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模倣(もほう)ビジネスが業界を停滞させる



1. はじめに


私は、輸入貿易とネット通販に10年以上携わってきました。この間に、たくさんの成功と失敗を経験しました。




そして、その経験を通じて、ビジネスの成功にはオリジナリティ(独自性)が欠かせないことに気づきました。



特に最近、TTP(徹底的にパクる)という手法が広がってきており、これが輸入ビジネス業界やOEM業界に大きな影響を与えています。



私はこの状況に強い危機感を感じています。



TTPとは、成功している人のやり方をそのまま真似るという手法です。このやり方は一見、簡単に成功できるように思えるかもしれません。




短期的には、真似をすることで利益を得る人もいるでしょう。しかし、長期的に見ると、TTPには大きな問題があると、私は感じています。




それは、オリジナリティやイノベーション(新しいアイデアを生み出すこと)が失われてしまうことです。




今回の記事では、TTPが業界にどのように悪影響を与えているのか、そして、オリジナリティがビジネスにとってなぜ重要なのかについて、私の経験をもとに解説していきます。



2. TTPとは何か


TTPとは「徹底的にパクる」の略で、簡単に言うと「成功している人のやり方をそっくりそのまま真似する」という意味です。



特に、ネット物販やOEM(他のメーカーが製造した商品に自社のブランドをつけて販売する)業界で、非常によく使われる手法です。




このTTPは、2015年頃から急速に業界に広まりました。



TTPが広まった背景には、それを広げることで、利益を得ることができる立場の業界関係者の影響があります。




TTPの利点は、成功者の道筋をそのまま辿ることで、リスクを減らし、短期間で成果を出せる可能性があることです。



しかし、TTPには大きな問題もあります。



それは、模倣(もほう)に頼りすぎると、業界全体で新しいアイデアや創造力が失われ、イノベーションが停滞するということです。




つまり、短期的にはうまくいくかもしれませんが、長期的には業界全体の成長を妨げるリスクがあると、私は考えているのです。



ビジネスの初心者にとっては、TTPは一見簡単で成功しやすい方法に見えるかもしれません。




しかし、ビジネスの初期ステージでTTPを覚えることで、その後の人生でもオリジナリティを失い、競争力が弱まってしまうことを、理解しておいて欲しいのです。



3. TTPがもたらす物販ビジネスへの弊害



TTP(徹底的にパクる)という手法が物販ビジネスに浸透することで、さまざまな問題が生まれています。



まず、TTPがもたらす最大の問題は「クリエイティビティ(創造性)の喪失」です。


成功している商品やビジネスモデルをそのままコピーすることで、独自のアイデアを生み出す意欲が削がれてしまいます。




特に、成長期が終わった業界や、OEMを利用した商品開発では、オリジナルの価値がますます重要になってきます。



しかし、TTPを覚えたことで、多くの人が「真似をすれば良い」と考え、



独自の商品を率先して開発しようとしなくなり、新しいアイデアや商品が生まれにくくなってしまうのです。



さらに、TTPは「価格競争」を引き起こします。



多くの企業や個人が同じ商品やビジネスモデルを真似することで、市場が飽和し、差別化が難しくなります。



その結果、価格競争に陥り、利益率が低下してしまいます。このような状況では、企業が長期的に利益を上げ続けることが難しくなります。




また、TTPは「ブランド価値の低下」にも繋がります。




模倣が広がることで、元々のオリジナル商品の価値が薄れてしまいます。ブランドの独自性が失われ、消費者からの信頼も低下してしまうのです。



結果として、オリジナルのアイデアや商品を開発した企業が、不利益を被ることになります。



4. 業界のイノベーションが止まる理由



TTP(徹底的にパクる)が広がると、業界全体のイノベーション(革新)が停滞してしまいます。



イノベーションとは、新しいアイデアや技術を生み出し、それを実際のビジネスに活かしていくことです。




しかし、TTPが蔓延すると、イノベーションが生まれにくくなる理由がいくつかあります。



まず、TTPが広がることで、企業や個人が「新しいことに挑戦しよう」という意欲を失っていきます。



多くの事業者はリスクを避け、すでに成功しているビジネスモデルをそのままコピーしようとします。



その結果、新しいアイデアや技術を開発するインセンティブ(動機)がなくなり、業界全体で新しい商品やサービスが生まれにくくなります。



次に、TTPによって、オリジナルなアイデアを生み出す人たちが評価されなくなります。



せっかく新しいアイデアを考えても、すぐに他の人にコピーされてしまうため、努力や創造性が報われにくくなります。



