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ケニアの携帯電話の話

■ケニアの携帯電話事情


有名なM-PESAという携帯電話を使った決済システムが発達していることからもわかるとおり、携帯の普及率は高く、国民1人あたり携帯電話1口座以上を持つ計算となります。ただし、これはSIMカードの発行数での計算であり、ケニアの携帯端末はデュアルSIM(1つの端末に複数のSIMカードを挿入できる)がほとんどですので、人工の半数以上を締める子供(18歳以下)は携帯を持っていないことが多いです。
とは言っても、大人はほぼ全員が携帯を持っています。ホワイトカラーや都市部のタクシー、バイクタクシー運転手はスマートフォンを、街のマーケットの売り子さんや低所得者層はガラケーを持っているといったイメージです。
携帯キャリア会社は、サファリコムが断トツのシェアで、最近合併したテレコム・エアテル連合がそれに続きます。先述のM-PESAはサファリコムのサービスで、この浸透率と合間ってサファリコムの影響力はケニアにおいて絶大です。私が住むような首都ナイロビからバスで10時間の地方都市でも、それなりの規模(店にレジがあるくらいの規模)の小売店では店別のナンバーが設定されており、M-PESAでの支払いが可能です。そればかりか、バイクタクシーの運転手や、路肩で野菜を売っているおばちゃんに対しても、個人携帯へM-PESA支払いにすることを断られたことはありません。それほど、M-PESAと携帯電話はケニアの人々にとって当たり前のインフラとして普及しています。

■ケニアでの携帯電話の使い方(2019年11月現在)


・使い方
ケニア中のいたるところにある「Safari com」の看板を掲げたキオスク(小規模小売店)でSIMカードとAirtimeを購入することができます。SIMカードの購入、M-PESAのデポジットにはパスポート等のIDが必要です。Airtimeは事前の預入金の様なもので、端末毎に購入金額分が登録されます。

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キオスクでAirtime登録のためのシリアルナンバー入りカードを購入するか、直接番号を伝えてアカウントに購入金額分を登録する

原則的にはこのAirtimeを消費して、通話・ネット通信・SMS送受信しますが、これがくせ者でAirtimeを消費してネット通信をすると瞬く間にAirtimeを消費しの残額が減っていきます。では、どのようにネットに繋ぐかと言うと、データプランをAirtimeを使って購入します。

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Safari comアプリの画面
「27.94」がAirtimeの残数、「7,874.22㎆」がデータ残量。データ残量が0になると、自動的にAirtime残数を消費しネットに繋ぐこととなる

データプランには、1日限りのものから90日間継続できるものまで、それぞれ通信データ量毎様々に価格設定がされています。

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データプランの選択画面、Airtimeを消費し購入する

つまり、日本と同様に携帯を使って、通話やネットにつなごうするためには、Airtime購入とそれを使ってデータプラン購入をまず初めにする必要があります。しかし、私はケニアに来た当初、Airtimeだけを購入しネットにも繋いでいました。あっという間に数千KES分のAirtimeが消えてなくなっていたので、どうしたものかと頭を抱えていました。
また、Airtime残が0から3,000KSHのデータプランを購入しようと、3,000KSH分Airtimeを購入しても、自動で起動しているアプリがネットを繋がっていたり、購入のためにSafari comアプリに繋ぐことでデータを使ってAirtimeを消費してしまい、微妙に金額が足りずに3,000KSHのデータプランを購入できないということが起こってしまいます。
これら、Airtimeやデータプランの登録は、携帯電話でダイアルし登録することも可能ですし、Safari comのアプリで登録することも可能です。

・おすすめの使い方
私のおすすめのデータ購入法は、「30日間5㎇1,000KSH」のプランを普段使い用として購入し、「3時間1.5㎇50KSH」のプランを、ネット使った会議やエロ動画ダウンロード等まとまってデータを使う際に購入するやり方です。日常生活でWi-Fi環境がない人や仕事でテザリングすることが多いひとは「30日間15㎇2,000KSH」を普段使い用としても良いかもしれません。
また、ナイロビではAirtimeのカードをクレジットカードで購入できるので、ナイロビで買いだめして、通信費はクレジットカードを通じて日本の口座から支出し、ケニアシリングの支出を抑えています。

・ケニアの方々の使い方
ケニアの人たちはすぐに、「親戚に電話したいから電話貸して」「電話したいからエアタイム恵んで」と言ってきます。日本人なら緊急時のため、Airtimeが残っていないと不安で仕方ないと思いますが、ケニアの人たちは、使う時に必要なだけエアタイムを購入すればよいと考えているのだと思います。その証拠に、そこら中のサファリコムの看板がかかったキヨスクで10KSHや5KSHのAirtimeが売られています。

■ケニアでの携帯電話に関する犯罪

・盗難
手軽に皆が持ち運ぶ高級品として、携帯電話とくにスマホがスリや盗難の被害に合いやすいです。特に首都ナイロビにおいては、タクシーや自家用車の社内においても、窓から手を差し入れて持っていかれる、なんて話がまことしやかに囁かれています。
かく言う私も、片田舎の任地においてスマホの盗難被害にあいました。

・特殊詐欺
日本におけるオレオレ詐欺の様な犯罪がケニアにおいてもあります。まず、M-PESAで見ず知らずの誰かが自分のアカウントに入金してきたようなSMSが届きます。その後、着信があり焦った様子で「誤ってあなたに送金してしまったから返金して欲しい」との電話が入ります。更にSafari com職員を名乗る人物から「○○さんですね、ご入金処理がされているので、M-PESAを使って返金処理をしてください」と電話がきます。この電話で「自分の名前を知っているし、数千円だし、焦っている様子でこれ以上相手にするのもめんどくさいし」と入金してしまうことがあるようです。
防犯方法としては、怪しいメールや電話は基本的に無視することです。先述のM-PESAによる入金を装ったメールも、本来のM-PESA入金であればM-PESA名義からメールが送られてきますが、通常の番号から文面はそっくりそのままM-PESA入金の内容で送られてきます。しっかり、送信元アカウントと文面を確認し対応すれば問題ありません。

・Airtime勝手に送金
これは私が実際に被害にあったやり方です。AirtimeはM-PESAと違い、暗証番号なしにダイヤルするだけで他人のアカウントに送金することが可能です。「Airtimeが今ないから50KHS恵んで欲しい」と頼まれた時、決まったダイヤルを入力するだけで送金が可能です。ケニアに来たばかりの頃、何かの拍子に同僚に携帯を触らせていたら、知らない間にその同僚のアカウントに300KHSを送金されていました。送金するとSafari comからその旨メールが来るので発覚し、その同僚は処刑しました。これも日本にないシステムで知らぬ間にAirtimeを抜かれていることがあるので注意が必要です。

以上、2019年8月現在のケニア携帯事情でした。


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