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ランキングデュエル2024 1stの話

 平素よりお世話になっております、渡部わたべです。
 本記事は、筆者がランキングデュエル2024 1stシーズンに参加し、上位入賞を目指した奔走記です。三か月分の情報を一つの記事としてまとめておりますので、非常に長大です。お時間のある時にお読みください。

 本記事の作成にあたり、多くの方にご協力いただきました。
 この場を借りて御礼申し上げます。

はじめに

 本記事は、2024年4月1日~6月30までの期間に開催されていた、遊戯王OCG期間イベント ランキングデュエル1stシーズンの各情報を取りまとめた記録と報告書のようなものです。

 本記事の主眼は1stシーズンの報告書です。
 序盤を読み飛ばし「大雑把な環境考察」からお読み下さい。今後2ndシーズン以降のランキングデュエルに参加し、上位入賞を目指そうとするプレイヤーの助けになるような記事に仕上げました。ご参考になれば幸いです。

 ランキングデュエルとは何ぞや、と言うかた向けのご説明も記述しております。このまま「イベント概要」からお読み下さい。

 なお、筆者は地方在住であり、都心部の情報には疎い状態にあります。その為読者の皆様におかれましては、それぞれの情報は適宜、ご自身が身を置く環境に合わせて置き換えて頂きますよう、お願い申し上げます。

イベント概要

参加者で順位を競おう!
順位に応じてスターチップを獲得!
スターチップを集めて景品と交換!

 ランキングデュエル2024 1stより、イベントシステムが刷新されました。
 入手ポイントがどうのこうの、スターチップがあれやこれや、特典アイテムがうんぬんかんぬん……まずは大まかに、どう変わったのかをご説明します。

 大会システムや対戦ルールについてご存知の方は、次々項「大雑把な環境考察」まで読み飛ばして頂いて構いません。

ランキングポイント

 ランキングデュエルとは、読んで字のごとく、イベント参加者同士で順位を競い合う長期イベントです。リミットレギュレーションの改訂に合わせて各三か月間、計四期に区切って行われます。実施期間はそれぞれ、4~6月(1st)、7~9月(2nd)、10~12月(3rd)、1~3月(4th)となっており、各シーズンごとに順位を競う事になります。
 当然順位を決める為に、何らかの基準が必要になります。それがランキングポイントです。このポイントの多寡たかによって順位が決まり、集計期間終了後、順位に応じてスターチップが付与されます。

 ランキングポイントには、加算条件があります。

①:コナミカードゲームネットワーク、および遊戯王ニューロンのサービスを利用できる方(ログインにはKONAMI IDが必要)
②:KONAMI IDの個人情報が不備なく登録されている方

 以上二つの条件を全て満たしている場合のみ、登録したIDにランキングポイントが付与されます。
 IDは、KONAMI IDと、コナミカードゲームIDの二つがあります。事前に公式サイトで発行してもらい、大会に参加する前に必要事項を登録しておきましょう。また、後述するアプリ 遊戯王ニューロンとの連携も忘れずに。

 遊戯王ニューロンはiOS/Androidアプリです。スマートフォンやタブレット端末を用意しましょう。ランキングデュエルや公式イベントに参加するなら、インストールは必須となります。ニューロン自体は非常に多機能なサポートアプリなので、是非活用しましょう。

 なお、このランキングポイントは、次のシーズンに持ち越す事はできません。公式サイトコナミカードゲームネットワークでは、獲得したランキングポイントを集計し、年度総合順位を確認できますが、年間ランキングを競うイベントは現在開催されておりません。よって本記事では、あくまでワンシーズンのランキングデュエルについてのみ、取り扱う事とします。

 ランキングポイントの獲得具合は以下の通りになっています。

 獲得量の観点から、基本的にはマッチ戦の大会に参加するのが良い、と考えられています。大会参加で得られるポイントも、新システムでは大幅に増量されました。試合一勝分のポイント獲得は非常に貴重です。

 これにより、単純に参加すればするだけポイント入手に繋がり、継続的に参加するプレイヤーがそれだけ有利になるシステムに変わったと言えるでしょう。逆に言えば、上位入賞を目指すなら大会参加に失敗できない、とも言えます。許される限りの大会参加が望ましいでしょう。
 参加ポイントに加え、実際のデュエルに勝つ事で、さらに大きくポイントを獲得できるようになっています。勝てば勝つだけポイント入手となり、順位もどんどん上がっていく事になるでしょう。

 注意点として、不戦勝では勝敗ポイントが加算されません。実際に相手と対戦する事が、勝敗ポイント獲得の条件です。
 よって大会参加者が奇数の場合、運悪く不戦勝になる可能性があります。上位入賞を目指す場合、敗北しても得られるポイントすら得られない為、若干の不利を受けます。そうならないよう、祈りましょう。

順位とスターチップ

 期間内に獲得したポイントの総量を、ランキングデュエル参加者全員と比較し、順位が決まります。獲得したポイントは翌日の朝七時(筆者調べ)に反映される為、通勤・通学の際に確認してみると良いでしょう。

遊戯王ニューロンで確認しよう

 上位入賞を狙うコツ、と言う程の事ではありませんが、表示される順位は最後の週まで目安だと思った方が良いでしょう。
 重要なのは、如何にランキングポイントを得たかです。目標ボーダーラインとなる1'000位がどの程度で、自分のポイントとどの程度差があるのかを見ましょう。余裕があるのか? それとも足りないのか? 足りないなら大会参加数を増やせばよいのか? 一度の参加でどれくらい勝てばよいのか? 一度計算してみると、今自分がどの位置にあるのかが分かると思います。

 また、シーズン終了時の順位によって、獲得できるスターチップの個数に差があります。内訳は以下の通りです。

 このスターチップは、来年度の四月末まで保持されます。後述する特典アイテムと交換する事ができ、参加者の多くはこの為に日々頑張っている訳です。

スターチップと特典

 ランキングデュエル最大の目玉が、この特典アイテムです。以前はここでしか手に入らないラバー製デュエルフィールドだけでしたが、システム刷新後は特製プロテクター(100枚入り)が追加されるなど、特典アイテムが拡充されました。
 我々プレイヤーは、各シーズンで獲得したスターチップを消費して、これらの特典アイテムを入手する事になります。

コナミスタイルを経由する為、送料がかかる

 上記の画像からも分かるように、ラバー製デュエルフィールドならスターチップが6個必要になります。ワンシーズンで入手可能なスターチップの数は最大6個なので、ラバー製デュエルフィールドを毎シーズン手に入れたいなら、毎シーズン上位1’000位以内に入賞する必要がある訳ですね。

 これら特典アイテムは、在庫があるならいつでも交換可能のようですが、残念ながら一部は配布数に上限が定められています。特に、人気テーマや人気カードがデザインされたラバー製デュエルフィールドは、即日完売も十分にありえます。欲しいと思ったアイテムがあるなら、早々に交換すべきでしょう。

