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4話 : 内之浦と種子島に弾丸でロケットを見に行った大学生のお話

前回のお話はこちらから

前泊+打ち上げまでの観光内容についての詳細は番外編で書こうと思っています。

ここからは、8月8日の夕方5時以降のお話です。


前哨戦


朝早くに鹿児島に着いた僕は、鹿児島市で一日観光し夕方にMくんを迎えに空港に向かった。

約束の17時

Mくん合流。リュックサック一つで来る身軽っぷり

今回の観測ロケットの打ち上げは23時
まだまだ時間もあるため温泉とご飯を食べることにした。


(晩御飯のヒレカツ。まじで最高でした)

温泉とカツで体力を温存した我々はついに内之浦宇宙観測所に向かうことに(旅の観光は番外編にて)


真っ暗闇の道路。


鹿児島空港から内之浦へは100kmほど

大体2時間くらいかかる

途中の道は基本的に1車線が多く、だだっ広い高原の中を突き進んでいく


山道というよりかは、本当に高原という感じ
ただ街灯は殆どなく普通に怖い。なんかでっかいたぬきとか出てきそう


運転を交代しながらひたすらアクセルペダルを踏み続けると、ついにJAXAの看板が見えてきた

(写真は昼間のもの)


このあたりからポツポツと他の車が見え始める。
まぁこの時間帯に内之浦にいるということは間違いなくロケットだろう

「まぁ今回のロケットは規模も小さいし20人くらいしかいないだろうな!!」

と二人で話ながら見学場に向かう

軽自動車が坂道で唸っている。頑張れあと少し


到着!ひとぉぉぉぉぉぉ


ついに見学場に到着!

とおもったらまさかの信じられない車の行列


え。。。?

来る場所間違えました??ってレベル
サッカーグランド1面分くらいの駐車場が満車

お盆効果すげーな

車を降りて高台の見学場に向かう

アルコール消毒と検温を済ませ、いざ入場

(検温されるMくん)


入場のリストバンドがめちゃくちゃいけてたのでパシャリ


高台に登ると本当に人がめちゃくちゃいた

ざっと300人くらい

おじいちゃんから赤ちゃんまで年齢層がきれいに分布してて面白い


ちなみに発射場との距離はこんな感じ

小さく奥で光っている建物が発射場

距離でいうと3kmほど離れてる


時刻は22時30分。打ち上げまでもう少し




今回の観測の説明


ロケットの打ち上げ報告なので、少々技術的な話をしましょうか

なにそれわかんなーいって人は読み飛ばして頂いて結構どす


まず、今回打ち上げに用いられるロケットは S520という小型の固体ロケット。

主に観測に用いられている。

S520


次に今プロジェクトの概要について

このプロジェクトの大きな目的は電離層の電子密度の測定である。

電離層とはなんぞや?という人向けのわかりやすいサイト↓


この電離層はGPSなどの情報を衛星から地上に送信するときに邪魔な働きをすることがある。

今プロジェクトはその電離層で生じる中規模伝搬性電離圏擾乱(MSTID)と呼ばれる現象の解明を行うためにロケットを発射し、上空でのデータを取得することが第一の目的


もう一つは教育。

学生に実際に開発経験を積ませることで、技術面での指導という側面も持っている。


このプロジェクトに参加する大学は下記の5校

・奈良高専

・東北大学

・京都大学

・富山県立大学

・東海大学


奈良高専からは僕の友達2人が参加しており、電子観測の役割を担っている。


さらに詳しい技術説明

この章はさらに、具体的にどうやって観測を行うのか。

また面白いと感じた技術について簡単に説明する。

よって技術面に興味の無い方は飛ばして頂いて結構


まず奈良高専が担当する電子観測方法について説明する

奈良高専は今回の電子観測にあたって、GNSSといったGPS強化版のシステムを用いる。


GNSSをすっごく簡単に言うと、

「GPS衛星を4基同時に使えば精度上がりそう!」

って感じの理屈


詳しく知りたい方はご自分で調べてみてくれ

(GNSSのイメージ図)

「え?GPSでなんで電子数が測れるの??」

と感じたあなた。鋭い

実はこのGNSS衛星からは2種類の周波数の電波が送信されている。

・L1(1.575GHz)

・L2(1.227GHz)

この2つの異なる電波は、屈折率が異なる。


そのため電離層を通過する時間にわずかながら差が生じるのだ

この時間差を逆算することで総電子数を求めるというなんともエキサイティングな手法が今回の奈良高専のとる観測手法である。


おもしろいですね~


あともう一つ面白い技術を紹介します。

それは東海大学が担当する、月・地平センサー

実はこの観測ロケットには興味深い打ち上げ条件があり、

それは

「月明かりが観測できること」


ロケットを打ち上げるのになぜ月が影響するのだろうか、引力の関係かな?

と思っていたのだがどうやら東海大学の担当するセンサーに月を用いるらしい。


この月・地平センサー、なんと月の位置からロケットの絶対姿勢を測定することができる。


ロケットに取り付けられた可視光イメージセンサと赤外線センサを用いて、360°画像から月の中心座標を割り出す。

その画像における月の位置からロケットの姿勢を求められるそう

まるで虫みたいな方法だが非常に興味深い内容で、発射前に食い入るように資料を読み漁ってました。


ここでは2つだけ取り上げるが、他の大学も素晴らしい機器を開発していたので詳細を知りたい方は下記URlからご覧になってください


長くなったので発射詳細は次回にします



次回 : 発射カウントダウン開始


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