ぼんやり

私にはやはり、飄々と生きてゆく生活しか残されていないのかしら。隣の芝生はいつも若々としており、艶やかで、幸福を感じるのです。これも嫉みなのでしょうか。彼らの生活は黄金すら霞む眩い極楽浄土への美しい回廊に見えてしまうのよ。相対的に比較してはいけないことなど百も承知なのです。ただ、理性も時には、イブのその清澄かつふくよかな御御足の上にそっと脱力して、不浄の左手を凌辱するかのよう、ただ悠長に撫で回し、その再三の不善をも、彼女は自愛の笑みで包み込む、そのような束の間の休息を得たいものなのです。羨望の眼差し。醜いわ。虚いと呆然。他人の幸せを真から喜ぼうと試みる意識、そこには既に歯痒さと嫉妬が交錯し、たちまち吝嗇の悪魔に取り憑かれてしまう。安寧が欲しい。永遠に続く友愛が欲しい。性愛すらも欲しい。求めるには私が足りない。私がそれらに足る存在でないのです。元旦過ぎて、何も変わらぬ。

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