大会に参加する準備

 当然ですが、大会で使用するデッキを用意しましょう。上位入賞を狙うなら強いデッキを使わなければならない、とお思いかもしれませんが、どんなデッキでも全く問題ありません。
 何を隠そう、筆者は純構築【ドラゴンメイド】で1’000位入賞しました。マッチ戦勝率も六割以上、勝ち越した大会が多いです。読者の皆さんも、環境デッキがどうのこうのと考えず、自慢のデッキで対戦を楽しみましょう。

 とは言え、上位入賞を目指すなら、ある程度の勝率が求められるのもまた事実。対戦環境に則した構築が求められます。
 加えて、人には得手不得手があります。マッチ戦の大会に参加したくても、サイドデッキを組むのが苦手な方もいれば、土日・祝日に時間を確保できない方もおられるでしょう。
 また、手持ちのデッキがマッチ戦向きか1デュエル戦向きかでも違いがあります。自分の得意なフィールドで戦うのも立派な戦略です。

 デッキの準備が整ったら、次は大会を探しましょう。大会の開催情報に関しては、コナミカードゲームネットワークか、遊戯王ニューロンにて検索する事ができます。近隣店舗のイベント情報を見てみましょう。
 おすすめは自宅や学校、職場に近い店舗です。ランキングデュエルは参加回数が物を言う側面がある為、アクセスが容易であればあるほど、大会に参加しやすくなるでしょう。

 参加する大会を決めたら、デッキを調整しながら当日を待ちましょう。
 大会によっては、事前に参加を予約する事もできます。予約すれば、参加者が定員以上集まっても、確実に参加できる嬉しい機能です。
 上位入賞を狙うなら、ポイントを獲得できる機会を失うのは好ましくありません。抽選で参加が当落するスリルを感じるのも一興ですが、交通費や時間を無駄にはしたくない方は、是非予約機能を活用しましょう。
 なお、参加予約しておきながら参加しなかった(できなかった)場合、ペナルティとして一か月間予約機能が凍結されます。注意しましょう。

対戦形式と大会形式

 ランキングデュエルは、二つの対戦形式で開催されます。

 ひとつは、1デュエル戦です。
 遊戯王マスターデュエルと同じように、やったもん勝ちの一発勝負です。シングル戦やBO1ビーオーワン(=Best of 1)と呼ぶ方もいますね。どんなデッキにも勝つチャンスがある半面、相性の善し悪しやその時の引きの良さで、一方的なゲームになりやすい傾向にあります。
 最近はYCSJやデュエリストフェスティバルのような、1デュエル戦の大型大会も増えてきています。間口の広さもあって、以前よりも熱が高まっている対戦形式ですね。

 もうひとつは、マッチ戦です。
 最大三回デュエルを行い、先に二回勝ったプレイヤーを勝者とする形式です。BO1にならい、BO3と呼ぶ方もいます。サイドデッキを用意でき、デュエルとデュエルの合間にデッキを調整する事で、より激しいメタゲームが展開されます。
 日本選手権や世界大会はこちらの対戦形式をとっています。より強いプレイヤーを目指すなら、サイドチェンジの練習にもなるマッチ戦が適しているでしょう。

 また、大会形式も二つあります。

 ひとつはトーナメント。敗者を大会から除いていき、勝者同士が戦い抜いて優勝を決める大会形式です。敗北した時点で大会が終わってしまう為、実力も然る事ながら、時の運も求められるシビアな形式です。
 半面、早い段階で敗退してしまった場合、別店舗の大会に参加できる時間的余裕が生まれる場合があります。よりポイントを得ようとする場合、敗北もメリットになる可能性があります。

 もうひとつはスイスドロー。トーナメントとは違い、全ての参加者が一定数の試合を行う大会形式です。勝った者は勝った者同士、負けた者は負けた者同士で対戦を繰り返す為、同程度の力量を持つプレイヤー同士が対戦する事になります。
 トーナメントと違って、参加者全員の順位付けが終わるまで、大会が終わりません。対戦数を確保する際は便利な形式ですが、とにかく時間がかかってしまうのが難点。参加者数によっては最大五戦行う事も考えられ、体力が求められる事も。

対戦ルールの確認

 普段からランキングデュエルや遊戯王の日イベントに参加しているプレイヤーなら、大雑把に対戦ルールをご存知かと思います。ですがここは一つ、復習を兼ねて再度ルールを確認してみるのも良いのではないでしょうか。
 実は最近、対戦ルールに変更が加えられました。勝敗にかかわる重要な変更もあります。折角の勝ち確を逃さない為にも、一度目を通しておきましょう。ここでは制限時間に関する変更を取り上げます。

1デュエル戦の注意点
 2024/04/20から、対戦ルールの変更が行われ、勝敗の決定がかなり厳格化しました。

 1デュエル戦の制限時間が20分から25分に変更され、この時間内に決着がつかなかった場合、両者敗北となります。必ず時間内に勝利条件を満たす必要があります。最も手っ取り早いのはライフポイントを0にする方法でしょう。

 以前は対戦状況や大会形式に応じて、引き分けや両者敗北が発生するルールでした。しかし大会運営(特に大規模大会)の都合か、あるいは【魔鍾洞】のようないたずらに時間を浪費しかねないデッキを牽制する為か、現在のルールに変更されました。
 これにより、制限時間内に決着をつけきれないと考えられるデッキが、デッキ選択の時点で、候補から除外されるようになったと言えます。

 同時に、制限時間内に決めきれないなら、両者敗北と言う形で対戦相手の足を引っ張る事も可能なルール、と言い換える事もできます。紳士的な行為ではありませんが、意図せず両者敗北となるケースもある為、ここでは深く言及する事はしません。
 ですが時間切れによる敗北は、ことランキングデュエルにおいて、ポイントを得られるチャンスを棒に振る事と同義です。上位入賞を目指すなら、可及的速やかに勝利条件を満たせるデッキを選ぶ事が望ましいでしょう。

 無論、制限時間内に決着をつけられる自信があるなら、【神碑】だろうが【結界像ビート】だろうが、使用を止める理由はありません。筆者は推奨しない、とだけ明言しておきましょう。

マッチ戦の注意点
 対戦ルールの変更は、マッチ戦側にも適用されています。

 まず、制限時間が40分である点は、以前と変わりません。しかし、制限時間40分経過後、さらに30分経過した時点で決着がついていない場合、両者敗北となります。
 また、マッチ戦1デュエル目の途中や、マッチ戦2デュエル目の開始前(=インターバル中)に制限時間を迎えた場合、これも両者敗北となります。

 これらも1デュエル戦と同じ、制限時間に関する変更です。ただ、現代遊戯王は非常にハイスピードなゲームが展開される為、余程泥沼な試合内容にならない限り、そう簡単に両者敗北にはならないと考えられます。
 それ以外のタイミングで制限時間を迎えた場合は、従来通りエキストラターンやエキストラデュエルで勝負を決める事になります。

