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胆管がん術後カペシタビン療法(BILCAP試験)の長期成績

J Clin Oncol. 2022;40:2048-2057

ASCO発表時にはprimary endpointに有意差は無かったが、希少がんだしもうみなし標準で良いいんじゃない的な解釈をされていた記憶のあるBILCAP試験の長期成績の報告。

イギリス44施設から肉眼的治癒切除の得られた胆管がんあるいは筋層浸潤のある(T1b以上の)胆のうがんが対象。(margin positiveでも肉眼的切除が出来ていればentry可) プロトコール改定が何度かあり、術後補助化学療法開始までの期間が最初は8w以内であったのを12w→16wまで延長。またESPAC-3後の肝外胆管癌もeligibleにしたと。

患者は447人が術後カペシタビン (1250mg/m2) 2投1休 x 8サイクル群 223人と経過観察群 224人に1:1にランダム化された。年齢中央値は62歳。主座の内訳は、肝内胆管がん20%, 肝門部胆管 30%, 肝外胆管 30%, 胆のう 20%。胆のうがんの半数は偶発的に見つかったがんだった。R0切除が6割, LN陽性が5割。primary endpointはOS, secondaryはPer protocol (PP)解析430人の結果, RFS, 毒性, QOL, 医療経済学的解析など。


結果

median follow upは106ヵ月。Cape群の65%, 経過観察群の71%に死亡イベント。ITT解析ではmedian OS 49.6m vs 36.1m (HR 0.84, 95%CI 0.67-1.06)。PP解析では52.3m vs 36.1m (HR 0.79, 95%CI 0.63-1.00)であった。
RFSは 24.3m vs 17.4m (HR 0.81)だった。患者背景因子で調整するとadjusted RFSはHR 0.74 (0.57-0.96)だった。5年RFSはITTで34% vs 31%。

今回のデータから得られた予後因子(LN転移, 分化度, 性別, 原発巣, R0切除有無, PS)で調整したPlanned sensitivity analysisではOSのHR 0.74 (0.59-0.94)だった。subgroup analysisでは低分化腫瘍・男性がcapeのbenefitが大きそうであったが統計学的なinteractionは認めなかった。

再発形式はR0, R1ともにLocal , Distant, 両方がそれぞれ1/3ずつ程度で両群で明らかな違いは認めなかった。


筆者らは、Capecitabineは結果として再発形式の数字に影響を与えておらず、再発を防ぐというより時期を遅らせる効果であろうと結論付けている。ただ再発後の予後が短いので結果的に再発が遅ければ予後が延長するという結果になっているのだろうか。ということは、やっぱり日本の実臨床でやられているようにmargin(+)にはRTを加えた方が、少なくも局所再発には良い影響を及ぼすのかもしれない。

胆管がんはそれ自体稀ながんであり、近年主座によって分子生物学的なbackgroundが違うことは近年明らかになってきているため、筆者らの言うようにcross study collaborationによって効率よく解明していく必要がありそうだ。

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