キングオブコントとフェミニズム

 「キングオブコントを見始めたら、赤い服を着た女性たちと、審査員の男たち。この時代に?」というクソカスフェミニストのツイートがあった。確かに、同じ服を着た女性がズラッと並んでいる光景は異様かもしれないが、女性は女性と言っているのに、男性は男と言っている亡びるべき女尊男卑思想。血反吐吐くほど努力しないとレベルの高いコントを生で見れない男性と、何の努力もせずにコントを見られる女性。差別されているのは男性の方だ。
 と、このような理屈を一旦置き、キングオブコントの観客がみんな女性なのも、審査員が全員男性なのもちゃんとした理由があると考えるのでここでしっかりと論じておきたい。
 キングオブコントの決勝で披露されるコントは殆どが男性ならではの発想で、男性でしか描けない視点のコントなのだ。トップバッターのカゲヤマなんてどう考えても男性にしかできないコントだし、ジグザグジギーや隣人、サルゴリラの魚ネタも男性にしかできない発想かつ男性しか演じられないコントだったように思える。
 今回、唯一の女性であった蛙亭のイワクラは、かなりアウェーな状況だっただろう。こんな中で、相方の中野を活かしてどれだけのインパクトを残して優勝するかは相当な難題である。
 そもそもキングオブコントの決勝に進出した女性コンビはいない。男女コンビでもにゃんこスター、パーパー、蛙亭、最高の人間の4組だけである。コントで天下を獲った女芸人がいないのだから、審査員が全員男性になるのも必然のことである。
 THE Wでは、全ての優勝者がコントによって、栄冠を勝ち取っているが、やはりキングオブコントとTHE Wではレベルが全く違う。「予選でオダウエダがめちゃくちゃウケてた」「天才ピアニストが来そう」という声は聞くものの、まだ女性コンビにとって決勝の壁は分厚い。
 もっと時代を遡れば、今いくよくるよ、ハイヒール、海原やすよともこ等、漫才で高い地位を確立した女芸人はいるが、やはりコントで天下を確立した女芸人はいない。M-1グランプリの審査員を務めた山田邦子がいるが、彼女はあくまでも漫談を主な芸としており、コントとなるとやはり男芸人の力を必要とする。
 以上のような「キングオブコントは主に男性ならではの発想のネタを男性の発想により採点するシステム」であることと、「コントで天下を獲った女芸人がいない」ということが、審査員が全員男性である理由である。そんな中で女性がやっていくのは大変だから、THE Wが存在する。それでもキングオブコントを蛙亭やAマッソ、ヨネダ2000、天才ピアニストが獲れば、快挙だ。
 続いて、観客が全員女性であるべき理由。賞レースというのは、「どれだけ会場の客を巻き込めたか」が重要なポイントであり、また観客が笑うことでテレビで観ている視聴者に面白さを届けるというのが大切である。時に「観客がゲラすぎるな」と不快になる気持ちがあれど、やはり観客が笑っていないと、こちらも面白くない。
 キングオブコント決勝一発目に披露されたカゲヤマのコントを例にする。私はこのネタをリアタイできなかったので、放送終了の22時と同時にYouTubeにアップされたコントを見た。劇場の観客はややウケみたいな感じで私自身も大笑いすることはなかった。
 しかし、TVerでカゲヤマのコントを見てみると、トップバッターでお尻を出すという強烈なインパクトのあるネタは大きな爆発を生み出し、会場内で大きな渦ができていた。女性の笑い声は男性の笑い声よりも高いので、よく通り、届きやすい。会場の渦が画面越しの私にも伝わってきたのだ。これが、フジテレビのコント番組でよくある男性スタッフの「はっはっは」のような笑い声だとよくない。観客が女性であるべき理由がお分かりいただけただろうか。
 好きなお笑いのことで文章を書くと、軽々と1000文字を越える。これが大学のレポートだったら難題だ。

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