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舞台付箋 獣愛ブースト音楽劇『Lamento -BEYOND THE VOID-』

02/26以降 楽曲関連で追記あり。
2/20夜ライ√、2/22夜バルド√現地観劇、2/25昼アサト√配信視聴メモ。
18年くらい前のBLゲーが、舞台化……しかも音楽劇化したウヒョー!!
今回は嬉し楽しい半分、好みでない半分の複雑な構成の感想と相成りました。


■公演概要

原作:nitroCHiRAL
演出:中屋敷法仁
脚本:内田裕基

公演期間
2024年2月16日(金)〜2月25日(日)
品川プリンスホテル ステラボール https://www.princehotels.co.jp/shinagawa/stellarball/

本公演は3ルートで上演。
※全ての回に、全てのキャラクターが出演。
公式サイト スケジュールより画像引用 https://s-size.co.jp/stage-info/stage/lamento/

・グッズ
1.公演パンフレット(3,000円)
2.個人ブロマイド L判(全15種 2枚1組 1セット500円)
3.ランダムクリアカードw63*h88mm
(全15種ランダムで1枚封入 350円)
4.ランダムアクリルスタンド 約50*100mm
(全15種ランダムで1枚封入 900円)
5.リングライト 1種1,500円
6.公演Tシャツ(1種ワンサイズL)

・チケット
一般:11,000円
サイドシート:11,000円 ※舞台の一部が見えない場合がございます
見切れ席:9,500円 ※舞台上が見えない箇所がございます。

STAFF

音楽:ZIZZ STUDIO
美術:中⻄紀恵
照明:吉枝康幸
音響:山本能久
映像:荒川ヒロキ 森すみれ
殺陣指導:六本木康弘
歌唱指導:水野里香
振付:TAMMY LYN
衣裳:小原敏博
ヘアメイク:瀬戸口清香
特殊小道具:やっほーいとう
演出助手:溝端理恵子
舞台監督:川除 学

宣伝美術:TRMN
宣伝写真:須田卓馬

https://s-size.co.jp/stage-info/stage/lamento/

■配信概要

ライブ配信あるのはめちゃくちゃ有り難い。ステラボールはステージ正面の普通に見える席以外に客席に対する人体への容赦はないのだ。首が死ぬ。期間限定配信はでも配信ありがたい……ずっと販売してて欲しかったー!!(´;ω;`)

ライブ配信概要
■配信公演
・2024年2月24日(土)18:00 公演(バルドルート)
・2024年2月25日(日)13:00 公演(アサトルート)
・2024年2月25日(日)18:00 大千秋楽公演(ライルート)
※本公演は内容の一部がキャラクターごとに違う、回替わり公演となります。
※全ての回に全てのキャラクターが出演します。
【販売期間】
・2024年2月24日(土)18:00 公演(バルドルート)
2024年2月19日(月)12:00~3月2日(土)18:00 まで
・2024年2月25日(日)13:00 公演(アサトルート) / 18:00 大千秋楽公演(ライルート)
・3公演FULLセット
2024年2月19日(月)12:00~3月3日(日)18:00 まで

【販売価格】
・各公演:3,800円(税込)
・3公演FULLセット:10,000円(税込)

【ライブ配信時間】
各公演開始30分前~ライブ配信終了まで(予定)

【見逃し配信期間】
・2024年2月24日(土)18:00 公演(バルドルート)
2024年2月25日(日)18:00~3月2日(土)23:59 まで
・2024年2月25日(日)13:00 公演(アサトルート) / 18:00 大千秋楽公演(ライルート)
2024年2月26日(月)18:00~3月3日(日)23:59 まで
【プレゼントキャンペーン】

