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Inside Outside

来る個展に向けて花材の準備をする日々です。先日は薮に入って立ち枯れた竹を切り出し拙宅前で下拵え。5~7mの枯れ竹の表面にみっちりついたあれやこれを洗い流して拭いて乾かして、と繰り返しているうちにInside Outsideなんてフレーズが浮かんできました。昭和初期に建てられた日本家屋に鎌倉の竹藪を持ち込み設ることで共生を可視化するイメージです。

このフレーズ、COMME des GARCONS HOMME PLUSのコレクションテーマにあった好きな響き。調べてみると98AWでした。今も冬の現場で活躍するウールのラップスカートもこのシーズンのもの。バイトに勤しんでは立ち上がりにあわせて買いに行ってたよい思い出。さておき。

Inside Outside、自然と地続きにあるような日本家屋の作りを際立たせるのにぴったりなフレーズな気がしました。今回は周辺環境(外側)を屋内(内側)に持ち込むのだからさしずめOutside Insideといったところですかね。……ん? これっていけばなそのものか。あはは。しあわせの青い鳥探しよろしく、ぐるぐる巡ってもといた場所に戻ってきたようです。

繰り返しにはなりますが、植物は種が落ちた地で周辺環境に合わせて進化適応してきました。その結果今日、私たちが目にする多様性を形作っています。私たち人間の暮らしは植物同様に、土地へのリアクションとして育まれてきました。その記憶や痕跡は、古くからある道具や住まいのありように残されています。自然との共生を見直す機運のある中、こうした姿勢が日々に溶け込んでいたであろう空間で、いけばなをご覧いただく機会を設けられたことを嬉しく思います。
お出かけください。

◆渡来徹 いけばな個展【二階堂】
日時: 7/15(土)〜18(火) 10:30~日暮れ
場所: Nikaido House(旧飯島邸 鎌倉市二階堂351)
入場無料

◆ Toru Watarai Solo Exhibition “Nikaido”
Date: 7/15 (Sat) - 7/18 (Tue) 10:30 to sunset
Location: Nikaido House (351 Nikaido Kamakura)
Admission: Free

余談ですが先日深澤直人さんのインタビュー記事を拝読しました。
私はいけばなを通じて植物を見つめることで、定住する人も植物と変わらず土地に対するリアクションとしてその暮らしがかたち作られていると気づきました。そうして深澤さんのインタビューを拝読すると、どうやらデザインも自然との共生に向かっている。この先はいけばなとデザインの協業を模索したいと思います。


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渡来 徹 | 花道家
ありがたくいただき、世界のどこかにタネを撒こうと思います。