 最近は日本選手権2024やAREA CHAMPIONSHIPにおいて、エキストラターンの実施ターン数が半減していたり、明確に制限時間が設定されている事もあって、ユーザー主催の非公認大会でも、同様のルールが敷かれる例も増えてきました。
 それらの大会にも言える事ですが、様々なルールが制定されている大会が多く開催されている昨今、時にはルールを勘違いして行動してしまう場合も考えられます。筆者もランキングデュエルにて、エキストラターンの実施ターン数を、0→1ターンで終わりだと勘違いしてしまったプレイヤーを確認しております。

 そう言った間違いで折角の勝ち星を逃す事がないよう、大会ルールは熟読し、しっかり頭に叩き込んでおきましょう。分からなくなっても、ジャッジに確認すると言う方法もあります。気負わずに行きましょう。

時間管理の重要性

 対戦ルールが変更された事で、これまで以上に制限時間に対して意識を割かなければならない状況になったと考えられます。特にスイスドロー形式の大会では、トーナメント形式と違って明確に勝者を決めなければならない訳ではない為、引き分けが発生します。
 しかしランキングポイントの条件によれば、引き分けと敗北に差はありません。どちらも同じポイント量です。両者引き分けとするか、努力して勝利をつかむかはプレイヤー次第ですが、上位入賞を目指すなら勝つに越した事はありません。ここで問題になるのが、制限時間です。

 現在の遊戯王OCGは、一度のデュエルが決着するのに、平均3~4ターンかかると言われています(要出典)。効果処理や思考時間、手札誘発の応酬によって、1ターンに5分かかると仮定した時、マッチにかかる時間は最低でも45分(5分×3ターン×3デュエル)必要になる計算です。この計算にサイドチェンジの時間は含まれていない為、実際にはさらに時間がかかると推測できます。

 しかし対戦ルールでは、マッチ戦は制限時間が40分です。1ターンの行動数が増加傾向にある現代遊戯王では、2デュエル目の途中でエキストラターンに突入する事も珍しくありません。
 こうなると、大会形式によっては一勝一敗で引き分けてしまう試合が増え、ランキングポイントの獲得機会を逃す事になります。ひいては上位入賞に支障をきたし、余計な苦労をする事になるでしょう。

 これを回避する為には、様々な努力が必要になります。
 カードの知識や対戦環境の勉強は然る事ながら、試合中は迅速なプレイを心がける等、スムーズに動けるよう練習は欠かせません。推奨はしませんが、極度にプレイが遅い対戦相手に対しては、ジャッジに確認してもらう事も有効でしょう。

 そんなに時間にうるさいなら、サレンダーすればいいじゃないか、とお思いの皆様もおられるのではないでしょうか。
 確かにDUELIST KING CUPのような公式大型大会では、降参がルールとして明文化されています。しかしランキングデュエルでは、降参がルール化されておりません。勝手にサレンダーできないのです。

 サレンダーの是非についてここでは取り上げませんが、もし時間切れによる引き分けを何度も経験するようなら、自分が使うデッキの理解度を上げたり、手早く行動できるよう練習する必要があるでしょう。
 幸いにして、現在はYouTube等で展開例を確認し放題です。遊戯王ニューロンのお試しドロー機能を使って、隙間時間に先攻展開や後手捲りを考えるなど、いろいろ練習してみましょう。

大雑把な環境考察

 遊戯王OCGを楽しむだけなら、わざわざ面倒な環境考察なんて、する必要は全くありません。ですが上位入賞を目指すなら、何の準備もせず猪のようにただ大会に突撃するのは、あまりに浅慮です。
 せめて、今どんなデッキが強いのか、今後どんなデッキが現れるのかを、ほんの少し意識するぐらいの事はしておきましょう。前述のように、プレイ時間の短縮の為にも、勉強は欠かせません。

前情報

 2024/04/01から施行されたリミットレギュレーション改訂により、それまで環境トップと言われたデッキに対してメスが入ったものの、そのダメージは軽微と言えるものでした。
 全体を俯瞰すれば、「スネークアイ」ギミックを擁する【炎王】や【R-ACE】、【粛声】らが以前として広く分布すると考えられ、やいのやいの言われながらも、結局のところミッドレンジに寄った対戦環境になると想定できます。

 月初の段階では、一月に発売されたパック「LEGACY OF DESTRUCTION」にて強化されたテーマ「ユベル」や、新テーマ「天盃龍」の研究が進んだ事で、どの程度環境に食い込むかに注目しました。
 また、四月下旬には新弾「INFINITE FORBIDDEN」が発売され、対戦環境への影響具合を危険視しました。ここ最近、四月発売のパックは、「POWER OF THE ELEMENTS」の流れを汲むのではないかと考えたからです。(実際環境に大きな変化を与えました。)

実際の推移

 四月は想定通り、【炎王】や【R-ACE】、【粛声】が中心のままであり、対戦環境に大きな変化はありませんでした。ユーザー主催の非公認大会等では【ユベル】が結果を残すなど、その強さが徐々に知られるようになりました。この時点では、いずれのデッキも突出したデッキパワーがある訳ではなく、上位層がしのぎを削りながら下位層が隙間を縫うゲーム環境だったと考えています。
 また、月初の段階から【天盃龍】が高い1kill性能を発揮し、存在感を高めていました。安価に組める強力なデッキと言う事で、ユーザー主催の非公認大会だけでなく、ランキングデュエルでも結果を残しており、対策を考えなければならないと感じました。

 五月以降は、四月下旬に発売された新弾「INFINITE FORBIDDEN」に収録された新テーマ「デモンスミス」が、出張ギミックとして非常に有効である事が研究の結果判明し、多くのプレイヤーが「デモンスミス」出張型のデッキ構築に奔走する事になりました。
 五月中旬にはパーツを集めきったプレイヤーが、ランキングデュエルで「デモンスミス」ギミックを試す場面がそこかしこで確認されました。それに呼応するように手札誘発の搭載数が一気に増加した為、初動が細く、無効系誘発に弱いデッキやテーマは、その対応に四苦八苦する事になります。

 六月になると環境の変化が落ち着き、後手1killでパワープレイが可能な【天盃龍】、「デモンスミス」ギミックを搭載した【ユベル】、依然力のある【R-ACE】が中心になりました。
 後者はミッドレンジ系のデッキですが、動き自体は高速寄りです。「デモンスミス」ギミックとも合わせる事ができる為、労せず環境に適応したように感じました。

 逆に、同じミッドレンジでも低速寄りの【粛声】は、《増殖するG》直撃が致命的になる「デモンスミス」ギミックとは相性が悪く、戦略上不採用となる場合が多いように見受けられました。
 対戦環境が「デモンスミス」を擁する展開系に偏った為、用意した妨害を手数で超えられる事が増えてしまい、分布減少に繋がったと考えています。