【特典映像】
①3公演FULLセット 特典映像
ご購入いただいた方は、配信限定の出演キャストのコメント映像をお楽しみいただけます。
出演キャスト:前嶋 曜(コノエ役)、加藤 将(ライ役)、平賀勇成(アサト役)、瀬戸祐介 (バルド役)
配信期間:2024年2月25日(日)22:00~3月3日(日)23:59 まで
※3公演FULLセットをご購入いただいた方は、下記②の特典映像もご視聴いただけます。
②各公演 特典映像
公演終演後に出演キャストのコメント映像をお楽しみいただけます。
・2024年2月24日(土)18:00 公演(バルドルート)
出演キャスト:前嶋 曜(コノエ役)、瀬戸祐介(バルド役)
・2024年2月25日(日)13:00 公演(アサトルート)
出演キャスト:前嶋 曜(コノエ役)、平賀勇成(アサト役)
・2024年2月25日(日)18:00 大千秋楽公演(ライルート)
出演キャスト:前嶋 曜(コノエ役)、加藤 将(ライ役)
【視聴方法】
①DMM.com 無料アカウントへ登録し、ログイン
※DMM プレミアム会員でなくても視聴可能です。
②下記ライブ配信販売ページより購入
③「DMM TV」(ブラウザ版/アプリ)にて視聴
【ライブ配信販売ページ】 https://www.dmm.com/digital/stage/-/theater/=/name=lamento/

■ご注意
※公演開始30分前からライブ配信視聴ページに入場可能となります。
※ライブ配信終了後は見逃し配信のみの視聴になります。配信スケジュールをご確認いただきご購入の際はご注意ください。
※プレゼントキャンペーンに参加するには各公演をご購入いただき、キャンペーン期間内にライブ配信 販売ページよりご応募下さい。
※見逃し配信とは、ライブ配信の映像を後日期間限定で何度でも視聴出来るサービスです。
※詳しい視聴デバイスに関してはサービスサイトをご覧ください。

公式サイト並びにDMM.TV配信特設ページより
 https://www.dmm.com/digital/stage/-/theater/=/name=lamento/

■出演

コノエ:前嶋曜
ライ:加藤将
アサト:平賀勇成
バルド:瀬戸祐介

ラゼル:君沢ユウキ
カルツ:岡本悠紀
ヴェルグ:岩田知樹
フラウド:村松洸希

カガリ:淺場万矢
トキノ:深澤大河
フィリ:きたつとむ
キル:坂下陽春
ウル:新井雄也

歌うたい(シュイ):大崎捺希
リークス:松井勇歩

アンダーキャスト
田中廉 天戸拓磨


公式サイト 出演 欄より引用 https://s-size.co.jp/stage-info/stage/lamento/
公式サイトでPCならマウスオーバー、スマホは恐らくタップでシュイリーの画像が変化するyo

■作品概要

■原作の話。

2006年10月にNitro+CHiRAL(現:nitroCHiRAL)より発売された18禁猫獣人系BLゲー。シナリオ淵井鏑、原画たたなかな(現:倉花千夏)による2005年発売の「咎狗の血」に続くnitro+BLブランドの2作品目。
音楽はnitro+でお馴染みZIZZ STUDIO、歌唱はいとうかなこ氏、ワタナベカズヒロ氏の両名。タイトル含め楽曲名や歌詞にラテン語が使われていてようわからん事が多いが格好良いので良し。後で調べて更に燃えるのも尚良し。

ヒトのいないリビカという猫のような獣人種族が生きる森深い島国で、呪いを受け旅に出た主人公コノエの視点でライ、アサト、バルドの3人の√を進む。

※NITRO CHiRAL『Lamento -BEYOND THE VOID-』には成人向けの内容が含まれています。18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。18歳以上で、かつ成人向けPCゲームに興味がある方は上記サイトで原作ゲーにも触れてくれあとサントラもとてもいいぞ。本編後のシナリオを描いたドラマCDもいいぞ……。

■舞台の話。

2019年初演、2023年再演 脳内クラッシュ演劇「DRAMAtical Murder」、2022年上演 本能バースト演劇「sweet pool」に続けて、2024年、原作発売より18年弱くらいの時を経て原作そのままのZIZZサウンドを携えた上に音楽劇のための歌唱用描き下ろし新曲を引っ提げて 獣愛ブースト音楽劇「Lamento -BEYOND THE VOID-」としてラメントが舞台化ァァァ

あらすじ

世界は「虚ろ」と呼ばれる謎の現象に冒され始めていた。
「虚ろ」の発生した地域では生物はその活動を維持することができず、ただ避ける他なかった。
大きな耳と尻尾を持つ種族「リビカ」の⻘年・コノエは、リビカたちの村のひとつ「火楼」でひとり暮らしていた。
他の⺠とはあまり関わらないように暮らしていたコノエだったが、突如彼の体に異変が......。
村で今までどおり暮らすことができなくなったコノエは、「虚ろ」の危険に惑いながらも一人旅にでるのだった。
死へと向かっていく世界で、 行く先々に待ち受ける運命と出会いを知らずに――。
呪われた猫は、旅に出る 。

