『ワールドトリガー』10巻感想

はじめに

noteでは少しお久し振りです。綿毛です。
津波の影響で放送延期になった『ワートリ最終回』がトレンド入りしていましたね。思わずポチッと押してしまったのですが、ワ民の方々の「みんなが楽しめる時に一緒に楽しみたい」などの温かなお言葉が流れてきて、思わずほっこりしてしまいました。

さて今回は、『ワールドトリガー』10巻三雲修回の感想です。

ここから先はネタバレ満載になりますので、未読の方はご注意下さい。

では参ります。

三雲修

(いきなりストーリーの感想ではなくキャラの感想から入ります…)

我らが主人公の一人、三雲修(15)

一般的に、主人公は読者から最も受け入れられやすい(感情移入しやすい)存在として描かれることが多い中、三雲修はそれとは真逆、むしろ人間として異質である、というのが10巻を読んだ私の正直な感想です。

だってこの子おかしいんだもん!!!!!!!!!

10巻における三雲君の所業↓
・戦闘体を解除し、生身のまま戦場を駆け抜ける。なお、重傷を負いながら守り抜いたのはただのトリオンキューブ(替え玉)
・入隊試験の結果に納得が行かず、ペンチを用いて無断で警戒区域に侵入。ボーダー上層部に直談判を試みようとする。
・記者会見に突然闖入。大勢の大人から浴びせられる自身への批判に臆することもなく演説を行った。

おかしいでしょ(真顔)

まずこれ。
・戦闘体を解除し、生身のまま戦場を駆け抜ける。なお、重傷を負いながら守り抜いたのはただのトリオンキューブ(替え玉)
⇒ハイレインのトリガーはトリオンにしか効かないから、換装を解けば攻撃を無効化出来るという理屈は分かる。分かるんだけど、じゃあそれを実際にやるか?って話。やらないでしょう、普通。最近までC級隊員で戦場にまともに出たこともなかった人間が、既に死を覚悟しているとはこれ如何に。しかも血だらけになってまで守り抜いたのが、まさかの替え玉だったという衝撃の事実…。映画だったら主演男優賞ものですよ。

・入隊試験の結果に納得が行かず、ペンチを用いて無断で警戒区域に侵入。ボーダー上層部に直談判を試みようとする。
⇒あの、ペンチで侵入って何???この時の三雲君は流石に気が狂ってたとしか言えない。衝動的な行動にも程がある。試験に落ちたショックで、倫理観をどこかに捨ててしまったのか…。

・記者会見に突然闖入。大勢の大人から浴びせられる自身への批判に臆することもなく演説を行った。
メンタルの強さがえげつない中学生。この記者会見のシーン、冷や汗が標準装備の三雲君が、壇上に上がってからは一切冷や汗をかいていないという…。肝が据わりすぎだよー!逆に何でいつもあんなに冷や汗かいてるの。

………うん。普通に人間としておかしくないですか?おかしいですよね?少なくとも私は「やばいな、三雲修コイツ」って思いました。
何がやばいって、これらの異常な行動の起因は全て、自分の利益や他人のためとかじゃなくて、”己の意志を貫くため”なんですよね。三雲君がボーダーの入隊試験を受けたのも、戦闘体を解除して死に掛けたのも、全て雨取ちゃんのお兄さんに雨取ちゃんのことを託されて、自らが「千佳を守る」と決めたから。決して他人に責任を負わせないんですよね、彼。

これは1巻の「ぼくがそうするべきだと思ってるからだ!!」といった台詞などを通して私が常々感じていることなんですが、三雲君は”自分を偽らない”ことだったり、”自分の中で正しいと思ったことに従う”ことを常に最優先にして行動しているな〜と。その信念を持つこと自体は別に変わったことでもないのだけれど、ここまで徹底してそれを最優先に動けるのが三雲君の凄い所だと思うんです。狂ってる所でもありますけどね!