 全体としては、ミッドレンジ環境から高速環境に変化していったと言えるのではないでしょうか。手数も以前の比にならない程増えた為、《ドロール&ロックバード》のようにターン全体に影響を及ぼすカードの採用も目立つようになりました。デッキ構成も、純構築よりも強力な出張ギミックを複合した混ぜ物デッキが主流となり、展開を止める為に手札誘発の採用数が激増しました。

全体評価

 本格的に走り始めたのが五月に入ってから、と言うポイント的なハンデを自ら負いつつも、以降は可能な限りの大会参加と奮戦により、どうにか完走できたと自負しております。

 筆者の最終的な獲得ポイントは6’700pt、順位は229位でした。
 有志の集計によれば、県内1位だそうです。すごいね。

 ただし、順位が高いからと言って勘違いしてはいけません。
 筆者よりも順位の高いプレイヤーが228名もいる上に、順位が低くても強いプレイヤーは五万といます。上位入賞さえできれば勝率は関係ありませんが、筆者よりも勝率の高いプレイヤーも大勢います。
 結果を誇るのは結構ですが、誰かを傷つけるような言動は厳に慎みましょう。カードゲームはコミュニケーションゲームです。

 シーズン最序盤は、参加者が少なくポイントの増加量も緩やかでした。しかし「デモンスミス」の登場と、トーナメントパックに収録された《魔轟神ルリー》の影響により、定員一杯になるまで参加者が集うようになり、ポイントも大幅に伸びるようになりました。
 筆者が良く通う店舗では、スイスドロー形式の大会を開催してくれていた為、参加者の数に応じて対戦数も確保できます。実戦経験から得られる知見も多く、プレイヤースキルの向上にも一役買ってくれたと考えています。

 ランキングデュエル2024 1stシーズンは、新しいシステムのもと開催された最初の期間だった為、ポイント管理に苦労した方もおられたのではないでしょうか。最終的にどの程度ポイントを獲得していれば入賞安全圏かどうかも、今回は推し量るしかなく、手探りの状態がシーズン終盤まで続いたと考えています。
 実際、六月下旬のポイント上昇率は非常に高く、参加者の多くが少しでもポイントを得ようと奮戦していた事が、データ上から読み取れました。ポイント幅が小さい900位や1’000位付近の参加者は、かなりギリギリだったのではないでしょうか。

 また、最終的な上位100名を見た所、勝率三割~四割のプレイヤーがいるようです。大会参加数でポイントを伸ばせる方なら、勝敗を気にせず上位入賞が可能と言う、指標になるのではないでしょうか。SNS上では、勝率一割強でも1’000位入賞した方も確認できています。そう考えれば、ランキングデュエルの上位入賞なんて、思ったより簡単かもしれませんね。

筆者の通算戦績

1デュエル戦
 参加数:12(×40pt=480pt)
 対戦数:28
  勝数:16(×40pt=640pt)
  敗数:12(×10pt=120pt)
  引分:0
 不戦勝:0
  勝率:57.14%

マッチ戦
 参加数:23(×80pt=1’840pt)
 対戦数:64
  勝数:39(×80pt=3’120pt)
  敗数:25(×20pt=500pt)
  引分:0
 不戦勝:3
  勝率:60.93%

総計(1デュエル戦+マッチ戦)
 参加ポイント:2’320pt(480pt+1’840pt)
 勝利ポイント:3’760pt(640pt+3’120pt)
 敗北ポイント:620pt(120pt+500pt)
     合計:6’700pt
   総合勝率:59.78%

 ここでの勝率は、一試合の結果で計算されています。1デュエル戦ならデュエルの勝敗が、マッチ戦ならマッチの結果がそれぞれ反映されます。
 マッチ戦の場合、最大三戦デュエルを行いますが、それぞれのデュエルの勝敗が勝率に反映される事はありません。マッチの結果を一試合として計算される為でしょう。

 本来ならここで対面戦績も計上すべきところですが、詳細なデータを残していない為、お伝えする事ができません。
 ただ、これは筆者の個人的な考えですが、多少特定のデッキや対戦相手との勝率が悪くても問題ないと考えています。最終的な大会結果を勝ち越しで終える事ができれば、上位入賞に大きな影響はないからです。
 現に筆者の場合、【R-ACE】の対面戦績が非常に悪く、対戦相手の事故死を除けば勝率0%の可能性すらあります。それでもきちんと上位入賞はできました。

 もちろんプレイヤーとしての腕を磨く上でも、苦手な相手を克服する事は大切です。勝ち越すのではなく優勝できれば、ランキングデュエル参加者との順位争いには優位に立てますし、もっと楽に上位入賞を目指せるでしょう。筆者のように変に割り切って負ける事を許容するのではなく、誰が相手でも負けないと思う心とデッキを用意しましょう。

 なお、ランキングデュエルは参加者が見知ったプレイヤーで固まる事から、地域性が如実に表れます。参加者が多い都心部の大会ならいざ知らず、地方の場合、ほとんどが仲の良い仲間内同士の対戦になりがちです。
 その為、SNS等で語られるtier表などは、あまりあてにならないと考えておきましょう。【ドラゴンメイド】で参加している筆者が良い例です。

ポイント目安

 以下の画像は、7/5 12:02時点のランキングデュエル2024 1stシーズンのランキング状況です。スターチップを6個獲得できる1’000位ボーダーラインは、4’730ptでした。

 参加した大会が全てマッチ戦である、全ての大会で三回対戦を行う、勝率を四割と仮定するなら、大会戦績の目安は以下の通りになります。

参加数:22(×80pt=1'760pt)
対戦数:66
 勝数:28(×80pt=2'240pt)
 敗数:38(×20pt=760pt)
  計:4’760pt

 上記はあくまでマッチ戦の大会に限定し、勝率四割で上位入賞を果たす一例に過ぎません。もっと勝ち越せる方なら、大会参加数を減らしても入賞できますし、1デュエル戦の大会に参加できるなら、より少ない労力で入賞できるパターンも考えられます。

 この目安を信じて三か月間ランキングデュエルに挑むなら、ひと月辺り七回ほどマッチ戦の大会に参加する計算になります。土曜日・日曜日がひと月に八回前後訪れる為、その全てに参加できれば、上位入賞はしやすいと計算できるでしょう。
 もし二回目、三回目と、ランキングデュエルで上位入賞を目指すなら、今回の結果を次のシーズンに反映し、より効率良くランキングデュエルに挑めるのではないでしょうか。

 なお、スターチップを付与する都合で、1’000位ぴったりに同じランキングポイントを持つプレイヤーが存在する場合、次の選定基準で順位が決定するようです。

①:勝利数
②:敗戦数(敗戦が少ない方が上位)
③:大会出場数

あまり気にするものでもない

順位維持の目安

 突然ですが、筆者は土曜日・日曜日にしか、大会に参加する時間を確保できません。平日に開催されやすい1デュエル戦大会への参加すらも難しく、ランキングポイントの獲得機会が限られています。

 そこで、次のような例え話が可能です。
 ランキングデュエルのシーズン終了が、金曜日だったとしたら?