舞台公式サイトより https://s-size.co.jp/stage-info/stage/lamento/

■舞台付箋

ビジュアル ★★★★★
(衣装    ★★★★★)
(小道具   ★★★★★)
脚本    ★★★★☆
演出    ★★★★☆
殺陣    ★★★★★
振付    ★★★★☆
音楽(楽曲)★★★★★★★★★★
音楽(歌唱)★★☆☆☆
観劇難易度 ★★★★★

■良い感想

原作ゲームからそのままの音楽。
原作ゲームからそのまま飛び出してきたかのような俳優達のシルエット、衣装、小道具造形に至るまでのヴィジュアル。
原作音楽の雰囲気を残したまま新たに書き下ろされた音楽劇用の歌唱楽曲。
歌うことで闘牙を援護する力を持つ賛牙などのファンタジー要素を補完する映像演出。
様々の形をなす刀剣類を使った鮮やかで軽やかな殺陣の芝居。
3匹の攻略対象のシナリオを各√◯十時間プレイする原作シナリオを3時間弱にまとめた手腕。
18禁ゲー故の性描写の場面は着衣のままなのに沸き立つ色気という演者達による渾身の芝居。
最ッッッ高の音楽のまま舞台化やったーーーーーー!!! が最初の感想。

アンサンブルキャストが一切いないため、村の猫、通りすがりの賞金稼ぎ猫、立ち寄った村の村長猫、立ち寄った娼館の妓猫、その他諸々の役を他の演者達が演じるのは小劇場ぽくて好きだと思ったし、それでいて初めてのコノエの賛牙の力の開花や、悪魔の誘惑などでの映像演出がとても美しい。

バルド役瀬戸氏や、ラゼル役君沢氏の芝居には硬さがなく、時間さえ許せばキャラクターを壊さずに好き勝手しそうな雰囲気もアドリブから感じられた。時間さえ許せば……!(これ以上長くできないもんな、納得)

激しいダンスを交えたエンディングや、カーテンコールでのスペシャルタイムでは振付を見て解釈違い……!と頭を抱えた瞬間がありつつも、フリフリ猫も悪魔も、尾を激しく揺らして動く姿は正しかった!正義!ここに楽園は得たり!!

原作通りの展開で、えちちシーンも完全再現……の為にライ√では他二匹に比べて接触多い気がしますね……着衣のまま組み敷いて腰を振る姿に初見ではめちゃくちゃドン引きしたんですが(そこまでしなくて良いと思っていたし、ダンスとかのイメージシーンにするかなと予想していた)、徐々にコノエが色気を帯びてきて、これは……ドラマCD聞きましたか?って戦きました。(実際にそうなのかは未確認。アサト役平賀氏は往来で聞いてる時にイヤフォン外れて焦った話があったような……)

現地観劇のときはよく見えていなかったのですが、バルド√観劇で目撃し、配信でライコノ、アサコノ全員が口付けを直接していたのがワァってなりました。これは、すごい。道理でリップ音がしっかり鳴る訳だ。ワァ……
体を張って、というか。全身全霊で、俳優当人達の性的志向は関係なく、作品のキャラクター達と物語の為に、渾身の力を込めて舞台Lamentoを創ってくれたのだと、びりびりと痺れるように感じています。本当に、ありがとう。すごかった。ものすごかった。そこに妥協なんてものはなかった。取り入れられた猫の仕草で相手を思いやる気持ちを込めて、ヒトのシルエットをもつ猫の、リビカという種族を演じていた俳優すごい。たのしい。

・ビジュアル等々の話。

衣装、小道具、出演者達のキャラクター完成度がとても良い。原作ゲーム声優と声が違えど、発声の仕方をなぞっている気がして最早気にならない。(2.5次元舞台は喋り方や声の出し方を真似するのだという)
コノエの少し子供っぽさを残した前向きな喋り方、ライの大型種としての肩を怒らせたどかどかした歩き方、アサトの鋭さを持ちながらちょっとした所作の幼さ、バルドの大型種なのに飄々とした雰囲気。全部、舞台化して彼らが動き出すならコレだ! が詰まってた。