これでは、誰も新しい挑戦をしようとしなくなり、業界全体が停滞してしまうのです。



さらに、TTPが広まることで、市場は「二番煎じ」ばかりになり、競争が激化します。



同じような商品が溢れかえると、差別化が難しくなり、最終的には価格競争に陥ります。



イノベーションが進まない業界では、消費者に提供できる価値が限られてしまい、市場自体の魅力が低下してしまうのです。



これは、商品開発の話だけではなく、ノウハウを供給する、スクールやコンサル、情報発信者が発信する内容に置き換えても同じことが言えるのです。



5. 考案者が評価されない業界の問題点




TTP(徹底的にパクる)が広まることで、真の考案者やオリジナルな取り組みをする人たちが正当に評価されないという大きな問題が発生しています。



これは、ビジネスにとって非常に深刻な問題です。




なぜなら、オリジナルなアイデアや商品が評価されなければ、イノベーションが生まれず、業界全体の成長が止まってしまうからです。




新しいビジネスモデルや製品を開発するためには、時間や資金、そして大きなリスクを伴います。



しかし、TTPの蔓延によって、こうした努力が無駄になってしまうことが多いのです。



オリジナルなアイデアを出しても、それをすぐに他者にコピーされてしまい、考案者自身がその価値を享受できないのです。




さらに、コピーをする側が、利益だけでなく、何も知らない業界の新規参入者からの賞賛すらも得ることがあるので、




結果的に考案者よりも模倣者の方が評価されてしまう不公平な状況が生まれています。



このような状況が続くと、オリジナリティを持つことの価値が下がり、業界内で「どうせ新しいものを作っても、すぐに真似されてしまう」という諦めの感情が広がります。



こうなると、誰も新しい挑戦をしなくなり、業界全体が停滞する原因となります。




また、オリジナルなアイデアを生み出す人たちは、自分の努力が報われないことで不満や失望を感じます。




これが積み重なると、業界から優秀な人材が流出してしまい、結果としてイノベーションが生まれる可能性がますます減少していきます。



また、TTPを使用する人物は、次第に他人の努力や功績を軽視するようになります。



コピーする側の言い分は「ビジネスは戦争だ」や「オリジナルのアイディアなど存在しない」といった自己弁護を繰り返し、模倣行為を正当化します。



また、彼らは、自分たちを模倣者ではなく、「効率的に成功を追求する実践者」として、模倣行為を正当化し、自分は悪くないと考えているのです。



こうした行動をとる人々は、クリエイティブな仕事に携わる者の苦労や思いを考えることもなく、模倣の弊害に無頓着なのです。



6. TTPを推奨するコンサルは必要ない理由



TTP(徹底的にパクる)を推奨するコンサルタントやスクールは、短期的に見れば効果的なように思えます。




しかし、長期的に見れば、こうしたアプローチはビジネスの成長を阻害するだけで、クライアントにとって真の価値を提供しているとは言えません。




まず、TTPを推奨するコンサルやスクールのメッセージは非常に単純です。




「成功している人のやり方を真似すれば、あなたも成功できる」というものです。




確かに、成功者のやり方を真似ることで、短期間で結果を出すことができるかもしれません。




しかし、これは根本的にクリエイティビティ(創造性)や独自の戦略が欠けており、長期的には持続可能な成功には繋がりません。



TTPに依存するビジネスは、自分で市場を分析し、独自の戦略を考え出す力を育てることができないからです。



コンサルやスクールは「他人を真似しなさい」と言うだけでは、クライアントに対して本質的な成長を促すことはできません。



その結果、クライアントは表面的な成功を得たとしても、真に強力なビジネスモデルを構築する力を身につけられないのです。



というよりも、「成功者のマネをしろ」と述べるだけなら、誰でも言えるので、コンサルティングの価値すらないと言えます。



それが認められるなら、あなたも今日からコンサル側になって、「成功者のマネをしなさい」と、クライアントに伝えるだけで完結してしまうからです。



さらに、TTPを推奨することは市場全体に悪影響を与えます。



同じような商品やサービスが市場に溢れると、差別化が難しくなり、最終的には価格競争が激化します。



こうした競争は、利益率を下げ、持続可能なビジネスを築くことを困難にします。



また、クライアント同士が同じ方法を使っているため、市場が急速に飽和し、業界全体が停滞する原因ともなります。




TTPを推奨するコンサルやスクールは、自分自身で試行錯誤したノウハウを提供するのではなく、単に他人の成功事例をコピーさせるだけです。



その程度のアドバイスが、クライアントにとって本当の価値を提供してると言えるのでしょうか?