 大会に参加した後、一切ポイントを獲得する事なくシーズンを終えなければならない状況になった時、上位入賞できる順位に自分はいるのかどうか。徐々に上がっていくボーダーラインより上に、自分がいるのかどうかを大雑把に知る事ができれば、何かの目安になるのではないか。
 本項では、順位を維持する為のポイント目安についてまとめました。

 では、日々のランキングポイントの推移を見てみましょう。
 以下の画像は5/20~5/26期間の、ポイントの増加具合の経過です。筆者は平日の大会参加ができない為、画像下部にある筆者のランキングポイントは一切増加しません。丁度良い指標になるでしょう。

 ここでは例として、800位のポイント推移を注目しましょう。

5/20(月):2’640pt(前日比/総増加量)
5/21(火):2’670pt(+30pt/+30pt)
5/22(水):2’700pt(+30pt/+60pt)
5/23(木):2’720pt(+20pt/+80pt)
5/24(金):2’770pt(+50pt/+130pt)
5/25(土):2'820pt(+50pt/+180pt)

 週前半のポイント増加は30ptですが、週後半は50ptと跳ねているのが分かります。また、日曜日の大会終了後から、土曜日の大会開始前までに、計180pt増えており、目安となる順位もおおむね120位ほど低下しているのが見て取れます。

 次に5/27~6/1期間の、800位のポイント推移を見てみましょう。

5/27(月):2’970pt(前日比/総増加量)
5/28(火):3'000pt(+30pt/+30pt)
5/29(水):3'020pt(+20pt/+50pt)
5/30(木):3'040pt(+20pt/+70pt)
5/31(金):3'100pt(+60pt/+130pt)
  6/1(土):3'120pt(+20pt/+150pt)

 先週(5/20~5/26)と比べて増加量が少しだけ控えめです。サンプル数がすくないので明言はできませんが、おおむね同じように推移していると言っても良いでしょう。
 考えられる原因としては、同期間に開催された日本選手権の店舗予選が考えられます。ランキングデュエルに参加するより、日本選手権の予選を優先したプレイヤーが多かった為、ポイントの増加量が抑えられたと推察します。

 仮に順位を維持したいと考えるなら、ボーダーラインが徐々に上がっていく分を計算に入れて、ポイントを獲得していく必要があります。上記の例なら、800位キープの為に200pt程度の余裕を持つ必要がある、と分かります。
 これを戦績に言い換えるなら、マッチ戦の大会に参加し、二勝する(80+80+80pt)か、一勝二敗する(80+80+20+20pt)が最低条件になるでしょう。

 特にシーズン最終日付近は、多くのプレイヤーが上位入賞を目指し、普段は参加しない大会にも参加する場合が考えられます。どれだけ余裕をもって走り切れるかも考えなければなりません。実際最後のポイント伸び率は非常に高く、普段の倍以上ボーダーラインが上昇していました。
 幸い1stシーズンは、六月末が土曜日・日曜日だった為、ポイントに余裕をもって集計期間を終えるのではなく、最後の最後でポイントを得るチャンスがある珍しい幕切れでした。その分1’000位ラインのプレイヤー間では、かなり熾烈なゲームが繰り広げられたようです。

休みたい貴方に

 ランキングデュエルは、三か月間に渡って実施される期間イベントです。
 もちろん毎週大会に参加し、ゲームを楽しみつつポイントを獲得していくのが最善ですが、期間中 常に全力疾走では、気力や体力がもたない、と言う方もおられるのではないでしょうか。筆者も土曜日・日曜日限定とはいえ、六月中旬頃は休みたい欲求に駆られていました。

 そこで提案するのが、最終ボーダーラインの予測です。
 大雑把でも最終的な1’000位のランキングポイントが予測できれば、今の自分のポイントと照らし合わせて、小休止を取れる日があるかもしれません。

 以下の画像は、筆者が集計したデータのうち、月曜日の朝に更新されたランキングデータをまとめたものです。

 前述の通り、大会に参加した際に獲得したランキングポイントは、翌日の朝に反映されます。月曜日に確認できる順位は、日曜日までに獲得したポイントが反映され、順位が更新されたものになります。

 ここで各月曜日の、1’000位のランキングポイントに注目しましょう。

5/20:2’320pt(前週比)
5/27:2’640pt(+320pt)
  6/3:2'980pt(+340pt)
6/10:3’340pt(+360pt)

 このデータからも分かるように、五月下旬から六月上旬の間、上位入賞の最低ラインは、一週間経つごとに平均340ptほど上昇しているのが見て取れます。これはつまり、最終的な1’000位のランキングポイントを予測できる、と言い換える事ができます。

 データを取得している現在(6/10)の時点で3’340pt、今後日曜日を経由する回数が三回(16・23・30日)なので、以下の予測が成り立ちます。

6/10:3’340pt
6/17:3’700pt?(+360pt?)
6/24:4’060pt?(+360pt?)
  7/1:4’420pt?(+360pt?)

 この予測と見比べて余裕があると判断できれば、一回や二回の大会参加を見送っても、上位入賞には響かないでしょう。逆に足りないなら、残念ながら休むのは難しくなります。

 実際の結果は、前述の通り4’730ptだったので、あまり予測としては機能しなかったと言えます。この記事の公開が期間終了後で助かりました。てめぇの予想当たってねぇじゃねーか! と言われずに済みます。マジで危なかった。

6/10:3’340pt(前週比/予測との差)
6/17:3’770pt(+430pt/+70pt)
6/24:4’120pt(+350pt/+60pt)
  7/1:4’730pt(+610pt/+310pt)

最後 跳ね過ぎ

 予想と比べ差が開いた理由としては、単純に最後の追い込みをかけた参加者が多かった事、考えられる不参加事由が原因にならなかった事が挙げられます。
 六月に開催された日本選手権の店舗予選も、ランキングデュエルへの不参加理由になり得ます。ですが話を聞く限り、予選大会参加者が少なかったらしく、ランキングデュエルを優先するプレイヤーが多かったようです。既に権利を得たプレイヤーが参加できない大会だった事で、ランキングデュエルの参加に流れたのではないでしょうか。

 六月最後の週にはYu-Gi-Oh!.jpにて、来期のリミットレギュレーションが発表されましたが、これもデッキ調整を優先する為の不参加理由になると考えました。
 しかし発表された改訂情報は、直後に開催される日本選手権への影響や、商業的理由を多分に感じる内容であり、対戦環境に一石を投じるものではありませんでした。よって大幅なデッキ調整は不要となり、プレイヤーの足が遠のく事はなかったと考えられます。