・脚本、演出の話。

脚本は内田裕基氏。キラルステージの第一弾ドラマダ、第二弾スイプーも脚本を担当。TVアニメのシリーズ構成や脚本などもされているとのことで、本当にLamentoを3時間弱によくまとめられた手腕はとても凄い……詰め込み感が半端ないが仕方ないよ、原作長い。一匹辺り攻略するのに二匹目以降は共通部分は文章スキップ必須ゲーだ……。
wiki見たら過去に観た舞台「薔薇王の葬列」もされてた。アニメのシリーズ構成・脚本の方が舞台脚本されてたんか!すごー

演出は劇団柿喰う客代表、中屋敷法仁氏。2.5系だと黒バスや文ストでお馴染み。此方もキラルステージでは第一弾ドラマダ、第二弾スイプーも演出されている。当方も文スト黒の時代だけ観劇した経験あり、映像演出が多いとは予想していたものの、想像以上の使い方で今や舞台とプロジェクションマッピングは可能性を広げる手法の一つなんだなぁ……個人的に初めてコノエが賛牙の力を開花させる楽曲「目醒め」の雫が落ちていくような映像とコノエの立ち位置が好きです。光の目覚めが水の波紋として現れるのが美しくて好き。

照明演出もめっちゃ好き。初見2/20夜のライ√を観劇した日、1階席最後列のN列に座ってたんですが、最高の視座でした。ステージから3段階段上がって二階、その上の下手に中三階、二階から10段ほど階段上がって三階、みたいな舞台美術で、三階の板と同じ高さに客席へ向けられたライトがあるのが本当に好きな使われ方されてた。客席にライトを向ける目眩ましは色々の舞台作品で使われているが、本作では舞台上半分が光の色に、舞台下半分が暗転する形となり、完全な暗転せずに暗転の表現となるのが心地よい。

・殺陣と振付の話。

殺陣指導は薄桜鬼ミュでもお馴染み六本木康弘氏なので、何も心配してませんでした。ファンタジー作品によくある先の湾曲した剣とか、大剣、小剣、手に直接くっついてるタイプの爪型武器とか種々様々の武器での対戦や、アンサンブルのいない中の演出も相まって、壇上の上と下、高低差をつけた遠隔殺陣など、色々と打ち合ってくれて楽しい。

振付はTAMMY LYN氏、初めて見るお名前でぐぐったらアイドルやダンスの振付をされてる方とのことで。OPとEDの振りの激しいダンスは音楽には合うものの個人的には好みではないのですが、今作尻尾やマントのビジュアルの舞台ではとても激しくフリフリ動いてくれてとても映える。悔しいけど大正解なんですわ……あのダンスのお陰でぴこぴこばんばん尻尾が長時間ずっと動くを眺められるのはOPとEDとスペシャルカテコだけ!

・音楽の話。

楽曲提供はZIZZ STUDIO。BGMは原作ゲー楽曲と、今作の為に楽曲11曲がZIZZの大山曜氏により書き下ろされた。原曲Lamentoの歌唱用編曲もZIZZ磯江氏による。
作詞はZIZZの江幡育子氏、川住かつお氏、月陽祝日氏の三名。江幡氏は、アルトネリコ3のアカネ将軍ヒュムノス「EXEC_METEMPSYCHOSIS/. 」でも聞いたことある!ヒュゥ!!
音楽劇で舞台化してくれたことが本当に嬉しい。いとうかなこ氏の楽曲、nitro+ゲーで幾つか遊ぶうちに聞いて好きになっていたところにLamentoの楽曲参加というのも嬉しく、何よりLamento楽曲全部かっけーんですわ。それに歌詞がつくのもとても嬉しい。
歌詞制作については2/27配信のワタナベカズヒロ氏You Tubeライブ配信で3名のコメントも読まれているのでご興味あれば是非。バルド楽曲「英雄よ~」がプロレスの入場曲に聞こえて大変だった話とか、原作へのリスペクトあふれるが故に悩まれた話とか。仕事だから、だけではなくZIZZの彼らが舞台に向き合ってくれたことが、原作ファン+観劇趣味人の一人として、とても嬉しく思う。