作中で、唐沢さんが三雲君を現す言葉として「ヒーロー」という単語を使っていました。Twitterでもいくつか呟きましたが、私なら三雲君のことを「突き抜けた高潔さを持つ人」と表現するかなぁ。なお「高潔さ」とは、

引用元がキリスト教関係っていうね……もしかしたら三雲君は狂人を通り越した聖人なのかもしれない(自分でも何言ってるのかイマイチ分からない)

三雲君の「千佳を守る」という思い自体は、紛うことなく純粋で真っ直ぐなもので。人として、とても立派で善い心なのは間違いない。
でも、どんな時でもその思いを曲げることが出来ないから、自分の行動の“その後”のことを気にすることが出来ていないんですよね。ここが三雲君の危うさに繋がっている気がする。多分大規模侵攻で生身になった時も自分が死んだ時のことなんて全く考えてなかっただろうし、記者会見での行動も、城戸さんがカバーしてくれなかったらどうなってたことか…。

言うてもまだ中学生なので配慮が足りないのは仕方ないと思う一方、何があっても三雲君の“高潔さ”が失われることはないと思うので、この辺りは大人になっても変わらなさそうだなぁ。

何か色々書いちゃいましたが、ここ(note)とTwitterで述べた三雲君評はあくまで10巻時点でのものなので、この先の展開次第では自分で解釈違いを起こす可能性もあります。それはそれで楽しみ!

大規模侵攻編の終幕

続いて、三雲君以外についての大規模侵攻編の感想を書いていきたいと思います。

~レプリカの退場~

まずは何と言っても、レプリカさんの退場が本当に痛い……。お別れなんてしたくなかったよ~……。
いつか必ず復活するって信じてますから、レプリカさん!

それにしても屋上シーンの空閑君は男前でしたね~。
レプリカさんに対してどうしても負い目を抱いてしまっている三雲君に、

「おれがレプリカに言ったんだ 『オサムとチカを守れ』って」
「オサムがあやまることじゃない」
「あいつはその頼みに100%応えた さすがおれの相棒だ」

こんなにカッコよくて強い子が隣で戦ってくれるなんて、本当に良かったね三雲君。

ついでに私は、君がちゃんと泣ける子なんだなって確認出来て一安心しました。泣けない、泣かないって、見ている側としてはマジでしんどいからさ…(別作品の推しが絶対に泣かないマンなのです。しんどい!)

~アフトクラトル陣営~

ヒュースの居残りはアフトクラトル側にとって計画の一つだったんですね。「我々の敵になる」とはどういう意味なんでしょうか?迅さんの意味ありげな発言もあることですし、ヒュースの今後に期待大。

あ、ハイレインがわざわざ「俺のやり方は厭わしいか?」と尋ねていたのにはちょっとだけ好感度アップしちゃいました。”冷徹な人”という印象をハイレインには抱いていたので、この一言は意外だったかも。

~迅悠一~

大規模侵攻が終わって一番安心したのは迅さんなのかな。
しかし、やっぱり迅さんのサイドエフェクトはきっついですね…。三雲君が死ぬ未来も見てるし、民間人が死にまくる未来も見てるし、一人だけ精神的負担がデカすぎるんだよなぁ。

あと、三雲君のお母さんと雨取ちゃんに何度も謝っていたという事実を知って、私の迅悠一への情緒がぐっちゃぐちゃになりました。迅さん〜〜……。

~雨取麟児~

私、2巻の感想で「雨取ちゃんのお兄ちゃん、絶対性格悪い(失礼)。顔がもうそう言ってる」ってめちゃくちゃ失礼なこと言ってたんですけど、やっぱりこの人、性格悪いですよね???もし雨取ちゃんのお兄さんから取引を持ち掛けたのだとしたら確定ですよコレは。兄妹なのに雨取ちゃんとは顔も性格も違いすぎるんだよなー。不穏な気配しか漂ってない…。

そして地味に気になっているのが、5月2日の日付がガラケーに表示されているコマから始まる見開きページについて。
雨取ちゃんの家の前に、警官らしき服装の男が二人、黒スーツっぽい服装の男が三人立っているんですけど、黒スーツの方は果たして何者なんでしょうか?
下のコマでは黒スーツの一人が顔を描かれているので、もしかして今後登場するキャラだったりして?(イケメンだし)。そうなると、ボーダー関係者の可能性が高そうですね〜。