 これでは増加量が依然と変わらないどころか、データを取っていた時よりも増えるのも自明でしょう。上記の計算も、一週ごとに+360ptと定義しましたが、実データでは+320ptの週や、+430ptの週もあり、予測確度も高いとは言えませんでした。最後に至っては驚異の+610ptです。凄まじい。
 こう言った予測が全くの無駄とは言いませんが、予定や予測は狂うもの。計画的にポイントを獲得して、余裕を持ってランキングデュエルを走り切れるようにしましょう。

おわりに

 以上までが、本記事で読者の皆様と共有したい、ランキングデュエルの情報となります。参考にならなかった部分があるやもしれませんが、概ね伝えたい事は書き切ったと考えています。
 もし、よく分からなかったと言う方や、もう少し突っ込んだ情報が欲しい方は、コメントを残して頂ければ、(筆者が分かる範囲にはなりますが)後日追記する形をとりたいと思います。

 かつては、コナミ公式も大会運営に積極的でなかった時代がありました。
 当時は熱量のあるユーザーが毎週のように非公認大会を催し、多くの参加者が腕試しや実力を示す為に集いました。公式大会でも結果を残し、日本代表となって世界大会で活躍するプレイヤーも多く輩出されました。勝ちたいと言う方が大勢いた時代の話です。

 時代が変わっても、遊戯王OCGは多くのユーザーから愛されるカードゲームです。今ではコレクターとして遊戯王OCGを楽しむ方も増え、昔では考えられなかったほど女性プレイヤーも増えました。パソコンやスマホの普及に合わせて遊戯王マスターデュエルがリリースされるなど、楽しみ方も多様化したと思います。

 そんな楽しみ方の一つに、ランキングデュエルへの参加や、上位入賞を目指して頑張ってみる、と言う選択肢を挙げて頂けるなら、筆者としても本記事執筆の苦労が報われる想いです。

 長い時間お読みいただき、誠にありがとうございました。

 

 

 

(ここ追記スペース)

 

 

 

 

 

 

 

使用デッキ

 ランキングデュエルの記事は、上記が全てです。
 ここから先は蛇足となりますが、1stシーズンで筆者が何をどう頑張ったのか、感想文として残しておきます。時間の推移と共に変わる状況、何を考え、どう動いたか。参考になるかどうかは分かりませんが、何らかの一助になればと思います。
 念の為もう一度確認しておきますが、あくまで感想文です。自分語りみたいなものなので、過度な期待はなさらないよう、お願い申し上げます。

 まずは使用デッキについてです。
 筆者は一つのデッキを長く長く運用するタイプの人間です。環境の変化に応じてデッキを改良する楽しみ、長く使う事で練度を高め上達を実感しやすい事、新カード発売による経済的負担の軽減など、諸々を考慮した上での筆者のプレイスタイルだと思ってください。

 しかし、気持ちよく大会で戦いたいなら、使用デッキを固定する姿勢は取らない方が賢明でしょう。それがいわゆる環境デッキなら問題は少ないでしょうが、【ドラゴンメイド】のような勝つのがとても難しいデッキに固定するのは、ほとんど自殺行為です。非環境デッキで戦うなら、そのデッキと共に心中する勢いで逝きましょう。
 ここ最近は、デッキ選択と言う言葉も聞かれるほど、勝ちやすいデッキの数が限られます。特にこだわりがないなら、素直に環境デッキを使いましょう。SNS等で評判の良いデッキを組めば、情報収集も捗るでしょう。

1stシーズン開始時

 少しうろ覚えですが、確かこんな構築だったはず。

 長年の問題だったメイド達の初手欠勤が、《燦幻開門》のおかげで劇的に改善しました。バトルフェイズ開始時(スタートステップ)に発動すれば、事実上の《緊急テレポート》となり、《ドラゴンメイド・ティルル》の効果も併せて攻撃にも防御にも使えるとても優秀なカードです。
 1stシーズン開始時は【R-ACE】【粛声】【ユベル】【天盃龍】辺りと対面する事が多かったと記憶しています。【R-ACE】以外のデッキに対して《幽鬼うさぎ》《超融合》の刺さりが良く、大会全勝の立役者となってくれました。

 サイドデッキは、特定の相手に対して特効性能を持つカードを中心に構築したものです。この中の反省点は《魔封じの芳香》でしょう。先攻に特化した性能でありながら、初手になかった場合の残念具合が大きく、相手が動いた後にドローしても効果が薄い点も、使い勝手の悪さを感じる要素です。
 「ドラゴンメイド」も魔法を抵抗なく使いたいテーマです。安易に《魔封じの芳香》を発動してしまうと、試合が非常にグダグダになってしまい、効果的に運用できたとは言えない結果になってしました。もっとモンスター効果に比重を置けるなら良かったのですが、当時は難しかったと考えています。

「デモンスミス」流行後

 「デモンスミス」出張が顕著になった頃から構築が安定せず、毎試合不安を抱えながらゲームに挑んでいました。上記の構築は一例です。
 特に《D.D.クロウ》《屋敷わらし》《ドロール&ロックバード》の、メイン採用・サイド採用に関しては、1stシーズン終了まで明確な解答は出せずに終わってしまいました。

 出張流行前なら強力に機能した《カイザーコロシアム》や《超融合》は、「デモンスミス」相手では通用しづらい不安定なカードになりました。事実上の死に札になりやすくなった為、サイドデッキに下げた形です。
 かと言って、未だ対戦環境には【炎王】や【天盃龍】、強化された【ユベル】らが分布している為、全く通用しないカードとも言いにくいのが難しいところ。サイドデッキも含め、1stシーズン終了まで構築内容がふらふらしていたと記憶しています。

 新たに採用した《闇と消滅の竜》は、《幽鬼うさぎ》の直撃さえなければ、以前よりも遥かに《ドラゴンメイド・シュトラール》を成立させやすくなりました。「デモンスミス」の影響で、《幽鬼うさぎ》のメイン採用率が下がったのも追い風ですね。【ドラゴンメイド】が苦手とする、先攻盤面の脆さを程よく補強してくれたと感じました。

各月の所感

四月

 ランキングデュエルの新しい制度が施行されて、最初の一か月間です。
 月初時点では、まだ配布されるラバー製デュエルフィールドや、特性プロテクターの情報は解禁されておらず、ランキングデュエルに対して熱量の大きいプレイヤーが、積極的にランキングポイントを獲得していった時期だと見ています。
 中には、獲得できるスターチップを次シーズン以降に持ち越せる為、今のうちに貯めておこう(=欲しい賞品が追加された時に交換したい)と判断したプレイヤーも少なくないでしょう。筆者もその一人です。