・出演者の話

フィリ(きたつとむ氏)が本当に舞台映えしててとても良い!!!!劇中劇を開幕させる為の道化だよすっげー!の気持ち。
ライ役加藤将氏、刀ステ大包平役で観たことがある程度でしたが良い役者ですな。主演の前嶋氏がカテコ時のコメントが短めの方であるのを、2/25ライ√大千秋楽時に、最後までステージに優先して残していこうとする姿と、普段は自分がフォローされがちという話をしながら座長をフォローしようとする姿が観られてニコニコです。
どうやらキスシーンはバルド√が多いらしい(配信特典より)ものの、アサト√のアサコノキスシーンは啄む様子とリップ音が非常に素晴らしい。絶対にBLCDを研究されていますねあれは……。
バルド役瀬戸氏、貴殿は先月ディスグーニーで観た気がしましたが!?の驚きと余裕、しなやかさを持ちながら隙あらばアドリブを見せようとするその心意気、好きです。振り回されるコノエよ、頑張った。
OP並びにED、スペシャルカテコのダンスでは、カルツ役岡本氏のダンスがキレッキレで最高に素晴らしい。マントを翻す様子が最高に似合っている。フラウド役村松氏はその長身と特殊造形とヒールある???足長いですね???の体躯の対比がパーフェクツ造形が素晴らしい動きをされてて良きの良き。
ラゼル役君沢氏はBADENDがない為に本当に登場時間が少ないものの、存在感が大きい。原作ゲーの声の安元……ではなく犬野忠輔に寄せたとても良い声……あとよくは知らんが悪魔筋トレ部は君沢さんが発足に関わってるやろ……
トキノは原作でもコノエの良き友猫としての清涼剤で、そのままの清涼剤トキノが板の上にいた。毎日のおすすめの野菜や果物、何種類くらいあったんだろうか。トキノとコノエの頭を付ける挨拶などのやりとりが一番猫らしくて好きだ。
キルウルの京山氏、新井氏の戦闘シーンがキレッキレで一番良い殺陣の時間でした。カテコ等のダンスでもキルとウルのシンメトリーな動きが見られたのも良き。
リークスとシュイ。リークスのエナメル系の黒光りする衣装と、会いたいするような優しい色合いのシュイの衣装、解釈一致過ぎて衣装さんが凄い。素晴らしい。終盤の「優しい記憶」の歌唱の際、二匹が背を向けてさながらドラマCD「Rhapsody to the Past」のイラスト、角度も身長差も最高……

コノエ役前嶋氏。若干齢26にして座長、短い公演で3√のシナリオの冒頭から終幕までほぼ全て出突っ張りの本作を本当によく、駆け抜けた。歌唱は個人的に苦手な感想を抱いていても、それを上回る熱量を感じられた。

■良くない感想

・脚本、演出の話、他色々。

観劇慣れしてないと難しいのかも? と思う事が幾つか。
アンサンブルがいないのでメインキャスト以外の登場猫物は他のキャストで表現される。小道具の受け渡しやバルド√のネズミ等々はナレーションも兼ねるシュイが行うし、あの火楼猫のシルエットはフィリだじゃん! ラゼルが吉良の村長? カルツが呪術師で藍閃の娼館猫はカガリだー、破落戸賞金首猫や火楼の生贄とその恋猫はウルキル大活躍、冥戯のカルツ友猫はトキノかなー。照明を直接当てないことで彼らは彼らでないという演出がかかっている事が分かれば、よくある何てことはない。
また、ヴィジュアルの中で、コノエの呪いの証である耳と尾の色の見た目の変化はなし。ずっと三毛猫耳と尻尾のまま。手足の痣は衣装で隠れて見えることはない。
そういうものだと思えば寧ろわかりやすい演出、慣れればおっけー。本当は良くない感想でも何でもないが、初めて観劇したヒトがいたら大丈夫だったかなと勝手に心配してた。

また台本やゲームで言う地の文・ト書きを歌うたい(シュイ)が天の声として読み上げるか、コノエが心情を声に出す、または台詞の中で説明するので台詞量が多い。本当に多い。その中で出演者達の滑舌がまあ、その、そんなに、よくない感が複数人にみられるので上手く言えなかったんだナー、が多い。

