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ハシゴ酒から偽装表示まで「グループシンク」の罠【わたちゃんの、まったりビジネスコラム】

年齢を重ねるにつれ前夜の深酒が翌日まで残るようになった、わたちゃんです。コロナになる前は、最近は平日の夜を避けて休日の昼間に飲むように心がけ、昼間にベロベロになれる数少ない場所、浅草ホッピー通りがお気に入りでした。

集団で決めた事柄が大きな過ちにつながる現象のことを「グループシンク」あるいは「集団浅慮」と言います。
社会心理学者のアーヴィング・ジャニスが提唱した概念で、グループシンクには8つの症状があります。
症状1:自分たちは絶対に大丈夫という楽観的な幻想
症状2:外部からの警告を軽視し、自分たちの前提を再考しようとしない
症状3:自分たちが正しいのは当然とし、倫理や道徳を無視する
症状4:外部の集団への偏見・軽視
症状5:異議をとなえることへの圧力
症状6:疑問をとなえることへの自己抑制
症状7:全員一致の幻想
症状8:集団の合意を覆す情報から目をつぶる

言い換えれば、
ひとりで考えていれば当然気づいたことが、集団で考えることによって見落とされる現象で、結束力が固い組織ほど陥りやすいと言われています。

スペースシャトル、チャレンジャーの事故やベトナム戦争の泥沼化などもこの理論で解説されています。食品会社の産地偽装や、原材料偽装、消費期限や賞味期限の偽装などの問題もこのグループシンクに陥ったケースです。
発端はちょっとした利益追求のためであっても、ブレーキがかからなくなり、通常の意思決定ではありえないような会社ぐるみの大規模な偽装事件にまで拡大してしまうのです。これは組織問題であるグループシンクが原因です。
つまり「3人寄れば文殊の知恵」にならない現象です。素晴らしい経営理念のもと、一体感や結束力のある社風を築き上げることは、競争力の高い事業を推進するうえで重要な要素のひとつになります。
ところが、この強固な一体感・結束力が、足を引っ張る結果につながることもあるのです。一体感・結束力だけでなく、進んでいる方向が適正なものか、社内統制によるチェックが重要です。

グループシンク

この「グループシンク」は身近な暮らしの中にも表れる現象です。飲み屋街に飲んだくれオヤジたちが集まると、愉快になって正しい判断力を失い、「次いこう!!」「次いこう!!」とハシゴを続けた結果、スッカラカンになるのです。
翌日、二日酔いの重い体を引きずりながら「なんで昨晩あんな意思決定をしたんだろう?」と毎回反省するのです。食品偽装会社と違い、オヤジのグループシンクは社内統制の仕組みを導入できないからこそ、始末が悪いのです。
でも、それも今は懐かしい昔の話しです。飲み歩く体力があっても、今はコロナ禍自粛です。

健全で小市民の楽しみに拍車をかける「酒場のオヤジグループシンク」が復活するののを心待ちにしています。

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