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人生の大切な1年

我が家には小学校1年生の男女の双子がいます。

コロナの影響で3月はほぼ1ヶ月休校でしたが、修了式を終え、無事に1年生が終わったそうです。学童からの帰り道、娘がこんなことを言いました。

「もう今日で1年生は終わりましたから。2年生になるからね。この黄色いカバー取らなきゃね。」

あぁそうか、1年生の目印のような交通安全協会の黄色いランドセルカバーともお別れです。「そっか、もう外しちゃうんだね。」というと「透明の新しいの買わなきゃね〜。」と4月からの新生活にルンルンしていました。

1年生になった時は、ランドセルが歩いているような感じがしていたのに、背も伸びて、フラフラせずに歩けるようになった姿を見ると、この1年ですっかりランドセル姿が様になりました。

二人並んだ後ろ姿を見ていると、乳幼児期のような毎日の小さなできたが積み上がるような成長は感じられなくとも、この1年で双子たちがしっかり成長してきたことを感じました。

そして、もう次にランドセルを背負う時、あの黄色いランドセル姿の二人はいないのかと思うと、急にその光景が愛おしくなりました。

そんなことを考えながら帰宅すると、二人がランドセルからゴソゴソとあゆみ(通知表)を出してきました。小学校は2学期制なので、親として通知表を見るのは2回目です。

3月は学校に行けなかったので残念だったけど、この1年、新しい環境でよく頑張ったなと思っていると、息子が1枚の紙を差し出しました。

「これが一番大切なものです。」

そう言って手渡された紙は、息子のクラスの担任の先生からのお手紙でした。

一人ひとりの保護者に向けて書いてくださったと思われるお手紙には、この1年の感謝の気持ちが綴られていました。

息子に「声にだして読んでみて。」と言われたので、声に出して読んでいるうちに、1年前、小学校という新しい世界に飛び込んでいった双子たちの姿が脳内に浮かび上がりました。

入学式、文字通りピカピカのランドセルを背負ってちょっと恥ずかしそうにしていたこと。背の高い6年生に手を引かれて入学式に参列したこと。息子は自分のカメラでランドセルを嬉しそうに撮影していたこと。

授業参観、娘は真面目に問題に取り組み、恥ずかしそうに手を挙げていたこと、息子はちょっとふざけて手を挙げて大きな声で発表していたこと。
同時間帯に2つのクラスの授業参観に参加するため、あっちにいったりこっちにいったりと夫婦でバタバタしたこと。

運動会、必死に徒競走している姿、上級生と一緒に応援する姿。
保育園のころは全くダンスを踊らなかった娘が、踊らない方が目立つと気づいて踊るようようになったかと思ったら、息子は逆に、踊る派から踊らない派に転じて、恥ずかしいからと不貞腐れていたこと。

発表会、言いたかったセリフをじゃんけんで勝って言えることになったと喜んでいたこと。自分たちのセリフを何度も家で練習していたこと。

他にも、毎日重たい図鑑を借りてきたことや、お友達と遊んだ話、学校での楽しかったことや悲しかったこと、宿題が多いと文句を言いながら机に向かったこと、音読が上手に読めなくて何度も練習したこと、学校で先生やお友達から教えてもらったことを嬉々として話してくれたことなど、色とりどりの記憶が蘇ってきました。

4月からの出来事を、ダイジェスト版で脳内再生しながら読み進めたお手紙の最後に「人生の大切な1年を…」という言葉があったのです。

この文章を見た時、気づくと私は涙が止まらなくなっていました。

実は前にnoteに書いたこともあるのですが、息子はクラスでお友達とうまく行かないことがあり、「学校がたのしくない」と言っていた時期があったのです。

そのことで、先生には心配をかけ、お世話になったのですが、なかなか解決しない問題もあって、大丈夫だろうか…と心配していたのです。そんな経緯もあったので、なおさら、先生からのお手紙はこころに響くものがありました。

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泣きながらお手紙を読んでいると、双子から「なんで泣くの?」と聞かれました。

たしかに、なんで私は涙を流しているんだろう。どこが自分の琴線に触れているんだろう。そんなことを考えている内に、「人生の大切な1年」という言葉だろうな、とたどり着きました。

双子が学校に通った日々を、双子が歩んできた人生の中の270日あまりの期間を、大切な1年と表現してくださったことがとてもありがたかったのです。

先生にとっても大切な1年で、双子たちにとっても大切な1年で、クラスのお友達にとっても大切な1年。

当たり前のことですが、1年といわずとも、みんなで大切な時間を過ごしてきたんだな。

そう思うと、4月から双子たちは2年生になって、新しいクラス、新しいお友達、新しい先生と出会うでしょう。きっと楽しいことも悲しいことも色々あるだろうけれど、また大切な日々を過ごしていってほしい。

そして私自身も大切な毎日を過ごしていこうと思ったのでした。

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