上演時間3時間弱にまとめる為に原作プレイ済勢からすると忙しいヒトの為のLamentoになっており詰め込み感が満載。一つ一つのシーン、特に戦闘シーンが駆け足なので二幕終盤のリークス戦では歌って力を得て殺陣3手キンキンガキンで「無理だ……」と負けそうになる様子が物足りない。しかし他舞台の殺陣5000手舞台のようにずっと殺陣でも飽きが来る。
背を向けて現れた相手の目の色について言及したり、ついてこいという台詞を言った相手よりも先に言われた猫がはけていく矛盾した瞬間にがっかりしたり。
そもそも余韻、余白を多くとればとるほど上演時間は伸びる。詰め込んでいても物語のテンポの良さが損なわれておらず、他のシーンや台詞を削るのは難しい。寧ろ原作小ネタで削ったシーンもあっただろうし、3時間を超えると終演後の帰宅時間など観劇のタイミングも難しくなるので本当に繊細に作られていたんだろうなぁ。

また映像演出を多様しており、本作が賛牙の歌、魔術師の力、悪魔の力といったファンタジー要素を取り入れた物語故に超常現象を用いたシーンが多い訳だが、その全てを映像演出に頼っている為、映像から目を逸らして演者本人を見つめると物足りなくなる……(そういう見方をするのが悪い)(悪いんだけど指先や足の爪先までもっと見つめたくなる癖を持っているのが要因)

呪が示す~から始まる本作音楽劇Lamento。作中の第一声でわかりますが楽曲が難しいのもあって音が、音程がとれてない。歌も、歌唱ももっとがんばってくれーーーーーー
2/20観劇時、一曲目の主題歌LamentoのOP曲を編曲した楽曲「呪が示す旅立ちの歌」の第一声からすげー不安になった。他の曲でもソロなら音程も取れている事もある、楽曲が難しいからか、ニ名以上のデュオ、トリオになると斉唱ですら危うく、重唱になると音を取れていない演者と、音を取れる演者との不協和音が聞こえてしまう瞬間があり、聞いていて不安になる。
全く取れていないわけではないし本人が頑張っているのもわかるんだが、一音が短いメロディを一発で音を取れず上がりきらないので、重唱の際に特に、ピッチがとれていないように聞こえる模様。それも各√千秋楽までにはかなり落ち着いた気もするので本当に頑張っていたのだと理解している。特に一人だけ三シナリオ、各√の専用楽曲も全部覚えねばならないもんな、座長。
あとは出番的に持ち楽曲も少ない筈なんだが、やはり音を取れない瞬間が多々あるリークス様。
出演者全体で言えば、声量が足りないのか、発声の仕方が甘いというか、喉が開いていないような気がする。音楽・声楽は専門ではないので、この辺りは個人的に好みの歌い方でなかったという話。

※2024.03.02追記
(楽曲インスト配信、楽曲名・歌詞の公開に伴い改めて音楽面から考えると、原作ゲーム作曲者による、原作ゲームを原曲とした派生系歌唱曲としてそれぞれの楽曲が成り立っていることから、大変歌い難いメロディラインの数々であることがよくわかった。これがコンサートならまた違ったかもしれない。しかし音楽劇として動きながら短い稽古期間で成り立たせるには音楽が強すぎたのかもしれない。いや本当これデュエットするの滅茶苦茶難しいじゃん!? 仮歌入った楽曲を聞いて練習したとしても自分の音を探すの難しいなこれ!? ってなった。来年とか数年後にまた同じ出演者で、パワーアップして再演してくれないか……音が、歌が、声が響き合う力ってのを、Lamentoでも味わってみたいと切に願ってる。)

あとは本作は音楽劇ということでミュージカルではない事はわかっている筈だが、歌唱の曲数がもう一声欲しかった印象。冒頭から歌ってたくさん歌ってるんだけども! 最後のリークス戦のフィリや、アサト√のカガリからアサトへの想い、カルツからアサトへの想い、ライ√でのライからコノエへ、バルド√でのライからバルドへ、とか。この場面にも歌唱をいれてくれー、なんて贅沢で無理な願いを抱いていました。11曲もあるのは十分な楽曲数だし、ミュージカルではないんだけども(自分に言い聞かせる為に2回言った)
あとは、OSTにしか収録されていない、いとうかなこ氏の原作イメージソング「賛えし闘いの詩」の男性キャストによる歌唱……欲しかった……