 また、新システムにより参加ポイントが大幅に増えた事で、ランキングポイントの増加具合が以前の比ではなく、開始一週間で早くも1’000ptを上回るプレイヤーも散見されました。
 この急激なポイント獲得具合は、都心部と地方で大きな差があると考えました。特に都心部は大会開催店舗が徒歩圏内に複数あるパターンも多く、スイスドロー形式の大会よりもトーナメント形式の大会が比較的多いのではないでしょうか。万が一敗北しても、近隣店舗の大会に参加する事が可能となります。
 これにより、都心部はランキングポイントを大きく獲得できる環境に恵まれており、四月末日には10’000pt前後のプレイヤーも多数おりました。

 最近はリミテッドデュエルやデュエリスト交流会など、ランキングポイントの獲得には繋がらないイベントも増えました。その為地方では、大会自体を管理する人員不足の問題や、席数の割り振り等から、大会開催数自体が減ってしまう店舗もあるようです。また、単純に大会参加者が集まってくれない場合もあるとのこと。
 筆者がよく通う店舗では、スイスドロー形式の大会が基本である為、参加者さえ集まってくれれば一定の対戦数は担保されます。しかし参加者数が少ないとそもそも対戦数が減ってしまい、ポイント獲得の機会喪失に繋がってしまいます。
 月初の時点ではまだ2’000位以内(=スターチップ3つ)を目標にしており、大会参加意欲はあまり高くはありませんでした。

 四月中旬には対戦ルールも改訂され、1デュエル戦の制限時間が25分になったり、マッチ戦は両者敗北の適用範囲が広がるなど、主に大会運営、タイムスケジュールに関する部分が厳格化しました。
 これにより、両者敗北や引き分けを嫌うなら、制限時間内に決着を付けるようプレイしなければならず、いたずらに時間を浪費しかねない【神碑】やダメージ効率が悪い【メタビート】は、デッキ選択の段階で嫌厭けんえんされるようになると考えられました。
 すなわち、この時点で対策を考えなくても良いデッキが増えた、と言い換える事もできます。上記のデッキレシピでも、【神碑】対策になる《コズミック・サイクロン》は不採用です。

 四月下旬には、配布されるラバー製デュエルフィールドや、プロテクターのデザインが情報解禁されました。これによりランキングデュエルへの参加意欲に変化があったプレイヤーも少なくないと思われます。
 筆者はここで、今期はランキングデュエルに可能な限り参加する意思を持ちました。

 理由としては三つほど。
 ひとつ、月末の段階で1'110pt、約1’300位だったからです。このまま五月、六月のランキングデュエルに参加しつつ、結果を勝ち越しで推移すれば、1’000位以内で完走できると判断しました。大した自信だ。
 ふたつ、五月に開催される日本選手権の第二次店舗予選、大型連休によって他プレイヤーの大会参加率が下がるものと考え、相対的に順位が下がりにくくなると予想しました。(事実、その時期順位の低下は緩やかなものでした。)
 みっつ、交換賞品のラバー製デュエルフィールドやプロテクターが、単純な金銭になりにくいデザインだと思ったから。金にならないなら参加を控える、と判断するプレイヤーも、少なからずいるのも事実です。参加者の中にも、スターチップは欲しいけど特典アイテムと交換する予定はない、と言っているプレイヤーもちらほら。

 以上の理由から、このタイミングは頑張り時かと思いました。筆者自身、1stシーズン以外はランキングデュエルへの参加が難しくなる身の上の為、ここでスターチップを稼いでおきたいと言う考えも。
 もっとも、三つ目の理由に関しては、「デモンスミス」と《魔轟神ルリー》によって、無惨にも破壊されてしまうのですが。

五月

 月初から積極的に大会に参加し、ポイント獲得に注力しました。
 先月末に発売されたパック「INFINITE FORBIDDEN」に収録された新テーマ「デモンスミス」が、高い出張性能と展開力を発揮した事から研究が進み、対戦環境に大きな変化が生まれました。

 上旬はまだ新カードの研究が進み切っておらず、四月と変わらない対戦環境のまま推移しました。
 SNS上では「デモンスミス」のヤバさが伝わってきており、デッキの構成を見直す必要性を感じながらも、ランキングデュエルの領域でそれらが暴れるにはまだ時間がかかると考えました。誰だって最低限の動きすらおぼつかない状態で、大会に参加したくありませんからね。
 事実、五月上旬の段階では、筆者が足繫く通う店舗において、「デモンスミス」を採用したデッキと対面したのは一度きり。その際は運よく《群雄割拠》が刺さり、そのヤバさを実感する事なく勝ってしまったのが悔やまれます。

 中旬にもなるといよいよSNS上も騒がしくなり、どうせ使わない《A・O・J サイクル・リーダー》が対策カードとして需要が増える等、大会参加者の意識が「デモンスミス」に偏ってきました。また、筆者がよく通う店舗でのランキングデュエルでも、参加者の半数近くが「デモンスミス」を採用したデッキを使っていた回があるなど、爆発的流行を肌で感じる事も。
 それに伴い、どの対面にも一定の効果を発揮する《D.D.クロウ》のメイン採用率が上がるなど、対戦環境全体で構築の変化が見られました。以前に増して手札誘発が増え、デッキ構築を大幅に見直さなければならないと感じたのもこの頃です。

 前述の通り、筆者の【ドラゴンメイド】は環境に呼応する事で勝つタイプのデッキです。【炎王】や【粛声】のように、永続魔法・フィールド魔法がキーカードになるなら、それらを破壊できる《幽鬼うさぎ》が。「デモンスミス」ギミックとの対面率が上がるなら、墓地利用を封じる《D.D.クロウ》や《屋敷わらし》を採用し、動きを止めにかかります。
 全体的な思考が、ジャイアントキリングに傾倒しているようです。実際、1stシーズン開始時~新弾発売直後までの間なら、これらの対策が上手く刺さっていたと断言できます。ランキングデュエルを全勝優勝で終えられるぐらいには、勝ちの目があるデッキに仕上げられた自負があります。

 逆にそれができない場合や、メタを読み外した場合は、構築の段階で敗北が決定的となります。一度差が広がりきってしまうと、以前なら勝てた相手にもボロ負けしかねない程、非常に構築・運用がシビアです。
 それ故に、環境の変わり目は特に対策対象のデッキがブレてしまい、安定した勝率を保てないと予想していました。

 五月下旬は、激変する環境に合わせようと、あれやこれやと対策を考える時間が増えました。構築を安定させようとして失敗する状態に陥り、常に不安が付きまとう状態に。
 手持ちのカードで対戦環境への対策を厚く構える事で、どうにか大会では安定して勝ち越せてはいましたが、採用した対策カードは素引き前提のカードであり、不安は拭えません。早急に構築を最適化しなければ、今後の対戦では勝てなくなると考えました。

 しかし筆者の不安とは裏腹に、ポイントの加算具合は、勝ち越した影響で上昇気味になり、目安となる順位も安全圏に。この調子で推移すれば、1’000位入賞も確実視できるラインに乗ります。対戦への不安と上位入賞への期待感で、メンタルは面白いくらい混沌とした時期でした。

