見出し画像

LLP「中崎西公園」という実験を始めてみる。

今回は独立して3年経ち、コロナ禍の真っ只中に「有限責任事業組合(LLP)中崎西公園」という謎のユニットの立ち上げに参画した理由を書いてみたいと思います。ちなみに、公園の管理事務所ではございません。それぞれリクルートのビジネスパートナーとして、求人広告制作ディレクターをやってきた個人事業主6人がふらっと集まり、これまでやったことのない何か新しいことにチャレンジしてみる。そんな「公園」のような場所を作ろうと実験的に立ち上げたチームです。

一人になって感じた「自由」とその「代償」

個人事業主になり、一年後に法人成りして株式会社を設立し、代表取締役になりました。(前回記事「3年前。会社を辞めて、独立してみた。」) 

会社を辞めたことで、多少フットワークは軽くなったかもしれません。「とりあえず、やってみるしかない」ですから。自分の意志で仕事を選べることは、難しくもありますが自己決定できる喜びもあります。でも、多くの同じような働き方をしている方は共感してくださると思うのですが、事務処理や手続きなど、やらなければいけないことが多すぎますね。。これでも、様々なWebサービスのおかげでかなり楽になったはずなのですが… 会社員時代の総務部門や経理部門のありがたみを痛感することになるとは思いもしませんでした。コロナの影響もあって「脱ハンコ」などと言われましたが(結局行政改革・デジタル庁はどうなったんだろうか…)、DXが加速度的に進展することを切に願うばかりです。

そんな感じでなかなか思い通りにはならない中、もう1つ強く感じたことがあります。それは「"稼ぐ"ことと"学ぶ"ことのバランスが取りづらい」ということです。会社員時代は、会社の看板を盾にしながら自分の成長につながる仕事機会をつくることができました。でも、個人でプロとして稼ぐためには、当然ですが「できること」に対する期待に応え、価値を返さないといけません。失敗も許されない。稼ぐための仕事で時間が埋まっていき、スキルを切り売りして自分が擦り減っていくような感覚に襲われます。

ただでさえ一人では新たな学びを得ることが難しいのに、新しいことに挑戦する機会さえもなくなってしまう。「自分で仕事を選べるんだから、バランス取ればいいじゃん」と言われてしまいそうですが、そうカンタンな話ではありません。個人が仕事を断るというのはかなり勇気がいることだなと、やってみて思いました。特に我々の仕事は無形の価値を提供しているので、明確な基準もなく、価格の提示も難しいです。「みんなどうしてるんだろう?」と思うのですが、個人でやっていると相談できる人も近くにいない。「この孤独感が自由の代償なのかな…」と感じずにはいられませんでした。それに、共に競い合いながら切磋琢磨できる存在がいるって、幸せなことですよね。

画像2

フリーランスだからこそ、やっぱり仲間が必要だ。

「中崎西公園」に参加したのは、やっぱり仲間が必要だと思ったからです。他の5名とはリクルート時代に従業員同士、または従業員と業務委託パートナーとして一緒に働いて以来、10年以上の付き合いになります。ここにいる全員と常にフラットで言いたいことを言い合える関係性であることが、チームに参加した大きな要因の1つであることは間違いありません。僕は6人のメンバーの中でも個人事業主としての経験が最も短いので、色々相談もできる仲間の存在は貴重です。

実は、前職でマネジャーをしていた当時から、ここに集まったみんなには「チームやユニットを組んでみてはどうか?」と話していました。個人よりも組織の方が仕事を依頼しやすいという背景もありましたが、「一人で抱えている不安や悩みも解消できるし、お互いの個性を活かし合えば互いに学びもあって、もっと色々な仕事ができるのでは?」と感じていたからです。でも、一人で仕事をする魅力って、それはそれで大きいんですよね。組織化することで煩わしさや不自由さが増すくらいなら、今のままが良いという考え方もあると思います。当時、実際にチームや組織化した人はほとんどいませんでした。

でも、「今のままを維持したい」という考え方が最も危険なんじゃないかと、僕は思っています。クライアントの事業環境もカオスになっていると日々感じます。常に変わり続けるために、今、手にしているものを手放す勇気を持ちたい。そのためにも仲間が必要だと思いました。一人ではできないことは多いし、環境が変化していく中で「孤独」は何より体に悪いですから。特に今回の新型コロナの感染拡大で、「一寸先は闇」ということを痛感したことが、他のみんなにとっても「スイッチ」になったように思います。そこで、「特に何をやるかも決まってないけど、とりあえず集まってみた」というわけです。

画像1

Jcomp - jp.freepik.com によって作成された business 写真

個人の自由を最大限に尊重できる「組織」とは?

「中崎西公園」では、同じような思いを持った気心の知れた仲間と一緒に、組織化による煩わしさや不自由さをできるだけ抑えながら、柔軟かつ開かれたチームで協働することで得られる成果と進化の可能性を追求してみたいと思っています。「有限責任事業組合(LLP)」という特殊な形態を選んだのも、そんな理由からです。LLPというのは、映画でよく見る「●●製作委員会」が代表的な活用例ですね。2005年に施行された「日本版LLP法」で認められたものらしい。民法上の任意組合と株式会社のそれぞれ良いとこ取りをした仕組みになっているのですが、正直よく分かっていない部分も多いです。。これから色々と勉強していきたいと思います。(LLPとは何なのか、設立ってどうやってやるのかなど、やってみた体験もこの場で公開していくつもりです。)

また実際に集まってみると、よく似た想いを全員で共有しているものの、やりたいこととか問題意識などはバラバラだったりもして、「組織」として動く難しさは想像以上です。これは前職でマネジャーを経験した時の感覚ともちょっと違うと感じます。俗によく言われる「ビジョンやパーパスがないとダメ」とか「ビジネスモデルはあるのか?」とか、色々と突っ込みどころがあることを重々承知した上で、それでもあえてやってみる。案の定、諸々うまくいかなかったり試行錯誤の連続ではあるのですが、そこにおもしろさを感じています。これから何が生まれるかは分かりませんが、少なくとも実験し続けることで得られる学びは多いはず。「中崎西公園」から失敗や悩みも全部ひっくるめて実験の過程を発信することで、多くの方からフィードバックをもらえるプレイグラウンドのような場になるといいなと願っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?