バンジー

ザンビア旅行記⑥ ヴィクトリアの滝

ばんちゃんの任地を離れて、1日首都ルサカの隊員ドミトリーに宿泊後バスでヴィクトリアの滝があるリビングストンに向かいました。到着後、同期達と合流しイタリアンで舌鼓を打った後、翌日のヴィクトリアの滝観光に向けてホテルで休みました。

ヴィクトリアの滝、最大のイベントはバンジージャンプです。
事前に同行する同期隊員とラインで会話する中でお誘いがあり何げなくジャンプを決めました。

実際、現場となるザンビアとジンバブエの国境にある吊り橋を見た時、金玉が縮み上がりました。

何となく数十メートルの高さから、飛び降りるのかなと考えていたのですが、つり橋から川面までは実に130メートル、川面の水しぶきすら見えない。同行した同期隊員の一人は吊り橋を歩くこともできないほどの高さでした。一連の申込み作業を済ませ、吊り橋中央の飛び降り現場に向かいましたが、この間も何げなくジャンプに了承した自分に怒りを覚えていました。飛び降り現場に着き、橋から下を眺め、支払い済の150ドルをドブに捨ててもよいので、キャンセルしようか迷っていると、白人のティーンエイジャーが、両親が心配そうに見守る中、まるで数段の階段を飛び降りるくらいの気軽さで跳んでいきました。こう見えて私は日本人としての誇りだけは持っている方なので「くっ、ムズング(白人)の少年があんなにも軽々と跳んでいるのにここで私がしり込みしていては、日本人の恥をさらすことになる」と腹をきめました。そうこうするうち、同期が早々と跳んでしまい、とうとう私の順番になりました。装具を付け橋からせり出た死刑台に向かいます。そこで、現地のスタッフに両足をタオルでぐるぐる巻きにされその上からロープを固定していきます。少しばかりのタオルの緩み、ロープの固定ミスが惨事へと繋がることになるのですが、あろうことかこの黒人スタッフは横のスタッフと何やら雑談しながらこの作業にあたっています。時折、作業する手ではなく横の黒人スタッフの方にニヤニヤしながら目をやっったりしています。「おい待て、貴様。私はケニア政府からの依頼を受け、日本国を代表してここアフリカに来ている公人であるぞ。貴様のそのニヤ付いた手つきが万が一事故を生んだら、国際問題に発展するんだぞ。もっと真剣になって準備をしてくれ(涙)」と心の中で叫ぶも、後の祭り。「立て、進め、下を見るな前を見ろ。ゴー・ヨン・サンニーイチ」と考える暇を与えられず、日本語での死のカウントダウンが始まりました。カウントダウンの3から1までの間は実質0.5秒くらいに早口でした。その後は、スタッフに背中を猛烈に押されて地上130メートルの空中へと跳び出しました。

跳び下りた後はなんてこともない、半失神状態で天地の違いも分からないまま気づいたら地上数十メートルの場所に中吊り状態でした。

その後は、同期隊員に「いや~、余裕でしたわ」と強がりを吐いて、ヴィクトリアの滝観光を続けました。

「バンジージャンプを経験すると人としての価値観が変わる」
なんてことを言う人がいますが、そんなことはありません。
何も変わりませんでした。
ただ跳んだだけです。


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