~佐鳥賢~

ちょっと語ります。

4巻で彼のツインスナイプを見た時から、実は私の中で「佐鳥賢とは一体何者なのか?」という疑問が渦巻いていました。

だって本当に意味が分からないんですよね、あのツインスナイプ。

なお、8巻に記載されているツインスナイプの情報がこちら。

(佐鳥のツインスナイプは)練習で習得したものです。佐鳥が真剣に火力とかっこよさの両立を追求した、一つの完成形です。

なるほど、分からん。

ツインスナイプがカッコいいかは一先ず置いといて、まず狙撃手が銃をもう一丁増やしてみようという発想に至ったのが、個人的には面白いな〜と思ってます。
何故かって言うと、私の中の狙撃手のイメージって、洋画などで登場する狙撃手(暗殺者)なんですよね。静かに身を潜め、ここぞという瞬間にたった一発で確実にターゲットを仕留める、みたいな。だから狙撃は基本的に一人(体)に対して行うものという印象が強くて、狙撃手なのに銃を二丁持つことを選択した佐鳥賢にはとても興味をそそられました。

で、佐鳥賢の偉業は勿論、それをアイデアのまま終わらせることなく、現実(※トリオン体)でやってのけたことですよね。
(トリオン体での狙撃が、現実世界での狙撃と比べてどの程度の難易度なのかは不明ですが、多分トリオン体でも技術的に難しいのではないかと勝手に考えています)

ツインスナイプって、右目と左目の情報を脳内で別々に分け処理した状態で狙いを定めて同時に撃たないといけないと思うんですけど……いや絶対難しそうじゃないですか?
例えるなら、右手で数学の大問1の問題を解いて解答し、左手で大問2の問題を解いて解答してるってことですよね?いや無理ゲーすぎる…。

通常のツインスナイプだけでもこれだけの驚異的技術。
しかし10巻で、佐鳥賢は更なる技を見せつけてきました。

狙撃には、狙撃体勢に入る→スコープを覗く→照準を合わせる→撃つ、という行為が必要です(※素人の発言です)
対して佐鳥賢は、空中に放り投げられた状態でスコープを覗かずに腰だめでツインスナイプをするという姿を披露しました。

は?????????

いやいや意味不明、理解不能。腰だめって正確に狙う必要がない(狙わなくてもある程度当たる)近距離の時にやることじゃないの?えっ結構距離あるよね?何で当たるの?しかも空中なのに!!!!!!

………佐鳥賢って、一体何者なんでしょうね(ここでまた最初の疑問に立ち返る)

とりあえず、佐鳥賢のツインスナイプ爆誕までの物語を見るまでは死ねないことが私の中で決定したことだけお伝えしておきます。スピンオフ!!下さい!!

そもそも佐鳥賢はどうして狙撃手になったのかな?カッコいいから?
佐鳥賢のことがもっと知りたい…。

B級ランク戦

遂にやってきました、B級ランク戦!
大規模侵攻編では登場しなかったB級の部隊(特に上位)も多いので、ますますキャラが増えそうな予感。名前すぐに覚えられるかな…。

ランク戦参加前なのに解説者として呼ばれる三雲君。やはり冷や汗をかいている。サラッと佐鳥賢もいて嬉しい〜。

というか、解説・実況がちゃんと用意されてるのはいいですね!たまに見るゲーム大会の配信を思い出しました(ちなみに私が見ているのはApexのCRカップや第五人格のIVCなど。ゲームが苦手なのでプレイはしていませんが、ルールをふわっとしか把握してなくても、実況と解説があれば全然楽しめる人間なので)

三つ巴、四つ巴という形式なのも面白い。こういうバトル物って個人対個人や1隊対1隊というパターンが多いので、珍しくてワクワクします。
ボーダー側がランク戦というシステムを設定している以上、あえて三つ巴や四つ巴にしているんですかね?うーん、物騒な理由しか思い付かない…(遠征時の乱戦への対応や、大規模侵攻の時のように三門市に近界の国々が侵攻してた時の訓練としてなど?)