六月

 6/1より、ランキングデュエルの参加賞を受け取るタイミングに関して、変更がありました。《魔轟神ルリー》が原因で、健全な大会運営に支障をきたすと判断された為ですね。
 筆者の周りには、純粋に遊戯王OCGやランキングデュエルを楽しんでいるプレイヤーしかいない為、SNS上で聞いた噂程度しか知りませんでしたが、公式の目にまるほど暴れていた人がいたようです。

 さて、六月上旬の戦績は非常に好調で、五月末から続く不安を否定するかの如く、大会結果は明るいものでした。
 この頃の大会結果はおおむね勝ち越し傾向。6/2、6/8のマッチ戦の大会では優勝するなど、巡り合わせに助けられたとは言え、大きくポイントを得る事ができました。敗戦しても、きちんと反省点が分かる等、プレイヤーとしての実力向上にも繋がる良ゲームが多かった印象です。

 中旬になると、想定通り負け越す大会が増え、精神的苦痛が一気に増しました。敗因は構築を安定させようとして失敗している為でしょう。
 彼方立てれば此方が立たぬとはまさにこの事で、「デモンスミス」に対して対策を厚く構えると、それ以外のデッキへの耐性を失ってしまいます。これを正そうと再調整を行う程方針がブレてしまい、どの相手に対しても弱くなってしまったと考えられます。
 このタイミングは誘発環境であり、誰と対面しても《エフェクト・ヴェーラー》《無限泡影》が飛んでくる苦しい状態です。結果「ドラゴンメイド」下級モンスターが仕事をこなせず、ゲームを組み立てられずに負けるパターンが頻発しました。

 下旬には、順位が300位以内に乗っていた事もあり、上位入賞は確実視できる状態になっていました。こうなると人間欲が出ると言うもの。後の事を考えずに全力で走り抜け、可能な限り順位を上げたいと思うのも無理からぬ事でしょう。また、有志による集計では、県内ランキング2位の位置にあるようで、せっかくなら県内1位を目指すのも一興かなと考えるなど、だいぶ精神的余裕が生まれました。
 その半面、リミットレギュレーションの改訂情報がノイズとなり、デッキ調整は非常に難航していました。参加できる大会の数は少ないとは言え、敗北できない理由があった為です。自信をもって本記事を公開する為に、勝率を上げておきたい、とか。失敗しましたけど。

ランカー昔話

 以前のランキングデュエルでは、特典アイテムがラバー製デュエルフィールドのみでしたが、入手できるデザインは、全国ランキング上位者800名と、エリアランキング上位者の二つに分かれていました。

全国ランキング入賞の例

 人気の高いデザインの場合、この800位以内に入賞する為に、多くのプレイヤーが必死になって戦った過去があります。
 筆者にとって思い出深い《六花聖ティアドロップ》のラバー製デュエルフィールドは、初の特殊加工が入った特別製でした。当時必死になって大会に参加した覚えがあります。

 当時はまだ【ドラゴンメイド】が対戦環境の第一線で活躍していた時期だった事もあり、勝率77.05%と言う、今では考えられない数値を叩き出していますね。参加ポイントが低い旧システムで4’220ptも獲得していた辺り、かなりの本気具合を感じます。
 旧システムでも、トッププレイヤーのポイントは一万を超えているのがお分かりかと思います。現行システムではひと月で10’000ptを超えたプレイヤーがいた事を考えれば、旧システムとの違いを感じる事ができるでしょう。

 エリアランキングは、北海道+東北(100名)だったり、九州+沖縄(100名)と言う形でエリアと上位賞の人数を区切り、その地区内の順位を競い合ったものです。全国ランキング上位800名を除いた、各地区の順位が高いプレイヤーに、全国ランキングとは違うデザインのラバー製デュエルフィールドが贈られました。

エリアランキング入賞の例

 時には全国ランキングの入賞賞品よりも、エリアランキングの入賞賞品の方が人気になる場合があり、ランキングポイントの調整に苦労するパターンもあったようです。

 現在はスターチップ6個とラバー製デュエルフィールドを交換できます。全国ランキング1’000位入賞でスターチップを6個入手できますので、以前の800位入賞と比べれば200名分 枠が広がりました。これで多少は楽になったと見る事はできます。
 半面、エリアランキング枠がなくなった為、ラバー製デュエルフィールドの配布数はワンシーズン2’000枚から1’000枚に半減した、と考える事もできます。この辺りは個々人の考えによって違うのではないでしょうか。

完走した感想

 何はともあれ、三か月間しっかり走り切れた事を評価したいところ。
 前述の通り、前回ランキングデュエルに力を入れた際は、シーズン開始前にラバー製デュエルフィールドの情報が解禁されていた為、序盤から全力疾走でした。今回の挑戦では、四月そこそこ、五月以降は全力で取り組む事に形となりました。若干の不安こそありましたが、無事目標達成と言う事で安堵しております。

 当時との明確な違いは、1デュエル戦の大会の有無でしょう。2020年当時は、そもそも1デュエル戦の大会が開催してくれる店舗には通っておらず、全てマッチ戦の大会でポイントを獲得していました。
 今では1デュエル戦もだいぶメジャー化し、1デュエル戦の大会とマッチ戦の大会を同日に開催してくれる店舗も増えました。参加者としては非常に助かりました。

 その結果が6’700pt獲得、229位達成であり、大変喜ばしく思っております。対戦してくれた方に、改めて感謝を。

 しかし良い事ばかりでもなく、反省点もあります。ゲーム的な反省も多々ありますが、データの収集に関しては遅きに失したと考えています。
 本記事作成にあたり、説得力を得る為にデータを取る必要に駆られましたが、本格的なデータ取得開始が5/20以降でした。四月一日から取り続けるのが最善ですが、せめて本腰を入れ始めた五月一日からランキングデータを取っていれば、もっと詳細な記事に仕上がったのかもしれません。

 また、通算戦績の項でも計算しましたが、総合勝率六割を超えられなかったのが悔やまれます。今回は1デュエル戦の戦績が芳しくなく、マッチ戦勝率もギリギリ六割を超えた程度だった為、不足分を補いきれませんでした。
 リミットレギュレーションの改訂により、安易にゲームを低速化できる《カイザーコロシアム》が規制された事は、かなりの向かい風です。そのくせ対戦環境は展開系に寄っている為、今後はさらに戦いにくい状況になると予想されます。

 まあでも筆者は、来期は走る予定がないので、あまり関係ないんですけどね。本当に疲れましたし、【ドラゴンメイド】にそぐわない対戦環境ですし、無理する必要性があまりないです。皆頑張ってね。

 以上です。
 皆様の楽しいランキングデュエルライフを祈りつつ、本記事を締めたいと思います。非常に長大な内容にもかかわらず、ここまでお読みくださり誠にありがとうございました。

終わり良ければ総て良し! 今後もよろしく!


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