■それでも、観に行ってよかった。

演劇的にはとても好きで、音楽の歌唱的には割と苦手な作品だった。しかし音楽・楽曲としては原作が好きな自分には懐かしく、同時に新しいものに生まれ変わっていた。
歌のないストレート演劇ではそぐわなかった。ミュージカルでもきっと物足りない。音楽劇という形が最適解だった。
好きと苦手が混在する舞台作品ではあったものの、それでも観に行ったことに後悔はなく、振り返って何度も噛みしめる度に、色々な感情をも噛み締めて、千秋楽までの過程も含めて楽しかったと言える。原作ゲームだってUIやら何やらでストレスがあった事をすっかり忘れて楽しかった思い出の美化が入っている筈だ、それでも18年弱前のあの時、楽しく触れたゲームに、こうして舞台として再び出会うことができて、本当に良かった。

本作、R18原作の為に過激なシーンも忠実に再現されていることもあり、演者が全力で演じてくれているのは十分に伝わった。十分に楽しませてもらったが故の、労働環境としての出演者達に負担がないよう、心身のケアにも配慮がされていることを願って止まない。

■楽曲配信など

・ワタナベカズヒロ氏 関連動画

※仮歌をワタナベカズヒロ氏がいれて提供したとのことで2024/02/24のご本人のyoutube liveでも1曲歌われてました。
・ワタナベカズヒロ YouTube 生配信!2024/2/24

・ワタナベカズヒロ YouTube 生配信!2024/2/27 Lamento Tribute 生配信!
作詞で参戦された方々のコメントもあり盛りだくさん。舞台本編では使用されなかったゲーム原曲Temple of soulやいとうかなこ氏とのデュオ曲When The Endのナベ氏歌唱あり。

・2024.02.22 リサイズ復刻グッズ予約開始

2012~2014年に発売した「Lamento -BEYOND THE VOID- ステンドグラス風アクリルパネル」が、持ち運びしやすいコンパクトなサイズで復刻とのこと。「Lamento -BEYOND THE VOID- ステンドグラス風アクリルスタンド」(全12種)、4/5(金)発売決定!まじかー!


・2024.02.26 楽曲インスト配信開始

2024/02/26よりZIZZ STUDIOより舞台公演で使用された楽曲がインスト+ワタナベカズヒロ氏verで配信開始!!やったー!

・2024.03.01 楽曲情報公開

楽曲の曲名、歌詞が公式サイトにて公開。敬称略。
公式サイト楽曲情報より楽曲名引用

呪が示す旅立ちの歌(一幕共通 オープニング)
目醒め(一幕共通 コノエ、ライ)
絆、呼応す(一幕共通 コノエ、ライ)
その瞳に(前半歌唱:ライ√一幕、後半歌唱ライ√二幕 コノエ)
虚ろな器(二幕共通 リークス、コノエ+chor4悪魔)
優しい記憶(二幕共通 リークス、シュイ、コノエ)
何よりあたたかいもの(ライ√二幕終盤 コノエ、ライ)
光満つ祝福の歌(二幕共通 エンディング)
生への賛歌(一幕共通 コノエ キルウル戦)
不変の絆(アサト√二幕リークス戦 コノエ、アサト)
歩む道(ハミング:アサト√一幕 アサト√二幕終盤 コノエ、アサト)
英雄よ立ち上がれ(バルド√二幕終盤 コノエ、バルド)
掴んだ未来(バルド√二幕終盤 コノエ、バルド)


■関連記事

・舞台美術 中西紀恵氏X(旧twitter)


・イラストレーター 山田外朗氏


・【スタッフ雑記帳】 『Lamento』シュイとリークス、四悪魔たちの過去のエピソードを公開!

ドラマCD『Lamento -BEYOND THE VOID- Rhapsody to the past』のシナリオをweb用に再編集してくれた……??? 急にきてめっちゃびっくりしてる心臓に悪いけどCHiRAL君どうもありがとう……ありがとう……

https://www.nitrochiral.com/staffblog/2024/3080.php?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=chiral-official

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