7. かつてのオリジナルを大切にしていた業界



TTP(徹底的にパクる)が広まる前、輸入貿易やOEMの物販業界は、オリジナリティや独自のアイディアを大切にしていました。



各企業や事業者は、自分たちで試行錯誤を重ね、新しい商品やビジネスモデルを開発していました。



その結果、市場には多様な製品やアイディアが溢れ、イノベーションが活発に行われていました。



以前は、各企業が自分たちのノウハウや独自のアイディアに誇りを持ち、他社との差別化に取り組んでいました。



セミナーや講演でも、講師が自分自身の経験に基づいたオリジナルな戦略を語ることが一般的でした。



もし他者のアイディアを無断で模倣した内容を発表した場合、業界内では厳しく批判され、信用を失なった場面も数多く見てきました。



かつては、オリジナリティを持つことがビジネスの成功の鍵とされ、模倣者は評価されませんでした。




しかし、2018年代頃からYouTubeやSNSの普及により状況は一変しました。



これらのプラットフォームでは、情報発信が簡単になり、多くの発信者が他者の成功事例やノウハウをあたかも自分のもののように語るようになりました。



この流れに乗って、模倣が広がり、さらに、情報発信の内容までもが模倣を当たり前のこととして受け入れられるようになったのです。




その結果、かつて評価されていたクリエイティブな発信者や事業者は、模倣の波に押されて埋もれてしまい、オリジナリティを持って業界をリードしていた企業の価値が薄れていきました。




模倣による競争が激化し、市場の質が低下することで、消費者にとっても魅力のない状況が生まれました。



このように、かつての業界では、オリジナルな取り組みが非常に重要視されていたのです。



成功を目指すのであれば、過去の業界が大切にしていた「独自性」を再び取り戻し、模倣に頼るのではなく、自分自身の強みを活かすことが必要だと、感じています。



8. これから業界に参加する人へのアドバイス



これから輸入貿易やOEM業界に参入しようと考えている方には、TTP(徹底的にパクる)の魅力に惑わされず、自分のオリジナリティを大切にすることが成功の鍵となることを強く知っておいて欲しいと思います。



短期間で結果を出したいと感じるかもしれませんが、他人のやり方を真似するだけでは長期的な成功は得られません。



むしろ、独自のビジネスモデルやアイディアを持つことが、競争の激しい市場で生き残り、成長し続けるための最善の方法です。



まず、他人の成功事例を盲目的に模倣するのではなく、自分自身の強みや得意分野を活かすことが重要です。



市場調査や自分の経験を元に、どのようにして他社と差別化できるかを考えてください。




模倣だけに頼ると、表面的には一時的に成功するように見えるかもしれませんが、独自の価値を提供できなければ、結局は競争に勝てなくなります。



次に、TTPを推奨するコンサルタントやスクールに依存することを避けるべきです。



こうしたサービスは、他人を真似れば成功できるという簡単なメッセージを送りますが、実際には独自のビジネスを構築するためのスキルや知識を身につける機会を奪います。



真に成功するためには、自分で考え、市場のトレンドや顧客のニーズに合わせた独自のアプローチを見つける必要があります。



さらに、業界に参加する際には、オリジナリティを持つことが顧客に対する強力なアピールポイントになります。



顧客は、他と同じ商品ではなく、独自の価値や特長を持った商品やサービスに惹かれます。



これにより、他の事業者と差別化され、価格競争に陥ることなくビジネスを成長させることができます。



人の真似をすることによって得られるのは一時的な成功かもしれませんが、独自性がなければ長期的には淘汰されてしまいます。



特に、いまのような環境では、なおさら、そうだと、強く感じています。


9. 結論



TTP(徹底的にパクる)は、一見すると簡単で効果的な手法に見えるかもしれません。短期的には、他人の成功を真似することで利益を上げることができるでしょう。



しかし、TTPには大きな問題があります。




それは、オリジナリティやイノベーションを奪い、業界全体の成長を停滞させてしまうということです。



模倣が広がることで、業界全体が同じような商品やサービスに溢れ、差別化が難しくなります。




その結果、企業間の競争は価格に依存するようになり、利益率が低下します。



さらに、オリジナリティを持つ企業や事業者が正当に評価されなくなり、新しいアイデアや革新が生まれにくくなります。




業界全体の活気が失われ、最終的には消費者にも魅力のない市場となってしまいます。



成功を目指すためには、他人の成功をそのまま真似するのではなく、自分自身の独自の強みやアイディアを活かすことが不可欠です。



TTPに頼るのではなく、オリジナリティを持ち、自分で考え、挑戦することが、長期的な成功への道を切り開きます。




また、TTPを推奨するコンサルタントやスクールに依存することは避け、自分自身で市場を分析し、独自の戦略を構築することが重要です。




成功者のやり方をそのままコピーするのではなく、自分なりのアプローチを見つけることで、競争力のあるビジネスを築くことができます。



結論として、TTPは短期的な成功を約束するかもしれませんが、長期的にはビジネスの成長を妨げ、業界全体にも悪影響を及ぼします。




今後も業界で成功し続けるためには、オリジナリティとイノベーションを大切にし、他者と差別化された価値を提供できるビジネスモデルを構築することが最も重要です。




業界全体の健全な発展に貢献するためにも、自分自身のアイディアを信じ、挑戦し続ける勇気と姿勢を、どうか貫いてください。



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