嫌なことへの心構えををしておく
『朝起きたらまず、自分にこう言い聞かせるが良い。
今日一日、でしゃばりや、恩知らずや、自分勝手なやつや、嘘つきや、嫉妬深いものや、気むずかしいものに出くわすだろう、と。
彼らがそうした病にかかっているのは、
善悪の違いをわきまえていないからだ。
だが私は、善の美しさと悪の醜さを知った今、
悪い行いをするものも自分の同法であることがわかった……。
彼らによって自分が損なわれることはなく、
見にくいことに巻き込まれることもない。
それにもちろん、自分の親類に腹を立てたり、
憎んだりするわけもない。
われわれはお互い協力し合うように生まれついたのだ。』
マルクス・アウレリウス 自省録
自省録の真骨頂であり、日々に取り入れることができる金言である。
他者からの干渉は自分の心像を乱す力を持たない。
その干渉によって自分がどう感じたかによって心像は動くのだ。
水面に石を投げ込まれても、水底には波は立たない。
自分の心に深みを持てば、他者に心を乱されることは少なくなる。
ストア哲学はストイックの語源ともなっている。
現在イメージされるストイックは禁欲主義のイメージが強いが、実際のところは操欲主義のほうがあっている。
嬉しいことは喜んで良い。一方で、悪いことがおきたときに
正しく見つめ、自分の心が乱されないように訓練することがストア哲学の目指す不動心(アパテイア)である。