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【アート】坂田一男 捲土重来 を観た

初めに

2020年、美術館/博物館を訪れたら感想をnoteに綴ることを目標としました。私はアートが好きで、もっと観たい、知りたい、勉強したいという気持ちが強く、これは自己鍛錬の一つです。従いまして、この感想は専門家の見解でもなく、時には駄文で、更には見当違いや間違いがあるかもしれません。予めご了承くださいませ。

アートが好きな人が読んでも面白いと思える感想文が書けるようになるよう頑張りますのでお付き合いいただければ幸いです。

2020年1月4日(土)東京ステーションギャラリー 坂田一男 捲土重来

まず初めに、本感想の投稿日が展覧会の最終日になってしまったことをお詫び申し上げます。本展覧会は1月26日(日)東京ステーションギャラリーの後、坂田一男の故郷であり制作の地であった岡山(岡山県立美術館)に巡回します。

ここ一年くらいで私が抽象画を好きになった。それまでは好きな作品や作家は近代以前のものが多かったのだ。2019年11月に仕事で広島に行った時、広島市現代美術館で企画展「インポッシブル アーキテクチャー」を観た後(この企画展も素晴らしかった!)、コレクション展「ある心の風景Ⅱー象徴と抽象」を観た。これもすごく充実していて、何十点も展示してあった中、私は岡﨑乾二郎と村上友晴が心に残ったのだった。

今回、坂田一男「捲土重来」は岡﨑乾二郎が監修ということもあり、更に興味をそそられ観に行った次第である。

坂田一男は1889年生まれ、1921年にパリに渡り、キュビズムの画家フェルナン・レジェに学び、パリでも活躍、1933年に帰国し故郷の岡山にアトリエを構える。1944年と45年に水害でアトリエが大波をかぶり、作品も被害を受ける。1956年に亡くなるまで、作品を作り続けた。

作家に焦点を当てた展覧会は、作家の生涯を若い時から晩年まで順を追って紹介するタイプが多いが、今回もそのタイプ。でも何だか正に坂田の人生そのものを観たような気になる、そんな濃度の高い展覧会だった。彼の作品はあるモチーフが気に入ったらもしくは、気になったら何枚も何枚も書くタイプで、手りゅう弾(戦争の影響)、壺、金魚と金魚鉢、水平線など、ああ、この時期にはこれが熱かったんだな、なんて観ていて面白い。として今回の展覧会はフェルナン・レジェだけでなく、ル・コルビュジェやジョルジュ・モランディ、坂本繁二郎なども展示されていて、彼の作品を理解するための助けとなっている。これは抽象画という一見わかりにくい作品を鑑賞するにはとてもありがたい方法である。また、油絵の本画だけでなく、鉛筆などで描かれたエスキースもたくさん展示されていて、試行錯誤もよく見える。そして、ポイントポイントの作品にきちんとした解説があるため、より理解が深まる。通常解説は、500円くらいの音声ガイドサービスが一般的だが、今回は紙で無料で配布されていた。これは後からも読めるし、メモも入れられるし、本当にありがたいものである。(一般的にならないかな・・・、紙は印刷代がもったいないから、QRコードで読み込んでスマホで見るとか)

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さて、肝心の作品たちだが、色合いは華やかではないが、作品は重苦しいわけではない。優しくはないのだが、暴力的でもなくて、何だろうこの感じ、いつの間にか置いてある自転車みたいな、風景に溶け込んでいるけど、いつからここにあるの?みたいな、そんな感じなのである。

坂田は何を表現したかったものは何だろうと考えると、ものの見え方の再構築ではないかと思った。キュビズムを描いた後に抽象画になる坂田だが、そこには直線と線で形作られたブロックが整然と並んでいて、混沌は一切ない。でも見ているとこの部分は奥まっていて、こちらの部分は浮き出ているように見えてきて・・・見るって、見えるって、どういうことだろう、坂田はどう見せたかったんだろうと色々と考えるのが楽しい。ミステリアスな作品たちなのである。

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備考:2020年1月26日(日)まで。写真動画撮影不可。

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