週のゲスト声優について

ゲスト声優は、鑑識員:尾高慶安さん(初)、陸奥麗子:遠藤綾さん、乾紳司:船木まひとさん、陸奥太郎:下和田ヒロキさん。

女性初の総理大臣と目されている政治家・陸奥麗子役は遠藤綾さん。
『マクロスF』のシェリル・ノーム、『らき☆すた』の高良みゆき、『妖怪ウォッチ』のフミちゃん・コマさんなど数多くの人気アニメでメインキャラを演じている声優さん。
その声色から、クールなお姉さんキャラを担当されていることが多いです。コナンにはこれで4回目の出演で、「JKトリオ秘密のカフェ」では犯人役でした。

麗子の地味な夫・陸奥太郎の声は下和田ヒロキさん。
高い声質で、『緋色の欠片』の犬戒慎司や『戦国BASARA』の森蘭丸など、女性向けコンテンツで美少年キャラ・少年キャラを多く演じていらっしゃいましたが、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』では間田敏和を演じるなど、最近ではコミカルなお芝居も見ることができます。
コナンにはこれで3回目!



■スタッフ・キャスト

【脚本】稲本達郎
【絵コンテ】山本泰一郎
【演出】髙田昌宏
【作画監督】かわむらあきお

【声の出演】
 江戸川コナン:高山みなみ


 毛利蘭:山崎和佳奈
 毛利小五郎:小山力也


 目暮警部:茶風林
 高木刑事:高木渉
 鑑識員:尾高慶安


 陸奥麗子:遠藤綾
 乾紳司:船木まひと

 陸奥太郎:下和田ヒロキ

【サブキャラクターデザイン】増永麗
【デザインワークス】小川浩

【原画】鈴木克/橋本正則/西野大/添田直子/楳図巻/楊廷文/胡昱/正云明宏/涂國雄/江昀/神田尚佳/鈴木佐智子/中山岳洋



■【今週のおすすめ】『政治の道は殺人へ』ジャック・リッチー

『ダイアルAを回せ』ジャック・リッチー著/駒月雅子・他訳/河出書房新社

今回は、「政治家の夫婦」「ゆすり屋」というキーワードから、『政治の道は殺人へ』(原題:Politic Is Simply Murder)という作品をご紹介! 作者は短編クライム小説の名手ジャック・リッチー。初出は1960年です。

殺し屋稼業をしている主人公のもとに、下院議員に立候補しているフレデリックの妻ハーマイオニーが依頼にくる。夫を強請っているエドマンドを始末してほしいと。依頼を引き受けた主人公だが、ハーマイオニーと別れた後、フレデリックと落ちあう。フレデリックは殺し屋に、妻の始末を依頼した! エドマンドを殺してハーマイオニーから報酬を受け取った後で彼女を殺害すれば、夫婦両方から報酬をせしめることができる。そう企んだ殺し屋は、エドマンドを殺すため、彼のホテルの部屋を訪ねる……。

……というお話。初めて読んだときの衝撃はいまだに忘れません。とにかくスゴい! 『政治の道は殺人へ』というタイトルが、読んだ後だと180度変わります。


小五郎「コナンくん! Next Conan's HINT!」
コナン「プール!」
小五郎「眠らぬ小五郎! ここにあり~、ムニャムニャ……」
コナン「いや寝てるしー」

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