〜B級ランク戦・初戦〜

そして始まった玉狛第2のデビュー戦。
いきなり空閑君による首ちょんぱからスタート。
相変わらず雨取ちゃんのアイビスの威力には笑っちゃいますね。

出穂ちゃんが猫ちゃんと一緒に「うんうん」と頷いてる姿がとても可愛い。

試合自体はあっという間に終わってしまいましたね。うーむ、現在の玉狛第2の実力は三雲君抜きで既にB級下位以上ということか…流石の二人。

〜諏訪隊・荒船隊〜

諏訪隊は、エネドラ戦振りですね。
今回改めて諏訪隊のプロフィール(6巻記載)を確認してみたのですが、
諏訪さん、ヤンキーっぽい見た目でまさかの推理小説好きなんですか……それはちょっとズルいじゃん……これがギャップ萌えというやつか……。
オペレーターの小佐野ちゃんの「全員知ら~~ん」可愛いなー。

一方の荒船隊はランバネイン戦以来。この時穂刈君と半崎君は早々にベイルアウトしてしまったので、喋っている姿を確認できたのは今巻が初めてになります。
オペレーターの加賀美ちゃんは何だかチャイナ服が似合いそうな感じ。

てかやっぱり荒船さんのお顔が良い~~~~~~!!!!!!

性別関係なく、切れ長つり目の美人系が大好物なんですよねぇ私。
おまけに荒船さんの場合、頭が良くて育ちも良さそうな感じなのに、少し悪ぶった口調で好物が庶民的で弱点が犬と泳げないことなのはもう推せる要素しかないんですよ!!!

荒船さんのお顔を見るだけで私の幸福度指数が上昇するので、叶うことならこのランク戦が終わっても時々登場して頂きたいですね(主要キャラじゃないってことは流石に分かってるので…悲しいけど…)

~B級ランク戦・ROUND2~

えっあっ東さんいる!?!?!?!?!?!?

びっくりした……。
推しになりそうな男の突然の登場は心臓に悪いから事前に告知しといてほしい。

茶野隊の二人が「あっ解説東さんだ」「見とこうぜ」って言ってましたが、こういう所でも東さんの実力の片鱗を見せられてしまって、何かこう、ソワソワしますね…(どういうこと?)

マップ選択、玉狛第2は狙撃手有利らしい市街地Cを選択。
東さんを驚かせている辺り、一つの部隊に有利を偏らせるようなマップ選択は奇策だったようですね。しかし作戦は上手くハマったようで、諏訪隊と玉狛第2の利害を一致させて、荒船隊に待ったを掛ける展開となりました。

まだ戦闘シーンが本格的に始まっていないにも関わらず、この時点でもう面白いってどういうこと?

細かい部分だと、マップ公開時の「ざっけんな クソMAPじゃねーか!」って叫んでるシーンは思わず笑ってしまいましたね。でも飛び出しそうになった笹森君をカバーする諏訪さんはめちゃくちゃカッコよかった。これはモテる。

荒船隊作戦室の荒船さんはどのコマもお顔が良いですね。ありがたや…。

10巻ラストが空閑君の「OK こっからはおれの仕事だな」というコマで終わったので、次回は空閑君の活躍シーンがたくさん見られるのかな?
黒トリガーではなくノーマルトリガーでの戦闘という点が、今までとはまた違う面白さを生みそうで凄く楽しみ。

おわりに

私の感想、読み返してみると、三雲君と佐鳥賢に対してひたすら騒いでただけで終わりましたね……。
これを10巻の感想と言っていいのか?

11巻はB級ランク戦の続き!
接近戦の諏訪隊、長距離戦の荒船隊を相手に、三雲君が空閑君と雨取ちゃんという強力な駒をどう捌くのか、また三雲君自身の戦い方にも注目したい所。

それでは今回はこの辺で。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

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