あるがままに受け入れる~エピクテトス~

『何もかもが自分の願うようにいくことを求めるな。
むしろ、何もかもが起こるように起こることを願え。
そうすれば君の人生はうまく流れていくだろう。』
~エピクテトス『提要』~

アヴァロンは咳払いをして言った。
「当会もだいぶ間が相手しまったね。
定例通りに開催されるべきだが、
主催者が仕事を言い訳にしていたよ。
全く、いくら哲学などを学んでも、
実践に活かされなければ意味がないというのに。
まぁ、今回の言葉は自分の思い通りにいかないことの戒めだ。

プロジェクトが思い通りにいかないなんて当たり前のことだ。
一方で、そのたびに解決する過程を蓄積する方が肝要である。
そして、問題の本質をとらえる。
実像を把握することが一番難しい。」

ドレイクは煙草の煙を揺らめかせながら言った。
「生活の中でも思い通りにならないことは多々ある。
それは期待をしているからだ。
意識的にせよ、無意識的にせよ
期待をしてそれが裏切られた時に人は落胆する。
目の前のことを、ありのままにとらえるようにすべきだよ。」

ルーピンは分厚い眼鏡の奥から瞳をギラギラさせながら語った。
「事象を変えることはできない。
変えることができるのは自分の受け取り方、
これからの意思と行動だけである。
これを実践した人物を知っているよ。
ストックデールだ。」

トランブルは彼の代名詞であるスコッチのソーダ割りを飲みながら言った。
「一歩踏み込んで考えよう。
何もかも思い通りに起こる人生に、
困難も何もないプロジェクトに、
反発も対立もない人間関係に、
一体なんの価値があるだろうか?
予想外も想定内、
それすらも含めて楽しめる度量こそが
人生を楽しむ秘訣だとは思わんかね。」

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