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鹿児島で会社をやる意義と「アラタナ」「A-Z」に対するリスペクト【ラキブラ×鳥井】(2/4)

どうも、くいしんです。

「灯台もと暮らし」代表・鳥井による、鹿児島市内にあるウェブ制作会社、株式会社Lucky Brothers & co.(ラッキーブラザーズ、通称ラキブラ)のおふたりへのインタビュー。

本日は、全4回のうちの2回目をお届けします。

・参考:雑誌「TURNS」連載 第16回 Lucky Brothers & co.に「本社を鹿児島に移して見えてきたこと」について聞いてみた。

第1回では、「ラキブラという会社について」「鹿児島に拠点を移したきっかけ」「鹿児島に拠点を移すにあたり不安はなかったか」というお話をお聞きしました。

第2回となる今回は、ラキブラの始めた焼酎の定期宅配サービス「だいやめキッチン」をやることになった経緯と、「鹿児島に雇用をつくりたい」という、おふたりの思いを聞いています。


◯鹿児島でしかできない仕事を考えて「だいやめキッチン」に辿り着く

鳥井 実際、どんなサービスを始めようと思ってるのかというところを聞いていってもいいですか。

田島 鹿児島に来て、自社事業をやろうとなりました。鹿児島らしい、鹿児島にいないとできない仕事をしようと思って。最初いくつかトピックを挙げていって、最終的に2個に絞られたんですけど。温泉と焼酎っていう。

鳥井 そうだったんですね。

田島 焼酎を深堀りしてみようかというところで。最初は、いろんな蔵を見学させてもらいにいって、焼酎という業界がどういう状況なのか、どういうつくり方をしているのか調べて行きました。

最初は自分たちのパッケージの商品をつくりたいと思ってたんですけど、どうやらそれって新規参入でできる話ではなさそうだなということがわかってきました。じゃあ、できるところから始めていったらいいんじゃないかなと思って。まずは小売のところから攻めていこうと。

販売を仕事にして、そこから焼酎業界に入っていって、ゆくゆくは焼酎をつくらせてもらう道もあるんじゃないかと。小売の戦略として、僕らがウェブの力を活かしておもしろい売り方ができるはずだって考えました。

焼酎って1000以上の銘柄があるんですけど。他のあらゆる商品も同じだと思うんですけど、売上の上位8割は2割の銘柄が占めてるんです。900本くらいはほとんど売れてない銘柄なんですよ。

でもそれって売り方とか、PRにかけるお金の予算の問題とかの違いなだけであって、質とかは売れてるやつと、売れてない銘柄とそんなに変わらない。なんなら、「じつはこっちのほうが美味しい」ということがある。このギャップを埋められないかなと思って。

そこで考えたのが、焼酎の定期販売サービス「だいやめキッチン」です。酒屋さんと組んで、相談しながら毎月1本選んで、一緒におつまみを届けるサービスですね。

鳥井 「だいやめ」とはなんなんですか?

田島 だいやめって、鹿児島の言葉で「晩酌」のことなんです。語源は「だれをやめる=疲れを取る」という意味で。僕らはだいやめキッチンを通じて、だいやめという文化を広めていきたいんです。晩酌って、体に悪いイメージもありますよね。でも鹿児島では、晩酌で疲れを取る文化がある。言葉としてもすごく素敵だし、広めたい文化だなって思いました。

新しい焼酎の飲み方や割り方の提案と、だいやめのレシピの提案、これらを軸に焼酎の購買の動線が紐づけられて、だいやめという文化が鹿児島だけじゃなく、全国のいろんな人に体験してもらえたらいいなあと考えています。


◯鹿児島に雇用を増やしたい

鳥井 会社として立ち上げたときに、「こういうことをしたいよね」っていう思いは何かあったんですか?

田島 鹿児島に「A-Z(エーゼット)」という会社があるんですけど。会社というか大型スーパー、いわゆるホームセンターですね。

・参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/A-Zスーパーセンター

田島 その会社が、高齢者を優先して雇うとか、すごくビジョナリーで。そもそも前提に、ふたりの共感する部分として「人を採用する、雇用するっていうのはカッコイイ」という思いがありました。

少数精鋭のイケてる会社というよりは、イケてなくても人が多い会社をつくりたいよね、というのが共通する思いでした。制作をしている中で、実質はフリーランスがふたり集まった会社でしかないので、あまり仕事を振れないんですよね。専門性が高ければ高いほど他の人に仕事を振れない。これじゃあスケールしないなっていうのが、半年くらいやってる中で感じたことです。

いろんな職種の人が仲間になれるような、そういう事業を作りたいなと考えて。小売がよかったというよりは、ウェブ制作などのスキルに依存しない事業をつくりたいという選択肢を持ったということです。

鳥井 なにゆえ雇用を増やしたいなと思ったんですか。

田島 鹿児島って、県外就職率が一番高いんです。

鳥井 なるほど。みんな外に出ちゃうんですね。

田島 高専のとき、それが当たり前だったから、悲しいとかって気持ちも当時はなかったですけど。鹿児島の人は就職先を見るときに、東京、大阪、福岡という順番です。鹿児島に残る人は、よっぽど家庭的な事情があるか、東京に全部落ちちゃったから仕方なくみたいな、そういう選択肢だったんです。

大人になってから改めてそのことを考えると、不幸だなと思って。鹿児島のこれから生まれてくる子どもたちが、自分の地元に愛情を持てないのだとしたら、ちょっとさみしいねみたいな気持ちがありました。

鳥井 自分たち自身が、働く場所がないから東京に出て行ったところに対しての違和感というか。

下津曲 鹿児島に残るという選択肢が、そもそもなかったです。行きたいと思う企業がなかったので。


◯ローカルで会社をやる意義とアラタナに対するリスペクト

鳥井 しもつくんも同じですか?

下津曲 僕は愛とかないですけどね(笑)。「A-Z」もひとつなんですけど、アラタナが大きなロールモデルになってるっていうのはあって。地元の宮崎で1000人の雇用をつくるというビジョンとか、創業者の経歴が高専卒とか僕らと似ていたりして、そこにすごいシンパシーを覚えたのはありますね。

鳥井 アラタナさんみたいな会社にできたらいいなってところ。

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